2017年1月1日 第1号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー国際空港は、カナダ国内で初となる、自閉症の人とその家族に対する空港での優先手続きプログラムを開始した。

 この優先プログラムのためのシールを搭乗券に貼ることで、搭乗手続きから手荷物検査、税関などを優先的に済ませることができ、当人への精神的負担を減らすことができるという。

 この「バンクーバー国際空港(YVR)自閉症アクセス・ステッカー」は、同空港とカナックス自閉症ネットワークが共同で開発している、自閉症の人とその家族に旅行の利便性を提供する「私も飛べる(I CAN FLY)」プログラムの一環として実現された。

 クレイグ・リッチモンド同空港会社社長はプレスリリースの中で、この空港が目指すのは全ての人に利用される空港であり、カナックス自閉症ネットワークとの協力によって、また目標に近づいたと説明している。

 また同ネットワークのケイティ・ハランディ社長兼CEOも、これにより自閉症の人とその家族にとって旅行のストレスを軽減することができたとコメントしている。

 

2017年1月1日 第1号

 「世界を自分の目で見てみたい」と、2014年から世界旅行を続けている東京都出身のサトル・ヤマダさん(20歳)は今、ノースウェスト準州の北岸、北極海に面するトゥクトヤクトゥクにいる。

 東京からイランまでは徒歩とヒッチハイク。そこで自転車を入手してからの約6カ月間でロシア、ノルウェーなど6カ国を走破。

 2016年、空路アメリカ・ワシントンDC州ボストンに到着後、再びヒッチハイクを繰り返してカルガリーに到着した。ここで捨て去られた自転車を発見、それを修理してからは、ひたすら北上を続けてユーコン準州ホワイトホースにたどり着く。ここでブラジル人の青年と作ったいかだに乗り、ユーコン川を下ってアラスカへ。

 ホワイトホースに戻った後、10月下旬になってからは再び自転車にまたがり、北極圏へ延びるデンプスター・ハイウェイを北上、トゥクトヤクトゥクに到着した。

 ヤマダさんはカナダ先住民の生活に興味があり、また人力で北極圏を目指す夢もあることから、この人口800人あまりの集落を選んだ。誰からも温かく迎え入れてもらえたヤマダさんだが、この季節にもかかわらず、夜はテントも使わず、氷の上にひいたトナカイの毛皮と2つの寝袋に入り、野外で寝ている。「そうしてみたかっただけ」と取材に答えるヤマダさんの次の目標は、犬ぞりを調達して、同集落から東へ約400キロメートルのところにある、人口300人ほどの集落パウラトゥクへ向かうこと。そこで北極点を目指す準備を続ける予定だという。

 しかしそれでヤマダさんの旅行が終わるわけではない。無事に北極点に到達したあとは、今度はまだ訪れたことのない南アメリカを目指す。「トゥクトヤクトゥクからアルゼンチンまで、また自転車の旅です」と取材に語っていた。

 

2017年1月1日 第1号

 ブリティッシュ・コロンビア州ビクトリア郊外の人口約1万8千人の町オークベイは、野生の鹿の被害に悩まされている。

 オークベイは海岸に面した高級住宅街で、庭など美しい街並みで有名だが、最近ミュールジカ(black-tailed deer)が民家の敷地内まで侵入するようになり、庭の花などにも被害が出るようになってきた。その被害対策として2015年には、11頭の鹿が間引き目的で殺されている。また車と衝突したり、フェンスなどに挟まり身動きが取れなくなったりして死亡する鹿の数も増えている。

 最近ではジョギング中の女性の前に鹿が飛び出し、一緒にいた犬はひづめで蹴られ、本人も転んだ際に足に軽いけがを負ったという。繁殖期のオス鹿は攻撃的になることも知られている。

 状況を改善するには鹿の頭数を減らすしかないが、町では鹿を殺してそれを実現するという、間引き猟に対して動物愛護の観点から賛否両論が巻き起こっている。

 そんな中、鹿の命を奪わずにこの問題を解決しようと生物学者や識者などから成る民間組織、アーバン・ワイルドライフ・スチュワードシップ協会が作られ、アメリカから入手した注射式避妊薬で鹿の出産数を抑えようという試みが始まる。

 あまり人を恐れない鹿は、最近では3〜4メートルまで近づくことができるので、至近距離から避妊薬を仕込んだ注射針を、空気銃で打ち込もうという計画だ。市では2万ドルの予算を組み、州政府にも同額の支援を要請しているが、政府側は避妊薬の安全性と頭数制限にどれほどの効果があるかを具体的に示すよう求めている。

 

2016年12月22日 第52号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府は14日、2017年1月1日からの健康保険(MSP)改定に伴い、負担額が増加する対象者に通知書を送付した。負担増は、所得が高く子供がいない夫婦を中心に実施され、高齢者も対象にしている。

 例えば、夫婦合わせて年間所得4万5千ドル以上の場合、1カ月14ドル、年間で168ドルの増額となる。高齢者夫婦の場合は、年間所得5万1千ドル以上で同様の増額となる。

 一方で、子育て世代、ひとり親家庭、低所得者では負担減となる。政府は、例えばひとり親家庭で子供2人の場合、年間で約900ドルの負担減、ひとり親家庭で年間所得が4万ドル以下の場合は約1200ドル負担減となるとマイク・デヨン財務相は説明している。

 野党新民主党(NDP)ジョン・ホーガン党首は、今回の保険料は不公平と批判している。NDPとしてはMSPを全面廃止する政策を検討しているという。今回は詳細を明らかにしていないが、州政府が予算案を発表した後に独自の税制改革案を発表すると語っている。

 MSP改定は今年夏にすでに決定していたことで、今回はその実施を前に対象者に通知された。

 

2016年12月22日 第52号

 テラネット‐ナショナルバンクが14日に発表したカナダ住宅価格指標によると、11月のバンクーバーの住宅価格は前月比で1・3パーセント下落、一方でオンタリオ州トロントは1・1パーセント上昇した。バンクーバーは2カ月連続の下落、トロントは10カ月連続の上昇となった。

 同指標は国内11都市を対象としている。全国平均では0・2パーセントの上昇で、最も上昇率が高かったのはオンタリオ州ハミルトン市の1・4パーセント。ケベック州モントリオール市も0・9パーセント、アルバータ州カルガリー市で0・7パーセントの上昇となった。一方下落幅が大きかったのはオンタリオ州オタワ‐ガティノー市で0・8パーセント減だった。

 前年同月比では全国平均で11・9パーセント上昇、トロントでは34・6パーセント、バンクーバーでも19・5パーセント上昇した。モントリオールも14パーセント上昇している。

 また住宅価格については、カナダ不動産協会が15日に2017年の全国不動産状況の予測を発表。注目はブリティッシュ・コロンビア州とオンタリオ州。BC州では販売数は12・2パーセント減少、価格は7・8パーセント下落すると予測している。オンタリオ州は販売数では2・7パーセント減少するものの、価格は1パーセント上昇すると予測している。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。