2017年1月19日 第3号

 マニトバ州ウィニペグ市警察が昨年購入した装甲車の、昨年末までに事件で出動した回数と広報活動に参加した回数がほとんど同じだったことから、一体何のために市民の税金を使っているのかという批判にさらされている。

 ウィニペグ市警察が、その活動をより迅速・安全にするための画期的な装備として昨年6月に購入したこの装甲車、金額は34万2800ドル。大型SUVをさらに大きくいかつくし、つや消し黒に塗られたこの車両、重量は7トンを超え、車体の各所に銃を外に突き出せる射撃窓を8つ備えている。

 しかし、その出動回数は昨年末までで20回だった。その一方でウィニペグ市警察の警察犬カレンダーの写真や、地元カナディアン・フットボールチームのブルーボマーズとの撮影会に登場したり、またサンタパレードへ参加したりするなど、広報活動として合計15回出動している。そのほか、クリスマスシーズンには、クリスマスプレゼントが盗難被害に遭わないよう、安全な場所に保管するようショッピング客に呼びかける広報ビデオに出演もした。

 他の市警察(オタワ、モントリオール、バンクーバー、トロント、カルガリーなど)も、こうした装甲車両を所有しているが、例えばカルガリー市警察の場合はその出動回数は月に40〜50回に上るという。ウィニペグ市警察は、今後の出動回数がどのように推移していくかはわからないが、引き続き広報活動にも使用していくとコメントしている。

 カナダ・タックスペイヤー連盟のトッド・マッケイさんは、この車両購入が本当に必要なものだったのかどうか精査する必要があると指摘している。警察の予算を何に使用するかは、市警察と市の警察理事会の一存で決められるが、ブライアン・ボウマン・ウィニペグ市市長は、税金を支払っている市民が、その金額に見合ったサービスを受けられるようにしたいと取材に語っていた。

 

 

2017年1月12日 第2号

 トロント不動産協会は5日、昨年12月のグレータートロント地域の住宅販売数が前年同月比で8・6パーセント増加したと発表した。2016年全体では前年比で11・8パーセント増加している。また同地域の昨年12月の平均住宅価格は730・472ドルで前年同月比20パーセント上昇。2016年を通しての平均価格は729・922ドルで前年比17・3パーセント上昇となっている。

 同協会代表ラリー・セルカ氏は、同地域の経済が好調なこと、失業率が低いこと、人口が増え続けていること、住宅ローン金利が低いなどのさまざまな要因がこの地域での住宅需要を押し上げていると説明している。

 また今回初めて調査会社イプソスに、同地域での海外住宅購入者数の調査を依頼。10月6日から10月21日までに約3500人の不動産売買仲買人にオンラインで行った調査回答を基にした結果は、4・9パーセントだったと発表した。トロント市では5パーセントだった。必ずしも海外購入者が価格を引き上げているとの認識は正しくないとの見方もある。

 その他の要因の一つに供給数が少ないことを指摘する声もある。2016年の購入可能住宅数は前年比で4パーセント減少。政府の住宅購入に関する規則変更は、高い需要を抑えることに焦点を当てているが、供給を増やす方策が必要なのではとの声も上がっている。

 一方、グレーターバンクーバー不動産協会は4日、昨年12月のグレーターバンクーバーの住宅販売数は前年同月比で39・4パーセント減少したと発表した。しかし価格はベンチマークで897・600ドルと前年同月比で17・8パーセント上昇している。

 グレーターバンクーバー不動産協会代表ダン・モリソン氏は、販売数は昨年3月のピーク時から徐々に落ち着いてきているが、価格は6カ月前よりは2から3パーセントは下がっているものの、前年比では販売数ほどの劇的な下落率にはなっていないと説明した。

 グレーターバンクーバーの不動産には、昨年8月からブリティッシュ・コロンビア州政府が15パーセントの海外購入者税を導入。その影響については、数カ月が経ってもまだ様子見といった感じが強いと説明している。今春くらいには人々の傾向が見えてくるのではないかと分析している。

 

2017年1月12日 第2号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府は9日、住宅所有者を対象とした補助金制度の上限を引き上げることを示唆した。

 現行の制度では、補助金を受け取る上限額は住宅価値が120万ドルとなっている。今回、BC財務省はこの上限額を引き上げると発表。ただ実際にどれくらいまで引き上げるのかは公表していない。

 この補助金制度は、急激に高騰する土地価格に対して、それに伴い増加する固定資産税の負担を軽くするためのもの。

 マイク・デヨン財務相は昨年、上限を当時の110万ドルから120万ドルに引き上げた。現時点で、補助金制度による州政府の負担は8億ドルとなっている。

 

2017年1月12日 第2号

 カナダ政府は、今年7月1日にカナダが建国150周年を迎えるにあたり、記念行事などへの費用に約5億ドルを充てることが4日、分かった。

 内訳は、3億ドルをカナダ150コミュニティ・インフラ・プログラムに充て、全国の公共施設や文化・レクリエーション施設などのインフラの充実を図る。また、2億8万ドルは全国ツアープログラムに充てる。ニューファンドランド・ラブラドール州セントジョーンズ市からブリティッシュ・コロンビア州ビクトリア市までRV(キャンピングカー)で回って国民の意見を聴く全国ツアーや、「カナダ150コメディーショー」など、年間を通してさまざまなイベントが企画されている。

 さらに、全国の国立公園を管理するパークス・カナダは、国内外の旅行者のために国立公園や歴史的遺跡を今年は入場料無料とすることも含まれている。そのためにの190万ドルをすでに受け取っているとしている。

 建国150周年記念行事については、スティーブン・ハーパー前保守党政権時代からすでに計画されており、今回は自由党政権が独自色を強くした形となった。

 

2017年1月12日 第2号

 サスカチワン州ブラッド・ウォール州首相は4日、自身がリツイートした内容が、下品な言葉でジャスティン・トルドー首相を侮辱していたとしてリツイートを削除すると共に謝罪のツイートを掲載した。

 元のツイート内容は、トルドー首相が導入しようとしている炭素税についてのもので、炭素税を批判する内容と共に最後にハッシュタグで愚かな人と付け加えられていた。

 これについてウォール州首相は、リツイートした時にはハッシュタグの部分に気が付かなったと説明。炭素税については議論が分かれているが、だからといって侮辱した言葉を用いて良いということではないと述べ、注意すべきだったと謝罪した。

 環境問題・気候変動対策に力を入れるとしているトルドー首相は、その対策の一環として昨年炭素税導入を発表。全国の州首相に理解を求めた。しかし、ウォール州首相は強烈に反対を表明。サスカチワン州の主要産業としてだけではなく、カナダの主要産業でもある同州の産業に大きな影響を与え、効果は薄いと主張している。

 トルドー首相によれば、炭素税による歳入分は全てその州に還元される仕組みになるという。その歳入で農業や鉱山業への補償を行えると説明している。

 炭素税導入は2018年から1トンにつき10ドルから始め、毎年10ドルずつ引き上げ、2022年までに1トンにつき50ドルまで引き上げる予定になっている。ただ、炭素税以外にもキャップ&トレードシステムの選択肢も設けられている。

 ウォール州首相は課税という形ではなく、技術革新によって温室効果ガスの削減を目指すべきと主張している。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。