2016年11月3日 第45号

 ベルギー首都ブリュッセルで10月30日、カナダ欧州連合(EU)自由貿易協定(CETA)の署名式が行われた。出席したジャスティン・トルドー首相は「カナダ経済にとっても、世界にとっても意味のある協定であるということを示したい」と語った。

 署名式に参加しトルドー首相との共同記者会見を行った欧州委員会ジャン=クロード・ユンケル委員長は「世界基準となるような協定となった」と胸を張った。

 今後はカナダと欧州議会で批准された後、来年早々には協定内容の98パーセントが実施され、関税が取り除かれる。欧州からは自動車関連や繊維関連産業への関税が大きく引き下げられることになり、乳製品も現在の2倍以上に輸入量が増えるとみられている。カナダからは牛豚肉や小麦の輸出などが大きく期待されている。

 残りの2パーセントの内容については、今後さらに全参加国の承認が必要となる。そのため、完全に協定が実施されるまでにはしばらく時間がかかる。

 今回の協定で交渉役を務め、署名式にも出席したクリスティア・フリーランド国際貿易相は10月31日、国会開催の前に記者団の質問に応え、今回の自由協定署名が世界に蔓延する保護貿易主義者を押し返す力強いメッセージになると語った。

 CETAは保守党前政権時代2009年から交渉が始まり、一時は欧州内での反対勢力に押され中断したものの、昨年の政権交代後は自由党政権が引き継いだ。それでも10月27日に予定されていた署名直前にベルギーのワロン地域議会が反対し、署名が延期。人口比率でいえば、EU5億800万人に対し1パーセントにも満たないワロン地域の反対で協定署名ができない事態にEU側もあわて、結局30日にようやく署名にこぎつけた。

 

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