2016年12月22日 第52号

 アルバータ州カルガリーの西130キロメートルほどにある、リゾート地カナナスキスの中の自然公園の駐車場に13日、風変わりな注意看板が立てられた。

 ピーター・ローヒード州立公園にアルバータ公園局が設置したこの看板は、最近チェスター湖やバーストール・パスのトレールに出没するムースが駐車場まで下りて来て、車に付着した塩を舐めるのが目撃されていることをハイカーに知らせている。

 そして、ムースを目撃した場合には距離を30メートル以上とることや、ムースを車からどかすには、直接ムースを押しのけるのではなく(ムースの平均体重は、メスの成獣で340キロから420キログラム、オスの成獣で450キロから500キログラムになる)、クラクションやセキュリティアラームを鳴らすようアドバイスしている。

 塩分は血液中の重要な成分であり、自然界からの摂取が足りなくなるこの季節には、融雪剤に含まれる塩が付着した車を舐めて補うこともあると、カルガリー動物園のダグ・ホワイト医師は説明する。

 一体何件ぐらい、こうした「ムースの車舐め」が報告されているのかは把握されていないが、この動物は塩分の摂取源については比較的柔軟であることが知られているため、毎年のように起こっているのではないかとみられている。

 この看板には、特にその期限は明記されていないという。

 

2016年12月22日 第52号

 カナダと外国との二重国籍者が、海外からカナダへ空路入国、または乗り継ぎする場合には、有効期限内のカナダのパスポートを携帯することが、11月10日より義務付けられている。

 他国への入出国のために、その国のパスポートを携帯していても、カナダのパスポートを所持していなければ、その国からのカナダ行きの飛行機に搭乗できなくなる。

 在バンクーバー日本国総領事館では、特に22歳未満の日本国籍保有者がカナダ国籍も所持していた場合(例えば日本国籍のカナダ移民の両親が、カナダ生まれの子供に日本のパスポートだけを持たせて一時帰国した場合など)は、特に注意するよう呼びかけている。

 なお、アメリカとカナダの二重国籍者が空路入国する場合には、カナダのパスポートは必要なく、所定の身分証明書で十分となる。

 なお日本など、ビザ免除国のパスポートを所持しているカナダ国籍の人で、急な旅行の予定がある場合は、カナダのパスポートなしでもカナダ行きの飛行機への搭乗を認める特別措置が、2017年1月31日まで実施される。そのためには、特別認証を取得する必要がある。

 この特別措置の対象となるのは、申請から10日以内に、カナダへ向かう航空便を予約していて、過去にカナダ市民権証明書を取得したことがあるか、カナダのパスポートを所持したことがある、または移民になったあとに市民権を取得した人に限られる。申請者の国籍についての情報が同局のコンピューターシステムで確認されたあと、4日間有効な認証が発行される。

 今回の義務化は、カナダに入国する人すべてが、正規の旅行用身分証明書を所持しているかどうかを入国前に確認する仕組みづくりの一環として行われた。カナダ政府が新たに導入したコンピューターシステムは、空港のチェックインでパスポートが読み込まれると同時に、その内容を自動的にチェックするようになっている。

 

2016年12月15日 第51号

 連邦ビル・モルノー財務相とカナダ銀行スティーブン・ポロズ総裁は8日、新10ドル札に印刷するカナダ初の女性肖像画に黒人人権活動家のヴィオラ・デスモンド氏を選んだと発表した。新10ドル札は2018年初めから導入される。

 カナダ政府は今年1月、モルノー財務相がカナダの紙幣にも女性肖像画を導入する時期にきているとの見解を発表。3月の国際女性デーにトルドー首相とモルノー財相が揃ってカナダ初の女性肖像画にふさわしい女性を応募するよう国民に呼びかけた。応募は2万6千件。そこから有識者により最終候補を5人に絞り、今回の決定発表となった。

 今回選ばれたデスモンド氏は黒人差別と戦ってきた女性。ノバスコシア州在住で1946年11月には自動車修理中に映画をみようと入った映画館で「白人専用」席で鑑賞していたところを追い出され、拘置された。保釈金を支払って釈放されたものの、その後、提訴し敗訴している。

 カナダ銀行によれば、デスモンド氏の提訴はカナダ初の人種差別裁判だったという。そうした人権活動が認められ、今回決定した。1965年、50歳で死去。この日の発表には、妹のワンダ・ロブソンさん(89)が出席。家族を代表して姉への誇りと感謝の気持ちを表した。

 今後は5ドル紙幣についても肖像画を変更する予定という。これまで10ドル札に印刷されていたカナダ初代首相ジョン・A・マクドナルド元首相や5ドル紙幣のウィルフリッド・ローリエ氏は、50ドル札、100ドル札に印刷される。現在50ドル、100ドル札に印刷されている2人は紙幣から姿を消す。20ドル札は変更しない。

 

2016年12月15日 第51号

 連邦保守党の第2回党首討論会が6日、ニューブランズウィック州モンクトン市で行われた。現在立候補を登録している14候補が一堂に会し、それぞれの持論を述べた。今回は初めての英仏二カ国語による討論会。候補者のフランス語能力が試される初めての機会となった。

 討論会の内容は、アルバータ州からニューブランズウィック州までパイプラインを建設するイーストエナジーパイプライン建設計画、同州の雇用問題、炭素税などで、各候補が自身の考えを示した。

 今回もケリー・リーチ候補の新移民を対象にした「カナダの価値観」検査の導入について意見が分かれた。また今月3日にアルバータ州エドモントン市の州議事堂前で行われた炭素税反対集会で、同州ノテリー州首相に対し参加者が「投獄しろ」コールを繰り返した件で、その場に居合わせたクリス・アレキサンダー候補に批判の声が上がった。

 前移民相のアレキサンダー候補は、右翼系メディアの呼び掛けにより行われたこの集会でステージに立ちスピーチを行った。その最中に群衆からノテリー州首相を「投獄しろ」コールが沸き上がった。それをステージから見ていたアレキサンダー候補が笑みを浮かべて、そのコールに合わせて相槌を打っているようなしぐさを捉えた動画がネット上にアップされ、批判が相次いだ。アレキサンダー候補は翌日には「投獄しろ」コールには自分は関係ないと一定の距離を保つ発言を繰り返した。ただ「彼らが怒っていることは事実」と群衆を保護する発言をした。

 この行為に対して討論会中には、選挙で選出された州首相に対し「投獄しろ」というのは非常に非民主的と批判が上がった。

 その他ではフランス能力で大きな差が出たことが注目された。今回の討論会でフランス語で討論できたのはアレキサンダー候補を含め6人。なんとかフランス語を話せるというレベルの候補は4人。リーチ候補を含めその他4人はほとんど話せないというレベルだった。与党自由党ジャスティン・トルドー首相は完全なバイリンガル。2019年選挙に向け、フランス語で討論できない党首は国政選挙に勝てないことは一目瞭然で次の討論会が注目される。

 次の第3回討論会は舞台をケベック州ケベックシティに移して、フランス語のみで来年1月17日に行われる。党首選討論会は投票日までに全5回行われ、第4回、5回も英仏両語での討論会になる予定。次期党首は来年5月27日に決定する。党は党首選立候補を来年2月末まで受け付けている。

 今後はテレビ出演で知られるカナダ人ビジネスマンのケビン・オラリー氏が出馬するかにも注目が集まっている。

 

2016年12月15日 第51号

 ブリティッシュ・コロンビア州野党の新民主党(NDP)ジョン・ホーガン党首は13日、改めてトランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画に反対の立場を強調した。

 同パイプライン建設計画は、今月6日にジャスティン・トルドー首相が承認を発表し、バンクーバー周辺では大規模な反対運動が展開されている。

 キンダーモーガン社が手掛ける同計画は、アルバータ州エドモントン近郊からBC州バーナビー市までオイルサンドを運ぶパイプラインを拡張する工事で、完成すればオイルサンド輸送量はこれまでの3倍となり、タンカーの航行量は7倍になるといわれている。タンカーはバンクーバーに大きく入り組んだバラードインレットを通るため、以前から環境保護活動家、先住民だけではなく、関係する周辺住民、周辺市町村が反対の立場を訴えていた。

 一方でBC州政府は、条件さえ満たせば賛成の立場を取っている。ホーガン党首は、「今回の計画はBC州民が歓迎しているとは思えないし、海洋環境にも良くないことは明らか。さらに経済にも好影響はないと思っている」と語り、もし選挙に勝ったなら、できる限りの手段を使って連邦政府の承認を覆すとも語っている。

 BC州では来年5月に州議会議員選挙が行われる。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。