2016年12月15日 第51号

 連邦ビル・モルノー財務相とカナダ銀行スティーブン・ポロズ総裁は8日、新10ドル札に印刷するカナダ初の女性肖像画に黒人人権活動家のヴィオラ・デスモンド氏を選んだと発表した。新10ドル札は2018年初めから導入される。

 カナダ政府は今年1月、モルノー財務相がカナダの紙幣にも女性肖像画を導入する時期にきているとの見解を発表。3月の国際女性デーにトルドー首相とモルノー財相が揃ってカナダ初の女性肖像画にふさわしい女性を応募するよう国民に呼びかけた。応募は2万6千件。そこから有識者により最終候補を5人に絞り、今回の決定発表となった。

 今回選ばれたデスモンド氏は黒人差別と戦ってきた女性。ノバスコシア州在住で1946年11月には自動車修理中に映画をみようと入った映画館で「白人専用」席で鑑賞していたところを追い出され、拘置された。保釈金を支払って釈放されたものの、その後、提訴し敗訴している。

 カナダ銀行によれば、デスモンド氏の提訴はカナダ初の人種差別裁判だったという。そうした人権活動が認められ、今回決定した。1965年、50歳で死去。この日の発表には、妹のワンダ・ロブソンさん(89)が出席。家族を代表して姉への誇りと感謝の気持ちを表した。

 今後は5ドル紙幣についても肖像画を変更する予定という。これまで10ドル札に印刷されていたカナダ初代首相ジョン・A・マクドナルド元首相や5ドル紙幣のウィルフリッド・ローリエ氏は、50ドル札、100ドル札に印刷される。現在50ドル、100ドル札に印刷されている2人は紙幣から姿を消す。20ドル札は変更しない。

 

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