2018年5月17日 第20号
メジャーリーグサッカー(MLS)バンクーバー・ホワイトキャップスFCは、11日、バンクーバー市BCプレースでヒューストン・ダイナモと対戦した。
先取点はダイナモ。35分にマルティネスが決めて0‐1。しかしホワイトキャップスも前半終了間際の44分にMFアジャが同点弾を決め、1‐1で後半に折り返した。
後半は両チームとも無得点のまま終盤を迎えたが、90分にダイナモがゴールを決め、土壇場で1‐2とリードした。それでもホワイトキャップスは、アディショナルタイムに入った94分に、キャプテンDFワストンが劇的に同点ゴールを決め、なんとかホームで引き分けに持ち込んだ。
連敗を免れたホワイトキャップスはこれで4勝5敗2分とし、勝ち点14。11試合を終え、5位につけている。
次のホームゲームは5月26日にニューイングランド・レボリューションと対戦する。
2018年5月17日 第20号
マニトバ州ウィニペグ大学の歴史家が、カナダのジャンクフードに関する調査を行い、論文として発表した。
カナダにも以前はポテトチップスやキャンディなど独自のブランドが多く存在していたが、そのほとんどが消え去っていった。論文は、そうしたブランドの歴史のほか、多くの人がカナダのオリジナルと信じている商品に、実は複雑な背景があることなどを解説している。
キャンディ以外で最も有名なカナダ独自のスナック菓子といえば、多くの人がチージー(Cheezies)を思い浮かべるだろう。食品大手ペプシコ傘下のフリトレーが販売しているチートス(Cheetos)と同じような、きついオレンジ色と強い塩味のスナック菓子だが、チートスとの大きな違いは、チージーのほうがはるかに固く、形も色も不ぞろいということ。
このスナック菓子を製造しているのは、オンタリオ州ベルビルにあるW・T・ホーキンス社。1949年にオンタリオ州で生産が始まったこの商品のアイデアを思いついたのは、同社工場の社員。工場に新しく導入された機械で生産されていた家畜飼料用のコーンミールが機械から出てくる様子を見ていた時に、これを油で揚げてチェダーチーズをまぶせば、おいしいスナック菓子になるのではないかとひらめいたという。
今では純粋なカナダの企業であるW・T・ホーキンス社だが、論文を書いたジャニス・ティーセンさんの詳しい説明によれば、この会社はもともと米イリノイ州シカゴに本社を置いていた大手スナック製造会社のカナダ支社だった。それが分裂騒動や倒産、全米トラック運転手組合を介したマフィアの影響など、紆余曲折を経てカナダ企業として独立することになる。
現在でも創業者の子孫が所有しているホーキンス社だが、スナック菓子業界の中にあって異例なのは、商品の宣伝を一切していないこと。また1956年から操業を開始した現在の工場にも、社名などの看板が全くない。
普段は部外者が入れない工場の見学を許可されたティーセンさんは、勤続40年以上の従業員も珍しくない、愛社精神にあふれる職場を目の当たりにし、「ビジネススクールで教える企業モデルに取り上げられてもおかしくない会社だ」と評している。
カナダ西部におけるチージーの販売は、マニトバ州ウィニペグが本社のオールド・ダッチ・フーズが行っている。同社は同名のポテトチップスで有名だが、多くの人が純粋なカナダ企業と信じている同社も、その実態はもっと複雑だとティーセンさん。
オールド・ダッチ・フーズは組織上、米ミネソタ州ローズビルの同名企業のカナダ支社である。しかし実際のビジネスを見ると、その70パーセントがカナダ側で行われており、カナダ側が主導権を握っている会社といえる。オールド・ダッチ・カナダは主にカナダ産のジャガイモとカナダ産カノーラオイルを用い、カナダの工場でポテトチップスを生産している。
また面白いのは、同社のポテトチップスのフレーバーについて、カナダ側と米側では違いが見られること。カナダでは全般にビネガー味や、ディル・ピクルス味と言ったあまり一般的ではない味が好まれている。一方米側では、サワークリーム・アンド・オニオン味がうけるという。その理由は、カナダ人がもともとフレンチフライにビネガーをかける風習があったためだとか、それぞれの地域の移民の出身地の違い(カナダ西部は東ヨーロッパ、ミネソタはスカンジナビア諸国)であるとか、諸説ある。
2018年5月17日 第20号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー東部に、中米コロンビアの麻薬カルテル王の名前を冠したレストランがオープンしたが、これに抗議するグループがオープン当日、レストラン前で抗議活動を行った。
このラテン系料理のレストランの名前は、エスコバル。中米コロンビアで1980年代から90年代にかけ強大な麻薬カルテルを組織したことで知られる、パブロ・エスコバルに由来するもの。彼の名前が一般に広まったのは、2015年にインターネット上の動画配信サービス、ネットフリックスがドラマシリーズ『ナルコス』で取り上げたことがきっかけだった。エスコバルが築いた麻薬組織と、アメリカへの麻薬密輸を阻止しようとするアメリカから派遣された麻薬取締官の闘いを描いたドラマがヒット、彼の名前がポップカルチャーとして注目されるようになっていた。
極悪非道と呼ばれたエスコバルはその犯罪組織とともに、何百人の警察官を含む1千人以上の殺害に関与したといわれている。こうした悪の象徴ともいえる人物の名を冠したレストランがオープンすることを知った地元のコロンビア系カナダ人コミュニティが、オーナーに対し名前の変更を要求していた。
オープン当日、同市フレーザー通りとキング・エドワード・アベニューの交差点の南側にある同レストランの前には、この名前に反対する約60人が集まり、レストランのボイコットを呼びかけるプラカードなどを掲げた。一時は警察も出動する事態となったが、抗議グループと店や来店客との間にトラブルはなかった。抗議グループはこれからも、店の名前が変わるまでは活動を繰り返すと語っていた。
2018年5月10日 第19号
メトロバンクーバーの公共交通機関で、5月22日からクレジットカードやモバイル機器での運賃の支払いが可能になる。
対象となるのは、メトロバンクーバーの公共交通機関を管轄するトランスリンク社が運営するバス、スカイトレイン、シーバス、ウエストコースト・エキスプレス。
使用できるクレジットカードは、タップ式での支払いが可能なビザとマスターカードで、モバイル機器では、アップルペイ、グーグルペイ、サムソンペイ。
使用方法は通常のコンパスカードと同様、スカイトレイン、シーバス、ウエストコースト・エキスプレスでは乗車前と後に、バスでは乗車時のみに、コンパスカードの読み取り機にタップすると、利用した区間の運賃がクレジットカードにチャージされる。トランスファーもコンパスカード使用時と同様に可能。バス、スカイトレイン、シーバスは90分間、ウエストコースト・エキスプレスは180分間有効となっている。デビットカードは現在のところ対象外で使用できない。
対象となる料金は、現金支払いの大人料金のみ。コンパスカードに設定されているバリュー料金を利用している場合や、1カ月定期を利用している場合などは、引き続きコンパスカードの使用が必要となる。
今回のクレジットカード利用開始時期が発表された4月23日、トランスリンクCEOケビン・デスモンド氏は、コンパスカードはトランスリンクを通勤や通学など常時利用している人向けで、今回のクレジットカード払いについては単発的な利用者や旅行者にとって便利なシステムとなると語っている。
ただ注意点もある。数枚のカードを同時にタップするとカードクラッシュが起きるという。例えば、クレジットカードを複数入れた財布をそのままタップしたり、スマホケースにコンパスカードとクレジットカードの両方を入れたままモバイル機器で支払いをしたりした場合など、カードクラッシュが起きることもあるため、必ず1枚のみをタップするよう注意を呼び掛けている。
また将来的には、現在は利用できないデビットカードでの支払いや、コンパスカードアプリの開発も進め、これらの方法でも利用できるようにしたいとしている。
クレジットカードの利用に関する詳細は、トランスリンクのウェブサイトを参照。https://www.translink.ca/Fares-and-Passes/Tap-to-Pay.aspx
2018年5月10日 第19号
オンタリオ州で6月に実施される州議会議員選挙を前に、3党の党首による党首討論会が7日、行われた。
参加したのは、現在政権を担っている自由党キャサリーン・ウィン党首、野党第一党で3月に党首となったばかりの進歩保守党(PC)ダグ・フォード党首、そして野党第2党新民主党(NDP)アンドレア・ホーワス党首。各党首とも、自党の政策と現政権批判を展開した。
自由党ウィン党首は、これまでの与党としての16年間の実績と現在の好調な経済基盤を強調した。最近はウィン党首の支持率が急低下し、自由党は苦しい選挙戦を強いられると予測されている。
久しぶりの政権奪取を狙うNDPホーワス党首は、電力会社ハイドロ・ワンの民営化を実施した自由党政権の政策を批判、NDPが政権を取ったなら州政府が買い戻すと主張した。
また、自由党ウィン党首と一緒にフォードPC党首を攻撃。フォード党首が掲げている法人税引き下げ、電気料金引き下げ、3年60億ドルの隠れ予算の捻出、病院での待ち時間短縮、公共交通機関への50億ドルの投資など、これらの政策に必要な資金をどのように工面するのか具体的な方法を示すように迫った。
これに対しフォード党首は、明確には回答せず、自由党政権批判に終始した。フォード党首にとっては、これが初めての党首討論会。専門家は、党首討論会に不慣れな印象は拭えなかった、これによってどれくらいの影響が出るかは未知数と語っている。
一方で、今回の討論会で存在感を示したのはNDPホーワス党首という。自由党に不満を持つ層やフォードPC党首に不安を持つ有権者へのアピールとしては上々の滑り出しとの評価が出ている。
しかし支持率では相変わらずPCがトップを走っている。CBCの調査によると7日の時点で、PC支持が41・8パーセントでトップ、次いで自由党26・2パーセント、NDP25・5パーセントと続く。
PCは3月に党首が交代する前から支持率では自由党を引き離してトップを走り、フォード党首に交代して支持率に変化が現れるかどうかが注目されていたが、現時点では相変わらずトップを維持している。
今後は、この党首討論会がどのように選挙に影響してくるのか、存在感を示したNDPが躍進するのか、不慣れでもPCフォード党首がトップを維持できるのか、ますます関心が高まっている。
オンタリオ州選挙はまだ公示されておらず、今週末に正式に選挙戦に突入すると予定されている。選挙は6月7日に実施される。
今回の党首討論会ではグリーン党マイク・シュレイナー党首が参加できなかった。