2018年5月24日 第21号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府は22日、アルバータ州政府をアルバータ州裁判所に提訴したと発表した。アルバータ州政府が先週BC州への石油・ガスの供給を規制する法案が可決し、それが憲法違反にあたると主張している。

 アルバータ州の石油・ガス供給規制が実施されれば、BC州民の生活に大きな支障を与えることは必至で、特に自動車による移動手段しかない遠隔地域では健康被害が出る可能性もあるとBC州デイビット・イービー司法長官は訴えている。

 今回のBC州政府の措置についてアルバータ州政府は、予測済みとしているものの、アルバータ州政府の法案は議会で可決されたが規制の詳細は公表していないため、BC州の動きは時期尚早ではないかとけん制している。

 アルバータ州政府の今回の法案は、BC州政府がBC州内を通るオイルサンドに対する輸送量に環境問題を理由に規制をかけることが、BC州政府の権利であると裁判所に訴えることで、キンダーモーガン社のトランスマウンテン・パイプライン拡張工事を遅らせていることへの報復措置として、アルバータ州政府が成立させた。

 トランスマウンテン・パイプライン拡張工事については、今年に入り、環境問題、特に海洋汚染を懸念するBC州政府と、オイルサンド産業が主要産業のアルバータ州政府、パイプライン建設を承認した連邦政府の対立が激しくなっている。

 特にBC州政府とアルバータ州政府は、現在政権を担当している新民主党(NDP)両政府がそれぞれの州内事情を抱えていることもあり、対立姿勢が鮮明になっている。

 連邦自由党政権は、全国への炭素税導入の実現に向け、アルバータ州政府の協力が必要でパイプライン建設を承認したとして、パイプライン建設実現に向けて全精力を傾けている。

 こうした中、パイプライン抗争が要因で、アルバータ州レイチェル・ノッテリー州首相は、23日にノースウエスト準州イエローナイフで開かれる西カナダ州の州首相会議を欠席すると21日に公表した。公式には5月31日の最終決定日を前にアルバータ州に残って対策を検討すると発表しているが、CBCはBC州との対立が理由と伝えている。

 21日の会議には、BC州、サスカチワン州、マニトバ州、ヌナブト準州、ノースウエスト準州、ユーコン準州の州首相が一堂に会して、連邦政府が提案している健康保険制度やマリファナの合法化などについての対策を話し合うことになっていた。

 アルバータ州はセーラ・ホフマン州首相代理を派遣すると発表している。

 

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