2018年4月26日 第17号
カナダ最高裁は19日、各州政府は独自の決定権を持つとの判断を下した。これは最高裁が州間の自由貿易を理由があれば州政府が妨げてもよいという判断を下したことになる。
今回の発端は、2012年10月ニューブランズウィック州の男性ジェラルド・コモーさんが隣州ケベック州のリカーストアでビールや蒸留酒を大量に購入し、ニューブランズウィック州に持ち帰ろうとしていたところを、州境で見つかり罰金を科せられたところから始まる。
カナダには州間でアルコールを個人が自由に購入できない仕組みがある。理由はアルコール売買による利益が減少すれば州への歳入が減るためで、州政府は州内で酒類を購入してもらいたいという思惑があり、州をまたいでアルコールを大量に購入することを基本的に禁止している。
これについては、国民や酒蔵企業から批判の声が上がっている。海外との自由貿易は推奨しているカナダが、州間でアルコールを売買できないのはおかしいのではないかと言う。
毎年開催される全国州首相会議で常にこの問題が議題に上がるものの、州の特権を手放したくない全ての州政府の思惑が合致してなかなか解決を見ないのが現状。国民は自由に売買できることを望んでいる。
今回の件は連邦警察が、たまたまコモーさんが大量にアルコール類を車に積み込んでいるところを見つけ罰金を科したが、多くの市民が同様のことを行っているという。それでも州間でのアルコール自由売買が実現する日は、まだ先のようだ。