2016年11月10日 第46号

 ブリティッシュ・コロンビア州ローワーメインランドの公共交通機関であるスカイトレインの新線、エバグリーン・ラインの開通日が12月2日になると、発表された。

 同線が通るポート・ムーディ市内の駅舎で7日行われた記者会見で、州政府が明らかにした。また、工費は当初の予算(1430万ドル)内に納まったとしているが、開通は当初2014年と見込まれていたものが、2度の延期を経て今回の公式発表となった。

 バンクーバー近郊の3都市ーコキットラム、ポート・コキットラム、およびポート・ムーディーを、既存のミレニアム・ラインと結ぶ全長11キロメートルのこの新線は、2021年には1日あたり7万人の利用客を見込んでいる。

 なお、BC州交通州務大臣トッド・ストーン氏と、トランスリンク担当州務大臣ピーター・ファスベンダー氏の2氏は、この記者会見には姿を見せなかった。

 コキットラム=ポート・コキットラム地区選出の連邦議会議員ロン・マッキノン氏は、増え続ける中間所得層を支援するインフラ整備のために、カナダ政府は関係省庁の連携が必要であることを認識していると挨拶、経済的かつ安全快適な移動手段となるエバグリーン・ラインが間もなく開通することを喜ばしく思うと語っていた。

 これに対し新民主党(NDP)の州議会議員デビッド・エビィ氏は新聞のインタビューに、新線が当初の予定通りに開通しなかったことに触れ、BC州政府が予算確保に手間取ったことが原因であり、その結果、他の地方自治体も公共交通機関の改善にどれくらいの歳月がかかるのか、今回の事例を見守っていると語っていた。

 

2016年11月10日 第46号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府は、日本で稼働しているような緊急地震速報システムの構築について、参画意思のある団体の募集を発表した。

 これは、速報システム実現へ向けて州政府が一歩前進したことを意味する。現在、システム構築に必要な地震計や測定ネットワークは、様々な組織が別々に行っているが、これを統合して州全体のシステムとするためはどの程度の作業量になるかを見極める必要がある。

 BC州に被害を引き起こすような大規模地震が、今後50年間に発生する確率は33パーセントといわれている。これまでも地震に対する研究は州政府の予算によってある程度は行われてきたが、州民全体に行き渡る警報システム構築に関しては、手つかずの状態だった。

 そんな中、メディアがBC州で大規模地震が起きた場合を想定した番組をインターネット上で放送したこともあり、州政府もその対策に本腰を入れ始めた。ナオミ・ヤマモト緊急事態対応州務大臣は、この番組に関連したコメントを発表、クリスティ・クラークBC州首相もこうしたシステム構築の必要性を感じているとし、課題は多いが進んでこのプロジェクトに取り組むと語っている。

 警報システムの原理は、震源地から広がる振動のうち、速度が速い代わりにほとんど揺れを起こさない振動(P波)を地震計が感知すると同時に、地面を進む速度は遅いが実際の揺れを起こす振動(S波)が到着する前(数秒から数十秒後ー震源地からの距離によるー)に、構築されたネットワークを通じ個々人に通報するというもの。日本では電源が入っている携帯電話には、どのようなモード設定であっても警報とアナウンスが電話のスピーカーから流れる仕組みになっている。

 もしBC州沿岸部で大規模地震が発生した場合、このP波とS波の時間差は場所によって数秒から2〜3分と見積もられている。十分な時間差があるわけではないが、何の前触れもなく揺れに遭遇する場合よりは、安全な場所に身を隠す準備ができるなど、その効果は大きい。

 前述した、団体公募は12月20日まで続けられる。その後州政府は入札案件の仕様書を提示、最終的に入札によってシステム構築を担当する団体を決定する。

 

2016年11月10日 第46号

 生まれてくる子供にカナダ国籍を取得させるために、出産間際に入国・滞在する『出産ツアー』。これはカナダの医療システムに不必要な負荷をかけており、規制すべきだという嘆願書が連邦議会に提出された。

 この嘆願書は、ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドに住むコミュニティ活動家、ケリー・スターチャックさんが先月まで集めていたもので、8886人が署名した。これは同市の連邦議会議員アリス・ウォンさん経由で連邦議会に提出されることになっている。

 また、同市スティーブストン=リッチモンド・イースト選挙区選出の連邦議会議員ジョー・ペスチソリドさんは、出産ツアー業界という闇ビジネスがリッチモンドにはびこりつつあることを危惧している。さらに連邦政府はこの問題に対し、既存の法律ー入国に際し虚偽の入国理由を述べてはならないーを適用すれば解決できるとしている。

 嘆願書をまとめたスターチャックさんは、国内で生まれれば自動的にカナダ市民権が付与されるようなシステムではなく、ヨーロッパ各国やオーストラリアのように、市民権を得るためには一定の条件を満たす場合に限るべきだとしている。彼女は、外国人がカナダの医療保険制度の恩恵を受けるために、現在の単純な出生地主義を悪用していると非難している。

 今やリッチモンド総合病院で生まれる新生児の6人に1人は、カナダ国内に住所を持たない親から生まれており、さらにそのほとんどは中国人だという。

 また政府の資料によれば、2015年の時点で出産ツアーの妊婦のための宿泊施設『出産ハウス』が少なくとも26カ所存在することが確認されている。出産ツアー業者のウェブサイトの多くに「そのための最高の条件がそろっている」と、リッチモンド総合病院が紹介されている。

 ペスチソリドさんは、妊婦が入国の際にその目的を偽ったことが明らかになった場合、カナダ国内で生まれた赤ん坊の市民権の剥奪が可能か、またそうすべきかどうかを精査すべきだとしている。

 

2016年11月10日 第46号

 ブリティッシュ・コロンビア州メープルリッジの高校のトイレが性別不問のトイレに変更されたが、そのユーモラスな表示が笑いを誘っている。

 この学校は、サミュエル・ロバートソン・テクニカル・セカンダリー・スクール。

 ここで注目を集めているのは、もともとは学校スタッフ専用だった個室トイレ。今ではそのドアに青色で、右半身がスカート姿、左半身がズボン姿の人物と、車いすの人物のシンボルが描かれている。そしてその下に『何でもいいから、ちゃんと手を洗うこと(WHATEVER. Just wash your hands)』というコメントが添えられている。

 この表示は、同校の生徒のアイデアで美術のプロジェクトとして実現したもの。

 メープルリッジ=ピットメドウズ教育委員会によると、同地区の多くの学校で性別不問、もしくは共用トイレの導入が進んでいるというが、その場合は教育委員会が認定した表示ー便器と車椅子のサインーを使用しており、サミュエル・ロバートソン校の例は珍しいと取材に答えている。

 もちろん、サミュエル・ロバートソン校でも、昨年トイレが性別不問トイレに変更された際に同じものが貼られていた。さらにドアの片隅には、性的少数者を支援する意味のレインボーカラーのステッカーも貼られたのだが、あまり生徒らの注意をひかなかった。

 そこで、同校の性的少数者と通常の生徒の交流をはかるグループ、ゲイ・ストレート・アライアンスのメンバーが、何か全校生徒にアピールする手段はないかと考えていた。最終的には、美術科の教諭がインターネットからアイデアを得て、このデザインにたどり着いたという。

 こうした性別不問のトイレのための表示は、世界中で様々なものが考案されている。オンタリオ州トロントのカナディアン・ナショナル・エキシビジョン(CNE)では今年8月、半身スカート、半身ズボンの人のデザインの下に『かまわぬ(We don't care)』というコメントをつけていた。

 最近サミュエル・ロバートソン校のこのトイレの表示を見て、『これ、いいよね』と言いながら写真を撮っている姿も見られるようになったほか、インターネット上にも拡散されている。

 

2016年11月10日 第46号

 オンタリオ州オタワの中心街にあるコンフェデレーション・パークの木に2日、アメリカフクロウとみられる大型フクロウがとまっているのが、通行人によって発見された。

 アメリカフクロウは、北米に生息する体長50〜60センチになる大型フクロウ。夜行性であり、昼間に目の付くような、それも都市の中心部で目撃されるのはめずらしい。

 このチャンスを逃さぬよう、午後5時ごろには通行人がさかんに撮影していたが、当のフクロウは特に気にとめる様子もなかったと、メディアに動画を投稿した人がコメントしていた。

 この公園、以前はネズミが出没する場所として知られており、フクロウもエサを目当てにこの公園に立ち寄ったのではないかとみられている。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。