2017年1月26日 第4号
アメリカのドナルド・トランプ大統領の政策戦略フォーラム議長に任命されたスティーブン・シュワルズマン氏が23日、「カナダはそれほど心配する必要はない」との意見を語った。
同氏はこの日、アルバータ州カルガリー市で今後の対策会議を2日間の予定で行っていたジャスティン・トルドー政権を訪問。自身の意見を語ったとみられている。
その後、記者の質問に応じ「カナダとアメリカは誰もが記憶する限りで最高のパートナーとしてこれまでやってきている」と語り、北米自由貿易協定(NAFTA)については「多少の修正はあるかもしれないが、基本的にはカナダにとってそれほど悪くないようにいくだろう」と述べた。二国間は、貿易関係はこうあるべきというモデルのような関係と言い、「カナダの立場は悪くない」と語った。
同氏はアメリカの投資会社ブラックストーン・グループの最高責任者で、トランプ政権の経済アドバイザー。カナダとの現在の貿易関係を維持するよう勧めている1人でもある。
カナダは輸出の約75パーセントが対米で、もしトランプ大統領が公言したように国境税を実施されれば、カナダ経済への打撃は避けられない。しかし、アメリカの35州ではカナダが最大の輸出先であり、アメリカ国内でも大きな影響が出ることは間違いない。
シュワルズマン氏は、トランプ大統領が対象としているのは、アメリカの貿易赤字が大きい中国やメキシコであるとの認識を示し、「私が思うにカナダはそれほど心配する必要はない。カナダのことは懇意に思っている」と語った。
2017年1月26日 第4号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州クリスティ・クラーク州首相は20日、これまで受け取っていた年間5万ドルの党からの給付金を今後は受け取らない方針に切り替えると発表した。
これまでは州首相としての年間19万5468・20ドルの給与に加えて、党からの給付金5万ドルを受け取っていた。
これに対して野党新民主党(NDP)から利益相反法に抵触すると申し立てられていた。高額なパーティーに出席するために支払われた献金からクラーク州首相に直接金銭的な利益が生じることが抵触すると理由を説明していた。
しかしBC州利益相反委員会委員長は、この件については抵触していないという決定を昨年発表した。だが現在、同委員長の息子がクラーク政権で副大臣を務めていることから委員長本人が利益相反にあたるのではと訴えられている。
NDPはクラーク州首相が昨年この件については問題なしとされたにもかかわらず、今になって受け取りを今後は止めるという提案を疑問視している。なぜそういう結論を出したのか、理由を説明してほしいとNDPデイビッド・イービー議員は語っている。
NDPとグリーン党は企業と労働組合からの献金は禁止すべきと訴えている。BC州では党への献金について他の州のように上限や明確な規則がないことが問題との声も上がっている。
2017年1月26日 第4号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府クリスティ・クラーク州首相は23日の記者会見で、2011年からの5年間で雇用が大きく増加、全国で最も成長したと2011年BCジョブプランの最新情報を公開した。
5年間で雇用は19万1500件創出され、失業率は5・8パーセントと全国最低となったことを強調。今年5月の選挙で5期目を狙う自由党政権の雇用創出5カ年計画がうまく機能していることを主張した。
ただ反省点もあるとしている。雇用創出について19項目を目標に掲げていたが、そのうち4項目で目標を達成できなかったと語り、海外留学生の増加、鉱山業の成長、液化天然ガス(LNG)事業の成長などが達成できなかったことをあげた。
LNGについては2011年の計画では2020年までに最低でも3工場は稼働している計画だった。しかし現実には未だひとつも稼働に至っていない。その大きな理由として世界経済が大きく影響したと説明した。
今回の報告を踏まえ、今後5年間の経済目標として、多様化、革新、貿易、雇用を軸にしていきたいと語った。また、ブリティッシュ・コロンビア大学学長サンタ・オノ氏をイノベーション・ネットワークの首席顧問に任命し、大学とテクノロジー産業をつなぐネットワークづくりを任せたと発表した。
今回の報告に対して、野党新民主党(NDP)は懐疑的な見方を示している。5年間で創出された雇用は当初計画したものとは異なっていると反論。クラーク州首相は2013年にはLNG関連で10万人の雇用を約束していたと批判した。しかし実際にはほとんど実現していない。また雇用創出はバンクーバー広域圏に集中し、サービス産業がほとんどで、パートタイムが多いと偏っていることを強調。雇用増加は自由党政権の政策によるものだけではなく、カナダドルが下がったことによる、映画、旅行、テクノロジー産業が好調だったことも大きな要因と語った。
自由党政権を批判するNDPが党の雇用計画を発表していないとの批判について、同党ジョン・ホーガン党首は、自由党政権が来年度予算を発表した後、選挙前にはNDPの雇用計画を発表すると語った。
2017年1月26日 第4号
カナダ銀行は18日、金利を現行の0・5パーセントのまま据え置くと発表した。これで12回連続の据え置きとなる。
今回の金融報告書では、2017年のカナダの国内総生産(GDP)は2・1パーセントと前回報告書よりやや上方修正。2018年は2・1パーセントと変わらなかった。
ただトランプ次期大統領(18日時点)が言及しているアメリカ保護主義政策がカナダ経済にどのような影響を及ぼすかは不明として、「金利引き下げも視野に入れている」と必要であれば金利を引き下げる用意があると、スティーブン・ポロズ総裁はこの日の記者会見で語った。アメリカの経済政策がどのようにカナダ経済に影響するか不明の間は、当分引き下げの用意をしておくとの見解も語った。
カナダが前回に金利を引き下げたのは2015年7月。0・25パーセントまで引き下げた。
2017年1月26日 第4号
以前から立候補をするのではとみられていたケビン・オラリー氏が18日、保守党党首選に正式に立候補すると表明した。
オラリー氏はカナダのテレビ局CBCの経済番組、ラング&オラリー・エクスチェンジでコメンテーターを務め、また、カナダの起業家を発掘する同局ドラゴンズ・デンでは投資家5人のうちの1人として参加。経済やビジネスに精通していることで知られている。最近ではアメリカ版ドラゴンズ・デンのシャーク・タンクにも参加し、北米でよく知られる存在となっている。
今回の立候補表明は自身のフェイスブックにビデオメッセージを流して公表。その後、CBCに出演したオラリー氏は、これまで全く政治家としての経験がないことを「有利に働く」と語り、「金銭的な問題もなし、知名度でも問題がない。党のために正しいことをしたいだけだ」と語った。さらに、「金銭的に誰にも借りはないし、誰かの言うことを聞く必要もない」と政治家ならではのしがらみが自分にはないことを強調した。
この日に立候補表明をしたのには理由がある。保守党は前日、ケベック州ケベック・シティでフランス語のみによる党首討論会を行った。すでに13人が立候補しているが、英仏バイリンガルの候補は少ない。それでも何とか討論会を切り抜けた。
オラリー氏もフランス語が話せない。そのため、フランス語による討論会を避けるためにこの日になったことを自ら明かした。ただ、党首になるための用意としてフランス語は勉強しているという。
負ける勝負はやらない、とすでに党首選に勝つ気満々で、テレビインタビューでも自由党ジャスティン・トルドー首相に挑戦するコメントを連発していた。
カナダ経済をトルドー首相がダメにしていると主張。トランプ次期大統領(18日時点)が、減税をしようとしている時にカナダでは増税している、アメリカでは炭素税を廃止しようとしている時にカナダではさらに負担を増やそうとしているとトルドー政策を批判。自身が党首になったらトルドー首相を負かして、カナダに雇用を取り戻すと語った。
その過激な言動がトランプ次期大統領と似ていることから比較されるが、自身はあまり快く思っていないらしい。自身が移民一世であることから、移民排斥などは眼中にないと違いを強調した。
オラリー氏が立候補を表明したことで、他の13候補は警戒心を露わにしている。元運輸大臣リサ・レイト候補は、同氏が立候補を表明する前から「オラリー氏を止めよう」とウェブサイトを立ち上げている。
党首を決定する投票は今年5月27日に行われる。それまでに英仏両語による党首討論会が2回行われる予定で、次回はアルバータ州エドモントン市で2月28日に行われる。
オラリー氏は若者に訴えかけなければ勝てないと、ソーシャルメディアや全国を回って自身の主張をする予定と語り、当分は議員になるための議席確保は考えていないと語った。
その保守党候補の支持率が24日、世論調査会社フォーラム・リサーチから発表された。その結果、オラリー氏を支持するが27パーセントでトップ。保守党政権時代の元閣僚マキシーム・ベニエ議員11パーセント、リサ・レイト議員が7パーセントで続いている。