2018年5月24日 第21号

 ブリティッシュ・コロンビア州南東部を中心に広がっている洪水被害を支援するため、カナダ軍の第一陣が16日、現地入りした。

 支援活動開始のための駐屯地が設置されたのは、同州内陸部の人口4万人ほどの都市バーノン。派遣されたのは、同州ビクトリアに近いエスクワイモルト海軍基地の太平洋統合機動部隊と、アルバータ州エドモントンに司令部を置くカナダ西部方面軍の兵士140人あまり。

 公安・非常時対応準備省のラルフ・グッデイル大臣はメディア向けの声明文で、兵士らは住民の避難や土のうの積み上げ作業、また住民の資産保全活動に当たると説明、該当地域の住民は当局の指示やアドバイスに従うよう呼びかけていた。

 また今後、必要になる機材や増員数について検討するため、軍の予備調査官がエスクワイモルト基地に派遣された。

 5月中旬より好天が続き気温が上昇したため、同州の主要河川のあちこちで水位が危険域に達し、先週の時点で3千世帯以上に避難命令や勧告が出された。街の中心部まで水につかったクートニー・バウンダリー地域の人口4千人ほどの町グランドフォークスには、約100人の兵士が派遣され、住宅の浸水対策などの支援を行った。先週末には河川の水位が上昇し、再び洪水被害が拡大するのではないかと心配されていたが、幸い水位は下がり始め、一部の地域の避難命令が解除されるまでになった。グランドフォークスの中心街も週明けには一般への立ち入り禁止が解除されたものの、多くの店では浸水被害の後かたづけに追われていた。

 

2018年5月24日 第21号

 サイモンフレーザー大学ステファン・イーストン教授の話として、カナディアン・プレスは21日、カナダでのマリファナ合法化に向けて、現在オレゴン州で起こっている現象が参考になるのではとの主張を紹介した。

 アメリカ・オレゴン州では2015年に嗜好品としてのマリファナを合法化。その後、約3年でマリファナ価格は当時の約半分に落ち込んでいるという。理由は供給過多で、イーストン教授は、すでに違法な市場が存在する産業ではこうした現象が起こる可能性が高いと指摘している。

 ただカナダではこうした現象は起きないのではという楽観的な見方もあるとカナディアン・プレスでは紹介している。

 カナダ保健省によると、5月11日時点で同省が受け取ったマリファナビジネス申請は1974件。すでに書類審査などが行われているという。

 自由党連邦政府は、選挙公約としてきたマリファナの合法化に向け、今年中、早ければ秋ごろの実現を目指しているが、野党や上院からの根強い反対意見がある。当初は今年7月1日を解禁日として目指していたが、それは実現できないことはすでに政府が発表している。

 今後は、各州のマリファナ合法化対応策や連邦政府の動きに注目が集まるが、カナダでマリファナ合法化がビジネスとして成功するかは未知数となっている。

 

2018年5月24日 第21号

 ブリティッシュ・コロンビア州ビクトリアのカップルが殺された、30年以上前の殺人事件が、最新のDNA技術によって解決された。

 1987年11月、ジェイ・クックさん(当時20歳)とターニャ・バン=カイレンボルグさん(当時17歳)が、米ワシントン州シアトルの郊外の、それぞれ別の場所から遺体で発見された。二人はクックさんの父親に頼まれて暖炉の部品を受け取りに同地を訪れていたが、その後消息が分からなくなっていた。

 同州スノホミッシュ群保安官事務所は事件解決の糸口として、バン=カイレンボルグさんの殺人現場から採取された犯人のものと思われる証拠のDNA解析を専門家に依頼した。その結果、容疑者の祖先が北ヨーロッパであることや、皮膚の色が極めて白くそばかすを伴っている可能性があること、また髪の毛は薄茶色ではげる場合もあるなどの特徴が判明した。

 これらの情報をもとに、容疑者の25歳および45歳、さらに65歳の時のモンタージュ写真が作成され、同保安官事務所が先月一般公開した。それから約5週間後の17日、シアトル=タコマ地域に住むウィリアム・アール・タルボット容疑者(55歳)がついに逮捕された。

 記者会見でタイ・トレナリー保安官は、これは最新のDNA技術と、捜査を続けてきた刑事らの犯人逮捕への決意が組み合わさった時、いかに強力なものになるかを示す好例だと語っていた。

 

2018年5月24日 第21号

 オンタリオ州で来月7日に控えている州議会議員選挙で新民主党(NDP)が猛烈な追い上げをしていることが最近の世論調査で分かった。

 イプソスが22日に発表した世論調査では、明日選挙が行われたらどの党に投票するかという質問に対し、NDPと答えたのは回答者の37パーセント、進歩保守党(PC)が36パーセントで、これまでトップを走っていたPCをNDPが追い越していることが明らかになった。自由党は23パーセント、グリーン党は4パーセントだった。

 最近の傾向として、NDPの支持率が伸び、PCが下落している理由について、トロント市周辺都市での支持率が下がっていることが挙げられると分析している。通常ならこの地域は保守が強いことで知られている。PCは前党首がセクハラ問題で辞任を強いられ、新党首にダグ・フォード氏が選ばれた。しかし、独自の政治観を示すフォード党首のやり方には反発も強く、自由党もPCも支持したくない有権者がNDPを支持しているとの見方もある。

 またCBCの世論調査分析によると、支持率でトップはPCで37・9パーセント、NDPが33・8パーセントと、やはりNDPが大きく支持を伸ばしていることが分かった。

 これまで二桁台のリードをしていたPCだが、選挙が近づくにつれ、その差を詰められていることが明らかになった。自由党は23パーセントとほぼ変わらず、グリーン党は4パーセント。

 CBCはこれらの支持率を得票数に換算すると、PCが過半数を獲得する可能性が高いと予想。51議席から88議席になるのではと試算している。オンタリオ州議会で過半数を取るには63議席が必要で、75議席は取れるのではないかと予測している。NDPは30から59議席、自由党はゼロから26議席と16年間政権を担当していた与党に厳しい予測をしている。

 ただ、選挙までに2週間あり、まだまだ流動的で、最後まで接戦になるのではとの予想が強くなっている。

 

2018年5月24日 第21号

 カナダ統計局は18日、4月のインフレ率が2・2パーセントと発表し、専門家の予測2・3パーセントを下回ったことが分かった。これで今月30日にカナダ銀行が発表する金利については現行のまま据え置きする可能性が高くなったとして、この日のカナダドルが一時77・52米セントまで下落した。

 その他にも、カナダドルが下落した要因として、原油価格の下落とNAFTA(北米自由貿易協定)の見通しの不安定さが挙げられている。

 インフレ率が下落した要因には、旅行に関する料金が下がったことやガソリン価格の緩やかな下落が挙げられている。一方で、衣料・食品に関する価格が上昇したことがインフレ率を引き上げたと分析している。

 カナダ銀行が注目しているコアインフレ率は、1・9パーセントと前回調査から変更していないことも分かった。

 専門家は次の金利の引き上げは、7月が有力とみている。

 

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