2018年5月31日 第22号

 車の走行スピードを自動的に保つクルーズコントロールに不具合が起こり、解除ができなくなる恐れがあるとして、アメリカの自動車メーカー、フィアット・クライスラーがリコールを発表、対象となる車種のオーナーにクルーズコントロールの使用を控えるよう呼びかけている。

 この不具合は、車載コンピューターのネットワーク検査の過程で明らかになった。フィアット・クライスラーによると、この不具合による事故やけがは報告されていない。ただしカンザス州オレイサのドライバーが、2017年にアメリカ国家道路交通安全局に報告した不具合が、この不具合に関連しているのではないかと疑われている。この報告によると、2017年製ドッジ・ジャーニーを時速70マイル(約110キロメートル)でクルーズコントロールを作動して走行中、突然ワイパーが勝手に作動した後、スピードのコントロールができなくなったという。ドライバーはブレーキペダルを軽く踏んだり、クルーズコントロールの解除ボタンを押したりしてみたものの、クルーズコントロールを解除できなかった。最終的にドライバーはブレーキペダルを思いきり踏み込み、道路わきへ逸れて何とか車を停止させたが、その間エンジンは回転数を落とすことはなく、ひたすらブレーキを踏みこみ続けて減速させたと、報告している。ドライバーによると、エンジンストップボタンを押してもエンジンは同じ高回転で回り続け、車が停止した後シフトレバーをパーキングに入れることで、ようやくクルーズコントロールが解除できたが、タイヤのブレーキからは大量の煙が発生していたという。

 リコールの対象となる車種は、以下のとおり。

ドッジ・ラム1500 (2014〜2019年)
ドッジ・ラム 2500、3500、4500、および5500 (2014〜2018年)
クライスラー200 (2015〜2017年)
クライスラー300 (2014〜2018年)
クライスラー・パシフィカ(2017〜2018年)
ドッジ・チャージャー (2014〜2018年)
ドッジ・チャレンジャー(2015〜2018年)
ドッジ・ジャーニー (2014〜2018年)
ドッジ・デュランゴ (2014〜2018年)
ジープ・チェロキー (2014〜2018年)
ジープ・グランド・チェロキー(2014〜2018年)
ジープ・ラングラー (2018年)

 対象車種のドライバーは、メーカーの指示に従い早急にディーラーで車載コンピューターのソフトウエア更新を受けるよう、呼びかけている。カナダ国内では、およそ49万台が対象となる。

 

 

2018年5月31日 第22号

 ノバスコシア州の人里離れた湖で、釣りをしている最中に大腿骨を骨折した80歳の男性が、同じ場所にたまたま釣りに来ていた73歳の男性に救助された。

 チャールズ・ジャクソンさんが15日に釣りをしていたのは、ハリファックス市から北東に150キロメートルほど離れたゲイロック湖。同じ湖のほとりの木々の反対側には、漁師のポール・ハートさん(73歳)が、やはり釣り糸を垂らしていた。

 大した釣果がないため、一足先に引き上げようと釣り道具をしまい、バンに乗り込んだハートさんだったが、湖面にもう一人の釣り人の浮きが浮いていないことに気がつき、違和感を覚えた。車のエンジンを切り、再び湖岸に戻ったハートさんが見つけたのは、急な土手を転がり落ちて骨折、その痛みで呻いていたジャクソンさんの姿だった。

 二人とも携帯電話は持っていたものの、圏外だったためハートさんが最寄りのコテージまで車を走らせ助けを求めた。連絡を受けた救急隊が、ジャクソンさんをニュー・グラスゴーのアバディーン病院に搬送。診察の結果、ジャクソンさんの大腿骨は上部で3つに折れていたことがわかった。

 彼が滑り落ちた土手の下は、湖のほとりを走る道路からは全く見えないため、もしハートさんが「何かがおかしい」という直感に従わなかったら、ジャクソンさんは助からなかったかもしれない。

 昨年8月に愛妻を亡くしたジャクソンさん、ハートさんに「直感」を送ったのは、彼女に違いないと信じている。病室でジャクソンさんは娘に向かって、妻が自分のことを見ていて、ハートさんをよこしたのだ、さもなければ自分はここにはいなかっただろうと話していたという。

 一方ハートさんは、自分はあたりまえのことをしただけだと語り、自分も73歳であり、同じようなことが自分に起こっても不思議ではなく、賞賛されるようなことではないと謙遜している。

 ハートさんは折を見て、入院中のジャクソンさんを見舞いにいく予定だ。

 

 

2018年5月31日 第22号

 4月6日に、サスカチワン州フンボルトのジュニアホッケーチーム、ブロンコスの選手らを乗せたバスがセミトレーラートラックと衝突、16人が死亡、13人が大けがを負った事故はまだ記憶に新しい。その犠牲者に敬意を表するため、オンタリオ州北西部の人口5千人あまりの町スー・ルックアウトの青年が、1200キロ離れたフンボルトを徒歩で訪れた。

 この青年ランス・カーディナルさん(24歳)自身も、かつてはジュニアホッケー選手だった。

 2013年に兄と親友を失っているカーディナルさんにとって、今回の事故は自身にも強く迫るものがあったと、取材に語っている。またフンボルトがいかに遠くても、それは問題ではなく、歩いている最中も途中でやめたくなるような気分には、一瞬たりともならなかったと語っている。

 さらに日を追うごとに、自分が精神的、身体的、また感情的にも強くなっていくのが感じられ、2013年の悲しみに改めて向き合うことができたと言い、この強さをフンボルトの人と分かち合いたいと話していた。

 スー・ルックアウトを出発してから48日目、フンボルトの町に入ったカーディナルさんを出迎えたのは、ブロンコスの選手の家族をはじめ何百人という町の人々。カーディナルさんとともに、セレモニーが行われたホッケーアリーナまで町の中を行進した。

 カーディナルさんはフンボルトで3日ほど過ごし、地元の人とボールホッケーなどをして交流を深めた後、今度は車で自宅のあるスー・ルックアウトを目指した。

 

 

2018年5月31日 第22号

 ケベック州モントリオールで今月初め、男がマンションの屋上でナチス・ドイツの鉤十字の旗を振りかざしたが、罪に問われることはなかった。

 このマンションが立つ同市ハチソン通りではこの日、メーデーに合わせたデモ行進が行われていた。旗をかざす男の画像が、同地域のコミュニティグループのフェイスブック上に掲載されたのち、警察が捜査を開始した。しかし旗をかざすだけで、他人を扇動したり挑発したりしないのであれば、それを罰するような法律は存在しないとして、罪を問わないこととした。

 この決定に対し、カナダ・アンチ・ヘイト・ネットワークの代表バーニー・ファーバーさんは、この男は旗を掲げることで、デモ団体に挑発行為を行っていたと指摘する。その上で、他州では様々なヘイト容疑が告発されてきているが、モントリオールではそのような例がないと語っている。

 カナダにはナチス・ドイツの旗を所持したり掲げたりすることを禁止する法律はない。しかしヘイト行為に関する法律では、これが扇動やヘイト行為に用いられた場合には警察の介入を認めている。

 

 

2018年5月24日 第21号

 ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバーの公共交通機関トランスリンクで、アメリカの俳優モーガン・フリーマン氏がアナウンスに登場する。

 トランスリンクでは22日から、バスやスカイトレインなどの利用時に、クレジットカードやモバイル機器を直接タップする支払い方法が可能になった。これに合わせてトランクリンク社では、クレジットカードを財布に入れたままタップしないように呼びかけている。

 そのキャンペーンの一環として、「財布に入れたままタップしないように」というアナウンスにフリーマン氏が一役買っている。これは、フリーマン氏がビザカードの広告の声を担当していることから、ビザカードが今回のトランスリンク社の試みに協力することで実現したという。

 フリーマン氏のアナウンスは、バスやスカイトレインの駅で6月4日から7月29日まで聞けるとトランスリンクは発表している。

 アナウンスはクレジットカード使用キャンペーン以外にも、「シートに足をのせることはやめましょう」や、「バスの後方に詰めましょう」など、公共交通機関でのエチケット行為を促すためのアナウンスなどにもフリーマン氏が協力している。そして最後に「トランスリンクの利用にはビザカードをタップできるようになりました」と語りかけるという。  トランスリンクによれば、6月4日からとなっているが、アナウンスはそれよりも早い時期から流される可能性もあるとしている。

 さらに、バンクーバー市BCプレースを本拠地とするBCライオンズのホームゲーム、6月8日、16日、7月24日の試合終了後に、フリーマン氏の声で、トランスリンクでビザカードをタップして安全に帰宅しましょうとのアナウンスがあるそうだ。

 トランスリンクは以前から、乗車のためのコンパスカードを購入しなくても、クレジットカードとモバイル機器を直接タップしてスカイトレインやバスを利用できるシステムを導入することを発表していた。

 ただ、クレジットカードを財布に入れたまま財布を直接タップすると、財布に入っているクレジットカード全てが対象となるため、機械がどのカードをタップするか分からず、クレジットカードやモバイルアプリを利用する時は、1枚のカード、もしくは、モバイル機器のみをタップするよう呼びかけていた。ただトランスリンクによると、財布に何枚カードが入っていても読み取るカードは1枚だけということに変わりはないという。

 今回のクレジットカードやモバイルアプリによる利用は、普段コンパスカードを利用しない市民や旅行者には非常に便利な手段となる。特に、バンクーバー国際空港からスカイトレインを利用する旅行者は、これまではコンパスカードを購入して乗車する必要があったが、大きな荷物を持ってコンパスカードを購入しなくてもよくなったので便利になるだろうとトランスリンク代表ケビン・デスモンド氏は語っている。

 1カ月定期やディスカウントを利用する場合は、引き続きコンパスカードが必要となる。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。