2017年8月17日 第33号

 ノバスコシア州ハリファックスの小学校、エコール・ロッキンガムの生徒らが制作した動画が国際コンテストに入賞、監督を務めた生徒や教師が、コンテスト表彰式の開かれた東京へ赴いた。

 この国際コンテスト、キッド・ウィットネス・ニュースは、日本の大手電気メーカーが1989年より国内外で続けている、小・中・高校生を対象として教育支援プログラム。ビデオ制作活動を通じて、創造性や協調性を高めることを目的としている。

 このコンテストには18カ国から26チームが参加、カナダからはロッキンガム校の作品のみがこの最終選考に残った。動画制作の監督を務めた5年生のハンナ・デイリーさんのもと、生徒たちは事前調査から脚本、撮影そして編集までを自分たちでこなした。『これが私たちのカナダ(Here's Our Canada)』と題されたこの動画は、同校の全学年の生徒たちが画用紙に描いた絵を、カナダ各州や主だった島しょの形に張り合わせ、それを教室の床に敷いた畳何枚分もある白地の台紙の上に並べていき、カナダ全体を作り上げているというもの。

 1日から5日にかけて東京で行われた最終審査では、惜しくも入賞は逃したものの、コンテストから多くのものを学ぶことができたと、デイリーさんは取材に答えている。

 また、このプロジェクトに10年間携わってきた、同校の5、6年生の英語を担当するアンドリュー・スティッキングスさんは、制作を始めた時にはここまでの結果を出せるとは誰も予想できなかったと話している。子供たちが、こうした思いも寄らない結果が出ることを目の当たりにし、どんなプロジェクトや取り組みも一生懸命やることが大事なんだと気づいてほしいと付け加えていた。

 また動画は楽しいだけではなく、生徒たちの問題解決能力やコミュニケーション力、想像力のほか、チームワークが発揮されてはじめて完成させられるものだとスティッキングスさん。

 デイリーさんは将来、映像関係の仕事に就きたいと考えているという。彼女とともに東京のコンテストに赴いた継父のアンドリュー・マクドナルドさんは、会場で他のチームの子供たちとも触れ合うことができ、その豊かな才能に感心したと話している。そして、その中にカナダ代表としての自分の子の姿を見ることができてうれしい、このような子供たちが作る将来は明るいものだと感想を述べていた。

 

 

2017年8月17日 第33号

 鶏肉加工食品会社大手のメープル・ロッジ・ファーム社は12日、同社のソーセージに関するリコール情報を発表した。

 製品に骨のかけらが混入している恐れがあり、カナダ食料検査庁には、これが原因とみられる事故が一件、報告されている。

 リコール対象となったブランド2種類あり、どちらも450グラム入りのフランクフルトで、詳細は以下のとおり。

メープル・ロッジ・ファーム・ビッグ・オリジナル・チキン・フランクフルト(Maple Ridge Farms Big Original Chicken Frankfurters)製造番号:2017.AU.27。UPCコード:067714004205
ザビハ・ハラール・ビッグ・オリジナル・チキン・フランクフルト(Zabiha Halal Big Original Chicken Frankfurters)製造番号:2017.AU.27。UPCコード:067714004236

 該当する商品をすでに購入していた場合は、廃棄するか購入した店に返品するよう、検査庁は呼び掛けている。

 

 

2017年8月10日 第32号

 カナダ政府高官が北朝鮮に入国していたことが8日分かった。平壌入りしたのはジャスティン・トルドー首相の国家安全保障担当補佐官ダニエル・ジーン氏ら。2015年12月に終身刑の判決を受けたカナダ人牧師ヒョンス・リム氏(62)のカナダへの引き渡し交渉に向かったとされている。

 リム牧師は、キム総書記の尊厳を傷つけ、宗教を利用して北朝鮮政権を倒そうとした罪で逮捕され、厳しい肉体労働を課す終身刑が言い渡された。カナダではオンタリオ州トロント近郊の教会に勤め、牧師の家族によるとリム牧師はこれまで100回以上北朝鮮に行き、孤児院や養護施設設置などの人道的事業に携わってきたという。

 終身刑が言い渡され、すでに1年半が経っているが、最近になって健康状態が思わしくないと友人に手紙で知らせたという。牧師の家族は、今年6月に北朝鮮で拘束されていたアメリカ人オットー・ワームビアさんがアメリカに帰国して数日後に病院で死亡したことから、トルドー首相に救出を訴えていたと関係者は語っている。

 首相広報官キャメロン・アーマド氏は「牧師の健康状態が政府としての最優先事項であり、今後もこの問題について尽力する。進行中の事案のため、現時点ではこれ以上のコメントは控える」と声明を発表した。

 しかしCBCニュースは、牧師の状態確認が最優先としながらも、「(北朝鮮)周辺地域について議論するのは自由」と政府関係者が語ったと伝えている。

 最近、北朝鮮をめぐる動きが激しくなっている。この時期にカナダ高官が北朝鮮入りすることについて、カナダが緊迫する北朝鮮問題について何か役割を担うのではないかとの憶測も飛んでいる。

 この翌日、北朝鮮中央通信はリム牧師を釈放したと発表した。健康状態を考慮しての人道的観点からの釈放と伝えている。

 

 

2017年8月10日 第32号

 ブリティッシュ・コロンビア州内陸部で発生している山火事は、7日、8日の2日間で新たに28件が発生したとBCワイルドファイアサービスが発表した。要因は、好天による乾燥と稲妻で、これで8日時点の山火事件数は146となった。4月から合わせると928件。約60パーセントが自然現象によるもので、残りは人為的要因としている。

 現在、州内ほとんどでキャンプファイアなど火を扱う行為を禁止しているが、人為的要因には故意ではなく不注意から発生しているものも多く、くれぐれも火の取り扱いには注意してほしいとBCワイルドファイアサービスは呼び掛けている。

 今月4日にはBC州政府が非常事態宣言を2週間延長、18日までとなった。州政府によると、同日時点で避難勧告25カ所での避難住民は約7100人。避難警告が発令されている地域の住民は2万5千人。

 7日にはウイリアムレイク周辺で避難勧告が解除され、約600人が自宅へと戻った。しかし再び勧告される可能性もあり、避難に備えておくよう呼びかけている。

 

 

2017年8月10日 第32号

 アルバータ州進歩保守党(PC)ジェイソン・ケニー前党首が4日、トランス・マウンテン・パイプライン拡張工事計画について記者団に言及した。キンダーモーガン社が手掛ける74億ドルの事業は、アルバータ州からブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市まで延びる現存のパイプラインを、輸送量を約3倍に増やすための拡張工事。昨年11月に連邦政府が承認し、BC州自由党前政権も承認した。

 しかし今年5月のBC州選挙で、野党だった新民主党(NDP)は反対を表明。「あらゆる手段を使って阻止する」と公約した。その後、選挙では自由党が最多議席数を獲得したものの不信任決議を経て先月、NDP政権が誕生。グリーン党との協力が前提での新政権が出発した。グリーン党も同計画廃止を掲げている。

 これに対し、アルバータ州は現在のNDP政権レイチェル・ノッテリー州首相もBC州NDP政権をけん制しているが、アルバータ州野党PCケニー前党首が、この件を利用し存在感を示そうとしている。

 アルバータ州では野党保守党2党PCとワイルドローズ党が先月党統合を党員投票で決定、進歩保守連合(UPC)が誕生した。現在は党首選が始まっている。ケニーPC前党首は7月29日、党首選立候補を正式に表明した。連邦保守党政権時代に移民相などの閣僚を歴任した知名度を生かして党首就任を狙っている。

 2014年に原油価格が暴落して以降、アルバータ州経済は後退。天然資源産業、特にオイルサンド事業が主要産業のアルバータにとって、アメリカ以外への市場拡大は州経済の復活を意味する。

 しかしBC州ではパイプライン計画反対が多く、先住民族や環境活動家だけではなく、周辺市も強く反対している。こうした背景もあり、BCNDPに票が集まったこともNDP政権誕生に一役買った。ただ政権誕生後、ジョン・ホーガン州首相のトーンが少し変化している。先月ジャスティン・トルドー首相とのオタワで会談した時も、パイプライン問題は主要事項にならなかったという。9月からはキンダーモーガン社の工事が始まる。

 パイプライン拡張工事については、今後もBC州NDP政権とアルバータ州政府、連邦政府の動きが注目される。

 アルバータ州UPC党首は10月28日に決定する。

 

 

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