2016年12月15日 第51号

 ブリティッシュ・コロンビア州ノースバンクーバー市で2日未明、クリスマスツリー用の生木30本などが盗まれる事件が発生した。

 盗難に遭ったのは、同市ロンスデール・キーにある孤児の支援を行う非営利団体、アント・リアズ・プレース。アシスタント・マネジャーのポール・スチュワートさんによると、未明に何者かが同団体の敷地を囲う金網フェンスを切断して侵入、そこに保管されていた生木30本(5千ドル相当)や、おいてあった備品を盗んでいった。

 犯人は最も高価なノーブル・ファーのみを狙っていた。またこれだけの本数を運び出すにはそれなりの車両が必要だったと思われるが、現場には監視カメラもなく、警察は犯人につながる手がかりをつかめなかった。

 同団体は、孤児の中でも政府の援助対象外となる年齢の子供らへの支援を行っている。スチュワートさんは、クリスマスを人々から奪おうとする絵本の主人公、グリンチが現実の世界にもいたことを嘆きながらも、残ったクリスマスツリーを売り切って資金をためるつもりだと取材に話していた。

 

2016年12月15日 第51号

 マニトバ州ウィニペグで10日朝、路上で出火した車を目撃したドライバーが、協力して車内の人を助けた。

 事故が起こったのは、同市サウスデール・センター前を走る、ファーモア・アベニュー。

 リチャード・シムチャックさんと息子のウィリアムさん(30歳)が乗った車は、ちょうどこのショッピングセンターのコーヒーショップ、ティム・ホートンズを後にしたところだった。

 突然、車のボンネットから炎が立ち上るのを見たシムチャックさんは、あわてて車の外に飛び出した。しかしダウン症のウィリアムさんが車内に取り残されてしまった。そこを通りがかったロス・エウバンクさん、車が炎をあげているのを見て車を路肩に止めて、ウィリアムさんをなんとか車の外へと引っ張り出した。

 またカイロプラティックからの帰り道だったジョアンヌ・ブレさんも、炎に包まれた車そばに立ちすくむシムチャックさんを見かけ停車。ウィリアムさんを自分の車の中に招き暖をとらせるとともに、息子の所持品を何とか車内から取り出そうとしていたシムチャックさんを、消防が来るまで車から離れているよう説得した。

 出火の原因は判明していないが、シムチャックさんはけが人が出なくて幸いだったと取材に語っている。またブレさんも、人助けができてよかったと話している。消防による鎮火後、シムチャックさんはウィリアムさんのバックパックを回収することができた。

 

2016年12月15日 第51号

 ブリティッシュ・コロンビア州ノースショアマウンテンのスキー場そばで11日、スキーヤー2人が遭難したが、翌日無事救助された。

 当初サイプレス・マウンテン・スキーリゾートでスキーをしていた2人は、あえて立ち入り禁止ラインをくぐってスキー場外に出て、スキーをしていた。そのうち1人がスキーを失い、斜面を横切っている時に雪崩に巻き込まれ谷底へと流された。場所は、同スキー場の東にあるトニー・ベーカー谷。

 2人は雪洞を掘り、暖を取るため定期的に体を動かして一晩を過ごした。スキー場一帯はこの日雲に覆われ視界が利かなかった上に、比較的暖かい気温で雪崩の危険性が高かったため、捜索活動は見合わされていた。

 天候が回復した12日朝から捜索が開始され、間もなくヘリコプターが2人を確認。雲にさえぎられ中断されることもあったが、最終的に無事に2人をヘリコプターに引き上げることができた。

 スキーヤーは、スキー場外に出たことは全く愚かなことだったと反省している。救助を行ったノース・ショア救助隊のマイク・ダンクスさんは、2人が無事に夜を過ごせることを祈っていて、2人は運が良かったと取材に語っている。スキーヤーから救助依頼を受けた警察が、その携帯電話の位置を正確に把握できたこともそのひとつ。

 また、2人が一晩を過ごした場所のすぐ上には、いつ崩れてもおかしくない雪のかたまりがあったという。谷底からのつり上げには、正確な操作が要求される200フィートの長さのワイヤーが用いられた。

 取材を受けたスキーヤーの1人は、これから妻と6カ月になる娘に会えると思うと、今が人生でもっとも安堵した瞬間に思えると語っていた。

 

2016年12月15日 第51号

 雪で高速道路が閉鎖になったため長距離バスが目的地に着けず、乗客がバスターミナルで一夜を明かさなければならなくなった。

 6日にマニトバ州を見舞った吹雪のため、カナダを横断する高速1号線が同州とサスカチワン州の州境で閉鎖となった。道路が再開されたのは、翌日の午後になってからだった。

 このため、6日夜に州境を通過し東に向かう予定だったグレイハウンド・バスは、サスカチワン州レジャイナのバスターミナルに引き返し、その日の運行を終了した。バスの乗客30人以上のほとんどは、そのままバスターミナルで夜を過ごし、運行再開を待たざるを得なかった。

 乗客によると、ターミナル側が用意したのは薄っぺらいマットのみ。毛布も枕もなく、みな着の身着のままで床に横になっていたという。また別の乗客は、グレイハウンド側からは運行などについて十分な説明がなかったことに苛立ちを感じたと、取材に答えていた。

 このバスターミナルを運営する、サスカチワン州の運輸サービス非営利企業STC(サスカチワン・トランスポート・カンパニー)は、バス会社と連携して、乗客が安心してターミナルで一夜を過ごせるようできるかぎりのことをしたと説明している。またマットのほかに、食事券も配布したとしている。

 またグレイハウンドも、急激な天候の急変は予測が難しいため、そのことによる運休や目的地変更になった場合に宿泊施設を用意するようなことはできないとメディアに語っている。また、運行再開と同時に速やかに目的地に向かえるよう、乗客が快適にターミナルにとどまれるよう努力していると付け加えている。

 また天候による運賃払い戻しについては、あくまでもケースバイケースとのこと。

 

2016年12月15日 第51号

 救急患者を乗せたピックアップトラックの荷台で、警察官と一般市民が患者に心肺蘇生を行っている動画がインターネット上で公開され、話題となっている。

 この出来事が起こったのは、アルバータ州エドモントンの北145キロメートルほどのところにある町、アサバスカで今年9月のことだった。

 ことの発端は、フェンタニール服用による薬物中毒の友人を病院へ連れていこうと、このピックアップトラックを運転していた女性が他の車と接触事故を起こしたこと。

 警察はすぐに到着したものの、救急車の到着まで17分かかると告げられた。薬物中毒の治療は時間との勝負であるため、事故の直後であるにもかかわらず、関係者は協力して患者をこのままピックアップトラックで病院に運ぶことに。さらに男性を荷台に寝かせ、移動中も心肺蘇生術を行うことにした。

 警察官の1人が心臓マッサージを、接触事故の相手の車を運転していた女性がマウス・ツー・マウス呼吸を行い、その後に救急車がついた。

 パトカーのドライブレコーダーが捉えた映像には、住宅地を抜けハイウェイにはいって病院に向かうピックアップトラックの荷台で、警察官と女性が心肺蘇生術を続けている様子が映されている。メディアの取材に対しエドモントンRCMPのローレル・スコット巡査長は、この2人の緊張度と興奮度が伝わってくると語っている。

 最近急増が問題になっている薬物中毒事故に対応するため、警察署にも麻薬拮抗剤ナロキソンが配備されるようになったが、当時はこの警察官の所属する署には未配備だったという。

 また心配蘇生術を施した警察官と女性は、匿名を希望している。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。