2018年5月10日 第19号
ブリティッシュ・コロンビア州内陸部では、気温の上昇による雪解けが急速に進み、一部の地域で洪水被害が出ている。
オカナガン湖西岸のサマーランド地域のフォウルダーとミドウバレーでは、5日までに60世帯に対し避難警告が出されたほか、南オカナガン・シミルカミーンの400世帯以上に対し洪水に警戒するよう勧告が出され、33世帯が避難した。
これら地域の上流にあるダーク湖は満水状態となっているが、地域からオカナガン湖に流れ出す下流の渓谷のキャパシティは、増加した水量を流せるほど大きくない。
同地域は非常事態を宣言、住民らは土のうを敷地の周りに積み上げるなどして、水位上昇に対処している。しかし専門家によると、春の気温上昇がさらに雪解けを加速させるため、洪水が収まるまでには時間がかかり、その前にはさらなる水位上昇の危険性があるという。
また同地域から100キロほど北西のローワー・ニコラ・バレーでも被害が拡大している。同地域の中心、メリットの近郊では50世帯以上に避難命令が出されたほか、ニコラ・キャンフォード小学校は7日、休校となった。
そのほか、フレーザー川沿いの町リットンの北側で運行されている、フレーザー川を渡るリットン・フェリーも川の水位の上昇のため運休となった。
2018年5月10日 第19号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーの独立系映画館の中でも、80年という長い歴史を誇るリオ劇場。今では少なくなった、当時をしのばせるアールデコ調のこの劇場を含む一角は、土地利用区分が変更されたことで開発業者による再開発の動きが起こり、その場合は買い取られた同劇場は取り壊される危険性があった。
この劇場を運営してきたコリーン・リアさんは2月、開発業者による買収を阻止するため、自らもリオ劇場を買い取る意思を表明。直後から何百万ドルともいわれた購入金額を工面するためインターネット上での寄付を募り始め、これまでに50万ドル以上が集まった。
さらに支援の輪は業界に広がり、映画監督のケビン・スミスさんや、バンクーバー出身の映画俳優で『デッドプール』の主役を演じたライアン・レイノルズさん、同じくバンクーバー出身でSFホラーテレビドラマ『ストレンジャー・シングス』やホラー映画『イット〜それが見えたら終わり〜』などに出演した15歳の俳優フィン・ヴォルフハルトさんなどが声を上げていた。
こうした支援とともに、売買契約締結期限の7日が目前に迫った先週には、リアさんがバンシティ信用組合に申請していたローンが承認された。これでゴールに手が届きそうだと取材に語るリアさん。7日に契約内容を詰めたあと、彼女とビジネスパートナーは60日以内に300万ドルのデポジットを払うことになる。また出資を約束する投資家も名乗りを上げているが、リアさんはそれ以外の一般の人々でも同劇場の株を購入できるようにして、80万ドル程度の寄付を集められるよう計画中だと話している。
リアさんはまた、バンクーバーでは人々に愛されていた施設やビジネスが、やむなく閉鎖に追い込まれたケースがいくつもあると語り、自分はその流れを変えることもできるのだということを、みんなに示したいと希望を述べていた。
2018年5月10日 第19号
サスカチワン州サスカツーン空港で3日、出発に向けて準備中だった旅客機の内部にアライグマが侵入した。このアライグマを機外に追い出すために、約6時間を要した。
アライグマが侵入したのは、サスカツーン発トロント行きエアカナダ1126便。エアカナダの説明によると、アライグマは駐機中の機内に空気を送り込むエアーダクトの中に隠れていたという。整備士がこのエアーダクトを駐機場の地面から取り出し、機体下部に接続したところ、アライグマがダクトを駆け上がり機内の空調システムに侵入した。
この様子を搭乗待合室の窓ごしに見ていた乗客のダミアン・リーさんは取材に対し、ゲートに到着した飛行機から前の便の乗客の荷物が降ろされる頃には、異変に気が付いていたと話している。地上係員らの様子から、彼らが何か予期しない事態に遭遇、どう対処したらいいか手をこまねいているのがわかった、1時間もしないうちに応援の係員や動物保護官などが到着、そして飛行機の外板を外し始めたという。
リーさんは、最初の1時間ぐらいはめったに見られない光景を楽しんでいたが、3時間もたった頃には皆アライグマへの興味は失せ、次第にまわりは気難しい表情になってきたと、当時の様子を語っている。
ようやくアライグマが機外に逃げ出したのは、午後8時30分ごろ。出発予定の午後2時50分からすでに5時間半ほどが過ぎていた。最終的に飛行機がトロントに向かって離陸したのは、午後10時頃のことだった。
サスカツーン空港では昨年夏、1千匹以上のハチが駐機場の飛行機の周りに群がり、地上係員を刺すなどしたため、駆除業者の出動を要請したことがある。このためウェストジェット機の出発に1時間以上の遅れが生じた。
2018年5月3日 第18号
ブリティッシュ・コロンビア州でのガソリン価格の高騰が止まらない。メトロバンクーバーのガソリン価格は4月29日、ついに1リットル1・6ドルを超えた。
北米主要都市では最も高い。次いで高いのはビクトリア。バンクーバーではもちろん史上最高価格。ここまで高くなったのは1998年以来。
しかし専門家はもう少し上がると予想。1・65ドルまでは上がるのではないかと予測している。
バンクーバーでガソリン価格が高騰している要因は、安いカナダドルと二つの精製所がメンテナンスに入ったため。毎年夏は旅行などでガソリンの需要が増えるため、ガソリン価格が上がる傾向にある。
炭素税も引き上げられたが、BC州ジョン・ホーガン州首相は、炭素税の引き上げは今回のガソリン価格の高騰に直接の影響はないと語った。NDP政権による炭素税の引き上げは、1リットルにつき約1セント。問題は供給不足によるものであり、NDPが政権を取るずっと前から指摘されている問題。パイプラインを拡張してオイルサンドを海外に輸出するのであれば、連邦政府の政策として国内供給用を増やすことが先決と語った。
ホーガン州首相は現在、ワシントン州ジェイ・インスリー州知事と、この件について協議を続けているとも語った。
2018年5月3日 第18号
5月1日、バンクーバー市役所前を抗議団体がブロックしてバンクーバー市と市長に対して抗議デモを行った。
100パーセント低所得者層への住宅とすると、グレゴール・ロバートソン市長によって約束された集合住宅が、その3分の1のみが低所得者用価格(375ドル)として賃貸契約できるということに対する抗議。
低所得者層への住宅確保を訴える団体は約束が違うと憤る。バンクーバー市ダウンタウン・イーストサイドといわれる地区で暮らすホームレスの人々への住宅供給は緊急性を要しているにもかかわらず、100パーセントと約束した231戸のうち約3分の1の77戸のみでは、約1200人とされるホームレスの人々の救済には、焼け石に水だということを訴えに来たと語っている。
ロバートソン市長が約束したのは2016年8月。しかし市議会は今年に入り、約3分の1戸にのみ低所得者向け価格を設定することを賛成多数で承認した。高騰を続けるバンクーバーでは低所得者向け住宅の確保は、大きな社会問題にもなっている。
今回のデモにより、この日の市議会は場所を移して行われた。