2017年1月26日 第4号
以前から立候補をするのではとみられていたケビン・オラリー氏が18日、保守党党首選に正式に立候補すると表明した。
オラリー氏はカナダのテレビ局CBCの経済番組、ラング&オラリー・エクスチェンジでコメンテーターを務め、また、カナダの起業家を発掘する同局ドラゴンズ・デンでは投資家5人のうちの1人として参加。経済やビジネスに精通していることで知られている。最近ではアメリカ版ドラゴンズ・デンのシャーク・タンクにも参加し、北米でよく知られる存在となっている。
今回の立候補表明は自身のフェイスブックにビデオメッセージを流して公表。その後、CBCに出演したオラリー氏は、これまで全く政治家としての経験がないことを「有利に働く」と語り、「金銭的な問題もなし、知名度でも問題がない。党のために正しいことをしたいだけだ」と語った。さらに、「金銭的に誰にも借りはないし、誰かの言うことを聞く必要もない」と政治家ならではのしがらみが自分にはないことを強調した。
この日に立候補表明をしたのには理由がある。保守党は前日、ケベック州ケベック・シティでフランス語のみによる党首討論会を行った。すでに13人が立候補しているが、英仏バイリンガルの候補は少ない。それでも何とか討論会を切り抜けた。
オラリー氏もフランス語が話せない。そのため、フランス語による討論会を避けるためにこの日になったことを自ら明かした。ただ、党首になるための用意としてフランス語は勉強しているという。
負ける勝負はやらない、とすでに党首選に勝つ気満々で、テレビインタビューでも自由党ジャスティン・トルドー首相に挑戦するコメントを連発していた。
カナダ経済をトルドー首相がダメにしていると主張。トランプ次期大統領(18日時点)が、減税をしようとしている時にカナダでは増税している、アメリカでは炭素税を廃止しようとしている時にカナダではさらに負担を増やそうとしているとトルドー政策を批判。自身が党首になったらトルドー首相を負かして、カナダに雇用を取り戻すと語った。
その過激な言動がトランプ次期大統領と似ていることから比較されるが、自身はあまり快く思っていないらしい。自身が移民一世であることから、移民排斥などは眼中にないと違いを強調した。
オラリー氏が立候補を表明したことで、他の13候補は警戒心を露わにしている。元運輸大臣リサ・レイト候補は、同氏が立候補を表明する前から「オラリー氏を止めよう」とウェブサイトを立ち上げている。
党首を決定する投票は今年5月27日に行われる。それまでに英仏両語による党首討論会が2回行われる予定で、次回はアルバータ州エドモントン市で2月28日に行われる。
オラリー氏は若者に訴えかけなければ勝てないと、ソーシャルメディアや全国を回って自身の主張をする予定と語り、当分は議員になるための議席確保は考えていないと語った。
その保守党候補の支持率が24日、世論調査会社フォーラム・リサーチから発表された。その結果、オラリー氏を支持するが27パーセントでトップ。保守党政権時代の元閣僚マキシーム・ベニエ議員11パーセント、リサ・レイト議員が7パーセントで続いている。