2016年11月10日 第46号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府は、日本で稼働しているような緊急地震速報システムの構築について、参画意思のある団体の募集を発表した。

 これは、速報システム実現へ向けて州政府が一歩前進したことを意味する。現在、システム構築に必要な地震計や測定ネットワークは、様々な組織が別々に行っているが、これを統合して州全体のシステムとするためはどの程度の作業量になるかを見極める必要がある。

 BC州に被害を引き起こすような大規模地震が、今後50年間に発生する確率は33パーセントといわれている。これまでも地震に対する研究は州政府の予算によってある程度は行われてきたが、州民全体に行き渡る警報システム構築に関しては、手つかずの状態だった。

 そんな中、メディアがBC州で大規模地震が起きた場合を想定した番組をインターネット上で放送したこともあり、州政府もその対策に本腰を入れ始めた。ナオミ・ヤマモト緊急事態対応州務大臣は、この番組に関連したコメントを発表、クリスティ・クラークBC州首相もこうしたシステム構築の必要性を感じているとし、課題は多いが進んでこのプロジェクトに取り組むと語っている。

 警報システムの原理は、震源地から広がる振動のうち、速度が速い代わりにほとんど揺れを起こさない振動(P波)を地震計が感知すると同時に、地面を進む速度は遅いが実際の揺れを起こす振動(S波)が到着する前(数秒から数十秒後ー震源地からの距離によるー)に、構築されたネットワークを通じ個々人に通報するというもの。日本では電源が入っている携帯電話には、どのようなモード設定であっても警報とアナウンスが電話のスピーカーから流れる仕組みになっている。

 もしBC州沿岸部で大規模地震が発生した場合、このP波とS波の時間差は場所によって数秒から2〜3分と見積もられている。十分な時間差があるわけではないが、何の前触れもなく揺れに遭遇する場合よりは、安全な場所に身を隠す準備ができるなど、その効果は大きい。

 前述した、団体公募は12月20日まで続けられる。その後州政府は入札案件の仕様書を提示、最終的に入札によってシステム構築を担当する団体を決定する。

 

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