2016年12月8日 第50号

 トランスマウンテン・パイプライン拡張計画承認で揺れるブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市を、アルバータ州レイチェル・ノッテリー州首相が5日訪問した。2日間の滞在でBC州クリスティ・クラーク州首相とは面会しなかったものの、同州野党新民主党(NDP)ジョン・ホーガン党首と会談した。

 会談後ホーガン党首は、ノッテリー州首相は同じNDPであり、20年来の友人ではあるが、トランスマウンテン計画には賛成できないとの立場を発表した。BC州では来年5月に州議会議員選挙が控えている。

 ノッテリー州首相は2日間の滞在中、ほとんどをメディアとのインタビューに費やした。その中で、同じNDPとしてBC州NDP党首と会談することは重要だったと語ったが、ホーガン党首がパイプライン計画に反対を表明したことについては、事前に分かっていたことだし、BC州NDP党首としての立場があると理解を示した。

 天然資源産業が盛んなアルバータ州は2014年に石油価格が急落して以降、経済が不安定で、失業率が急速に悪化するなど、厳しい状況が続いている。そんな中、2015年にはそれまで40年続いた進歩保守党を破ってNDP政権が誕生した。以降、経済の立て直しと共に環境対策にも力を入れることを宣言し、炭素税の導入などを発表している。

 今回のバンクーバー訪問でパイプライン計画がアルバータ州だけでなく、カナダやBC州経済にも好影響を与えることや、アルバータ州の環境対策を訴え、理解を求めている。

 

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