2016年12月15日 第51号

 救急患者を乗せたピックアップトラックの荷台で、警察官と一般市民が患者に心肺蘇生を行っている動画がインターネット上で公開され、話題となっている。

 この出来事が起こったのは、アルバータ州エドモントンの北145キロメートルほどのところにある町、アサバスカで今年9月のことだった。

 ことの発端は、フェンタニール服用による薬物中毒の友人を病院へ連れていこうと、このピックアップトラックを運転していた女性が他の車と接触事故を起こしたこと。

 警察はすぐに到着したものの、救急車の到着まで17分かかると告げられた。薬物中毒の治療は時間との勝負であるため、事故の直後であるにもかかわらず、関係者は協力して患者をこのままピックアップトラックで病院に運ぶことに。さらに男性を荷台に寝かせ、移動中も心肺蘇生術を行うことにした。

 警察官の1人が心臓マッサージを、接触事故の相手の車を運転していた女性がマウス・ツー・マウス呼吸を行い、その後に救急車がついた。

 パトカーのドライブレコーダーが捉えた映像には、住宅地を抜けハイウェイにはいって病院に向かうピックアップトラックの荷台で、警察官と女性が心肺蘇生術を続けている様子が映されている。メディアの取材に対しエドモントンRCMPのローレル・スコット巡査長は、この2人の緊張度と興奮度が伝わってくると語っている。

 最近急増が問題になっている薬物中毒事故に対応するため、警察署にも麻薬拮抗剤ナロキソンが配備されるようになったが、当時はこの警察官の所属する署には未配備だったという。

 また心配蘇生術を施した警察官と女性は、匿名を希望している。

 

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