2016年12月1日 第49号

ブリティッシュ・コロンビア州の北部海岸沖の海底で発見され、一時は行方不明だった原爆ではないかとうわさされていた物体は、工業用機械であることが確認された。

 カナダ海軍が11月25日、発表した。

 この物体はダイバーのショーン・スミリチンスキーさんが最近、同州北部のバンクス島近辺で行ったダイビングで発見したもの。この付近では1950年に、原爆を搭載したアメリカ空軍の戦略爆撃機が墜落しており、この物体がその「失われた原爆」ではないかとうわさされていた。

 RCMPの捜索依頼を受けたカナダ海軍は、哨戒艇HMCSイエローナイフを現地に派遣。発見者のスミリチンスキーさんも同行し、発見場所を案内した。

 イエローナイフは発見場所から約千フィートの地点に停泊、遠隔操縦の探査機を投下した。特殊爆弾処理班も捜索に加わり、探査機が捕らえた映像をバンクーバー島にあるエスキモルト基地に送り、物体の解析にあたった。

 全員が大発見の可能性に興奮しながら捜索をおこなったものの、爆弾ではなく工業用機械だという結論に達した。

 残念な結果に終わったものの、今回の顛末についてスミリチンスキーさんは「とても素敵だった」とコメントしている。彼の発見がニュースになるや、世界中から注目されたスミリチンスキーさん。かれの功績を賞賛する手紙も数多く届いたが、その中のひとつ、アメリカ・テネシー州の11年生からの手紙を紹介している。

 そこには、少年が、誰か尊敬しているが有名ではない人に手紙を書くことになったので、彼を選んだと書かれていた。またその理由は、スミリチンスキーさんが何も報償を求めず、(発見の事実を)報告すべきところに報告したからだと記されていた。

 この手紙を紹介した後にスミリチンスキーさんは、いつでも何かを発見したら、必ず報告すると話していた。

 

2016年11月24日 第48号

 ブリティッシュ・コロンビア州クリスティ・クラーク州首相は22日、州内に2900戸の低価格住宅を建設すると発表した。これらは賃貸住宅で、障害者、シニア、ユース、先住民族、母子家庭などの低所得者が対象。メトロバンクーバーに1441戸、その他の地域に残りが建設される。

 クラーク州首相はこの日の記者会見で、「BC州には賃貸住宅の供給増加が必要で、今回の発表はその目的を果たすためのもの」と語った。「政府としては中間所得者層、そして全ての州民が、住宅購入の夢を持ち続けられるようにしなければならない」と語った。

 さらに雇用拡大も必要と語り、これにより5500件の雇用が生まれると語った。

 BC自由党政権は今年2月に発表した予算案では住宅関連予算に3億5500万ドルを計上していた。しかし、高騰する住宅価格と需要過多の恩恵により政府への歳入が増加したため、9月に住宅予算を5億ドルに増額した。今年8月2日に導入した15パーセントの海外購入者税も今回の予算に含まれている。

 今回の発表を受け、野党新民主党(NDP)デイビッド・イービー議員は、この政策に一定の評価をしながらも、今回の措置は州政府が選挙前に1回だけ行う対策となってしまうのではとの懸念を示している。

 今回発表された住宅建設計画は2019年春に完成予定となっている。

 

2016年11月24日 第48号

 ジャスティン・トルドー首相が今年5月にトロントで開かれた中国系カナダ人主催の政治資金調達パーティーに出席していたことが分かり、22日の国会で弁明した。

 同日付の全国紙グローバル&メールによると、今年5月19日にトロントの中国系カナダ人ビジネスマン宅で行われた参加費1人1500ドルの資金集めパーティーに首相が出席。のちに、このパーティーに出席した参加者がピエール・エリオット・トルドー基金とモントリオール大学法学部に100万ドルを寄付していたとも伝えている。さらに、この会を主催した人物は中国の政財界に影響を与える人物で、参加者の中にも中国共産党に直接関係のある人物もいるとしている。

 国会では野党保守党が、高額な参加費のパーティーに閣僚が出席することは、富裕層の優遇ではないのかと追及。トルドー首相は、カナダを中国の投資家に投資先として考慮してもらうための参加との立場を強調した。

 また、政府と直接ビジネスをしている人々からの政治資金調達を禁止している党規則に反するのではとの声も上がっている。

 

2016年11月24日 第48号

 カナダ統計局は18日、10月のインフレ率が1・5パーセントだったと発表。9月の1・3パーセントからやや上昇した。しかし、カナダ銀行が目標としている2パーセントには届かなかった。価格変動の激しい項目を省いたコアインフレ率は1・7パーセントで、前月の1・8パーセントからやや下落した。

 インフレ率上昇幅が大きかったのはガソリンで2・5パーセント。住宅も1・9パーセント上昇し2015年1月以来の大きな上昇幅となった。要因は住宅価値の維持のためにかかった費用や固定資産税の上昇としている。

 一方で、食料品の価格が0・7パーセント下落。2000年1月以来17年ぶりとなった。

 

2016年11月24日 第48号

 連邦政府キャサリン・マッケナ環境相は21日、2030年までに全国の石炭発電を事実上廃止するとの計画を発表、これまでの計画よりも前倒しすると語った。

 記者会見で同相は、現在カナダ国内の発電は約80パーセントがクリーンエネルギーで、水力、原子力、風力、太陽光発電となっている。しかし、政府の目標として2030年までに約90パーセントの電力を温室効果ガス排出ゼロにしたいと語った。

 現在でも石炭発電を使用しているのは、アルバータ州、サスカチワン州、ノバスコシア州、ニューブランズウィック州。このうちノバスコシア州とニューブランズウィック州は今回の発表を歓迎している。さらに最も石炭発電の多いアルバータ州も、すでに州政府が計画している環境対策とほぼ一致しているため大きな影響はないと同州シャノン・フィリップス気候変動相は語っている。

 一方サスカチワン州ブラッド・ウォール州首相だけが反対を声高に主張している。今年3月に行われた環境対策会議でも政府の政策に反対を唱え、連邦政府が発表した炭素税導入にも反対している同州首相は、州政府と協力して対策を行うとする政府の約束に反していると批判している。

 今回の発表では、遅くとも2030年までには石炭発電の二酸化炭素排出量を1ギガワットあたり420トンまでに抑えるとし、石炭発電を廃止するか二酸化炭素回収貯蔵技術などの適用により排出量を抑えるかの対策を取る必要があるとしている。

 

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