2018年5月3日 第18号
ブリティッシュ・コロンビア州内陸部の先住民族、内陸部サリッシュ族のディオン・カスザスさんは、先住民族の伝統的なタトゥーの技術の普及に尽力しているアーティストのひとりだ。しかし先住民デザインのタトゥーが一般人の間に広まるにつれ、今度はこれが非先住民による文化の盗用になるという論議が起きている。
例えばジャスティン・トルドー首相は左肩に、地球を抱く先住民デザインのワタリガラス(レイブン)のタトゥーを入れている。このワタリガラスは、同州ハイダグワイの著名な先住民アーティスト、ロバート・デビッドソンさんの作品を基にしている。
このタトゥーについてデビッドソンさんは、自分には何の相談もなかったと指摘、際限なく繰り返される無断盗用に、失望する感情も麻痺してしまったようだと嘆いている。こうした先住民アートは高度に洗練されながらも沈黙に追い込まれた自分たちの祖先や文化を反映しており、先住民の間では畏敬の念すらもって扱われているとデビッドさんは説明、「首相は私たち先住民を、感情を持った人間だとは思っていない」と、取材に語っている。
この件についてトルドー首相の公報担当はコメントを控えているが、代わりに首相が2012年にツイッターに「地球のタトゥーは25歳の時に、そして40歳の誕生日にロバート・デビッドソンのワタリガラスを追加した」と書き込んでいることに触れている。
しかしカスザスさんも、非先住民による先住民デザインのタトゥーへの盗用は他人のアイデンティティを勝手に自分の体の一部にする行為で、先住民に対する虐殺に等しいと非難する。
デビッドソンさんは、トルドー首相が選出された時にハイダ族の間では、新しい政権が先住民の生活向上と彼らの聖地を保護する政策を取るのではという期待が高まっていたと語っている。しかし今では、まるで使い古された雑巾のような気持ちだと、ため息をついていた。
2018年5月3日 第18号
カナダ統計局は5月1日、2月の経済成長率が0・4パーセントだったと発表した。このペースでいけば、3月が仮に成長率ゼロだったとしても、今年の第1四半期の成長率は1・6パーセントとなり、カナダ銀行が4月18日に発表した今年第1四半期の予測1・3パーセントを上回る。
カナダ銀行は今後の金利引き上げは経済次第との見解を示していた。昨年7月からすでに3回金利を引き上げているカナダ銀行だが、今後も金利引き上げの可能性が高いとみられている。
2018年5月3日 第18号
アルバータ州カルガリー市で4月25日朝、小型双発機がラッシュアワー前の幹線道路に緊急着陸した。
この飛行機は、同州南東部の人口6万3千人ほどの都市メディシン・ハットにある航空会社、スーパー・T・アビエーションの9人乗りの飛行機で、メディシン・ハット空港を午前4時45分過ぎに離陸、カルガリー空港を目指していた。パイロット2人のほか、4人の乗客が乗っていた。その約一時間後、カルガリー国際空港の南側から滑走路にアプローチしていた同機にトラブルが発生、空港手前の幹線道路36番通りに緊急着陸した。
この道路には、並行して同市の路面交通システム、Cトレインが走っている。緊急着陸後パイロットはメディアに対し、右エンジンの燃料ポンプが故障したと語っている。
機体は着陸後に右翼端を街灯にぶつけたものの、ほぼ道路の中心にまっすぐ停止した。乗員乗客にけがはなかった。まだ夜が明けきる前のラッシュアワーの始まる前だったため、道路を走行中の車にも被害は及ばなかった。
着陸の様子を目撃した人々は、突然頭上すれすれに現れた飛行機とその爆音に驚いたと語りながらも、道路からそれずにまっすぐ機体を着陸させたパイロットの技量に賞賛の声を送っていた。
一方、安全委員会の調査官は、事故原因に言及するには時期尚早と取材に語っていた。旅客輸送に用いられる飛行機は、プロペラ機でもジェット機でも、複数のエンジンのうちの一機が停止しても飛行を続けられる仕様となっているため、事故原因を詳細に調べる必要がある。
2018年5月3日 第18号
ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバーの各都市では、5月1日より芝生への散水制限が始まった。
今年は昨年より開始が2週間早い。また1週間で散水可能な日数が、昨年の3日から2日に削減されているので注意が必要。
これは貴重な水資源を今から大切に使うように心がけ、長く続くかもしれない暑い夏場に備えるためだと、メトロバンクーバー公益事業委員会のダレル・マサット議長は説明している。
メトロバンクーバーに水を供給する各貯水池の水量は、キャピラノ貯水池が100パーセント、シーモア貯水池が80パーセントを少し超えたところで、コキットラム貯水池の貯水量も良好だという。
散水制限は10月15日まで続けられる予定。制限に違反して散水すると、250ドルから最高1千ドルの罰金を科せられる。
散水制限(ステージ1)のスケジュールは、次のとおり。
個人住宅(芝生)
偶数番地:水・土曜日の午前4時から午前9時まで。
奇数番地:木・日曜日の午前4時から午前9時まで。
個人住宅(花木)
スプリンクラーの場合:毎日午前4時から午前9時まで。
シャワーノズル(手作業)、または潅水用パイプ(穴が開いて水がしみ出るパイプ)の場合:制限なし。
個人住宅以外(芝生)
偶数番地:月曜日の午前1時から午前6時まで。および金曜日の午前4時から9時まで。
奇数番地:火曜日の午前1時から午前6時まで。および金曜日の午前4時から9時まで。
個人住宅以外(花木)
スプリンクラーの場合:毎日午前1時から午前9時まで。
シャワーノズル(手作業)、または潅水用パイプ(穴が開いて水がしみ出るパイプ)の場合:制限なし。
またバンクーバー市はウェブサイト上で、自分の住所(番地が奇数か偶数か)と特定の曜日を入力すれば、その日に散水やその他の水を使った作業(車の洗車など)が可能かどうかをチェックできるサービスを提供している(『Vancouver』、『Can』、『I』、『water』、『today?』で検索)。
2018年5月3日 第18号
ブリティッシュ・コロンビア州グレーターバンクーバーの、いくつかの会場で開かれてきたナイトマーケットのうち、バンクーバー市内のチャイナタウン・ナイトマーケットが今年は開催されないことになった。
ナイトマーケットの主催者であるバンクーバー・チャイナタウン商店組合が、バンクーバー・チャイナタウン・ビジネス開発地区協会と共同で開催した記者会見で発表した。中止の理由は、同組合の意見を軽視して開発を進めるバンクーバー市への抗議とされている。
バンクーバー市は今年3月、開発計画は同地区の歴史的遺産の尊重や文化的中心としての役割が担えるよう見直されたとしていた。
会見に列席したバンクーバー・チャイナタウン・ビジネス開発地区協会のアルバート・フォク会長は、市の開発担当者はチャイナタウン商店街の声にあまり耳を傾けていないと、その姿勢を批判。市が進める開発計画を商店街が真剣に憂慮していることを示すため、ナイトマーケットの中止が決定されたと説明している。
その一方でフォク会長は、ナイトマーケット自身が幅広い世代向きのイベントではなく、利益を生み出せるかどうか疑わしいとも発言。さらにチャイナタウンの若い世代の活動は現在抱えている問題に真剣に取り組んでいないと批判、チャイナタウンをユネスコの世界遺産に推薦する動きにも疑問を呈した。
これに対し、チャイナタウン・アクション・グループのビンス・タオ代表は、記者会見の内容はチャイナタウンで長年活動してきた人々を攻撃するもので横暴だと反論。ナイトマーケット中止の決定は、年に一度のこのイベントに真剣に取り組もうとしない商店組合の姿勢の現れだとコメントしている。ただし同イベントの中止による地元コミュニティへのインパクトは、それほど大きくはないと述べている。