2017年2月9日 第6号

 プリンス・エドワード・アイランド州のウェスト・ケープに住むティッシュ・リッドストーンさん(92歳)は、つい先ごろ、6世代家族の中の第一世代となった。1月28日に生まれた、6世代目のカーターちゃんから見たらリッドストーンさんは『ひい・ひい・ひい・おばあちゃん』となる。

 リッドストーンさんら6世代は、プリンス・エドワード・アイランド西部の町オレアリー(O, Leary)を中心とした、車で15分の圏内にまとまって住んでいる。ウェスト・ケープももちろん、その中だ。

 メディアの取材に対しリッドストーンさんは、こうして長生きできて何世代もの子供を見られて、神に毎日感謝していると語っている。

 彼女はただ単にすごいことだと喜んでいたが、彼女の孫娘ジャニス・アナンドさん(51歳)が最近インターネット上で調べたところ、6世代がこの世で揃うことはかなり稀だということが、わかった。確認されている6世代家族は、イギリスにひと家族だけ。ただ、アルバータ州在住の女性が、今年の10月にはカナダで二人目の『ひい・ひい・ひい・おばあちゃん』になる可能性があるという。

 アナンドさんの娘シェリル=リン・ウォーレスさん(33歳)は、5世代家族になった時も大喜びしたが、今回はただただ感激していると語っている。ウォーレスさんら6世代家族は、近々一堂に会する機会を設ける予定だ。

 

 

2017年2月9日 第6号

 ケベック州モントリオール市のカメラマンが、同市のゲイ・カップルの結婚式は信仰上の理由から受け入れられないとして、撮影を拒否した。

 断られたのは、今年11月に結婚式を予定しているマイク・セラントラさんとビクターさんのカップル。

 撮影を依頼されたのは、結婚式の撮影を専門とするフォトスタジオ、プレミア・プロダクションズに所属するカメラマン。その打ち合わせのために出向いたセラントラさんに対して、カメラマンが花嫁についてたずねたため、セラントラさんは率直に花嫁はおらず、男二人の結婚式だと告げた。

 その後カメラマンから電子メールで、残念ながらこの件は引き受けることができないと告げられたセラントラさんは、ショックを隠しきれない。モントリオールの人権問題を扱う非営利団体センター・フォー・リサーチ=アクション・オン・レース・リレーションシップのエグゼクティブ・ディレクター、フォ・ニエミさんは、カメラマンの行動はショックなだけではなく、違法だと指摘する。

 人権と自由に関するケベック州憲章により、特に一般市民にサービスを提供するビジネスでは、性的指向性を理由に差別することは許されないと、ニエミさんは取材に説明している。

 メディアがフォトスタジオに取材を試みたが、応答はなかったという。

 セラントラさんとカメラマンがやりとりした電子メールを、セラントラさんの同僚がフェイスブック上に掲載したところ、30人ほどのカメラマンから結婚式の撮影を引き受ける申し出があった。この反応に喜ぶセラントラさんだが、同時にプレミア・プロダクションズにも差別を容認するような社内規定を改めるよう、願っている。

 一方ニエミさんは、『信仰上の理由』がゲイ反対の言い訳に利用されることを阻止するためにも、法的行動を起こすべきだと話している。

 

 

2017年2月2日 第5号

 アルバータ州カルガリーに本社を置くトランスカナダ社は1月26日、アメリカ国務省にキーストーンXLパイプライン建設計画承認のための許可申請を提出したと発表した。

 同月24日にトランプ大統領が同計画とダコタ・アクセス計画の2件の石油パイプライン建設計画を推進する大統領令に署名したことを受け、トランスカナダ社が早速対応したもの。

 同社は「(パイプライン建設計画が)アメリカのエネルギー安全保障を強化し、国益を維持するだろう」との声明を発表した。

 同パイプライン建設計画は、アルバータ州中東部のハーディスティから米国ネブラスカ州スティールシティまで1900キロメートルのパイプラインを建設し、そこからガルフ湾まで延びるパイプラインにつないで石油精製所にオイルサンドを運ぶ。完成すれば一日80万バレルを運ぶことになる。

 この計画は長年同社とカナダ保守党前政権が推進してきたが、2015年後半にバラク・オバマ前大統領が中止を決定。アメリカの環境政策に影響すると反対理由を説明した。さらにネブラスカ州では、パイプラインが通ることによって影響が出る土地の所有者が買収に応じておらず、パイプライン建設に関しては徹底的に戦うとしている。

 大統領令は発令されたものの、申請書提出後すぐに承認されるというわけではない。今後60日以内に承認の是非が発表される。

 今回の発表をカナダ政府やアルバータ州政府は歓迎している。連邦政府ジム・カー天然資源相は24日、「自由党政権は発足した時から同プロジェクトについては推進してきた」と述べ、カナダにとっても、アメリカにとっても、利益があると信じていると語った。

 アルバータ州レイチェル・ノッテリー州首相も、トランプ大統領の決定は歓迎できるものと、原油価格急落以降苦しんでいる同州の天然資源産業にとっては朗報と語った。その上で、アルバータ州としてはカナダの天然資源をアメリカ以外の市場に輸出することも重要との認識を示した。連邦政府は昨年、アジア市場への輸出を目的としたアルバータ州エドモントン市近郊からブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市までのキンダーモーガン社によるトランスマウンテン・パイプライン拡張計画を承認している。

 カナダは世界で3番目に多い石油埋蔵量を保有しているが、97パーセントをアメリカに輸出している。

 

 

2017年2月2日 第5号

 今年最初の国会は黙とうで始まった。6週間のクリスマス休会を終え、国会が再開した1月30日、前日ケベック州ケベック市で起きたイスラム教モスクでの銃撃事件で犠牲になった6人を追悼した。

 ジャスティン・トルドー首相は、「我々はあなたたちと共にある。3600万の心があなたたちと共に悲しんでいる。我々があなたたちを大切に思い、カナダを計り知れないほど豊かにしていると思っていることは分かってくれていると思う。ここがあなたたちの祖国です」とイスラム教徒の人々に向けて語った。

 トルドー首相は今回の事件に対して「卑劣なテロ行為」と非難。「彼らの狙いは我々を分断することであり、不和の種を撒き、憎しみを植え付けようとしている」と述べ、それに対して「我々は思いを閉ざすことなく、心を開いていく」と国民に語りかけた。

 野党3党党首もそれぞれ哀悼の意を表し、今回の行為に対しカナダの価値観に反すると非難した。

 トルドー首相とソフィー夫人、ラルフ・グッデイル公安相と野党3党首は、同日ケベック市で行われた追悼式に参加した。

 今回の事件を受け、世界中から哀悼の意が届いた。米ドナルド・トランプ大統領も電話でトルドー首相に哀悼の意を表し、支援を惜しまないと語ったと首相事務所が発表した。

 

 

2017年2月2日 第5号

 国会では新民主党(NDP)トム・マルケア党首が1月31日の国会で、同月27日に米ドナルド・トランプ大統領が発令した中東・アフリカ7カ国出身者の入国と、難民の受け入れを一時禁止した大統領令について、ジャスティン・トルドー首相が全く言及していないことを批判した。

 マルケア党首は大統領令を「人種差別的」と批判し、トルドー首相に強く非難するよう要求した。「我々には声を上げる義務がある」と訴えた。

 トルドー首相は、移民・難民入国制限の大統領令が発令された後、カナダは難民を歓迎するとのツイートを発信した。

 しかしマルケア党首は、自由党はトランプ大統領の行為に対して厳しい言葉で非難しておらず、カナダとして不十分と批判。曖昧な言葉では納得できないと語った。

 マルケア党首は、トランプ大統領と会談する時にこの大統領令を非難するつもりがあるのかと国会で質問。トルドー首相は、「カナダ国民は首相に、カナダ的価値観と原則のために立ち上がり、思いやりを持って対応することを期待している」と答え、首相として常にそのつもりだと明確な回答を避けた。

 専門家は、カナダはこれからアメリカとは北米自由貿易協定(NAFTA)や防衛などの問題で交渉をしていく必要があり、そのため、政府はアメリカを刺激する強い批判を避けることが賢明と指摘。トルドー首相はカナダの移民政策を肯定する形でアメリカとの違いを強調したと語っている。

 トルドー首相は今週中にもワシントンDCでトランプ大統領と会談する予定と一部報道されている。

 

 

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