2018年5月3日 第18号
オンタリオ州進歩保守党ダグ・フォード党首は4月30日、同州トロントにあるグリーンベルトについて、不動産開発業者に使用を許可することを示唆した。しかし、他の党首や市民からの反対意見が相次いだため、翌日には発言を撤回。グリーンベルトには手を付けないと約束した。
グリーンベルトとは同州が2005年に議会で決定した環境保護区域。オンタリオ湖周辺のグレーター・ゴールデン・ホースシュー地区までの貴重な自然環境地区を都市開発から守るための措置で、約7200平方キロメートルの広さに及ぶ。
この地域についてフォード党首が、自分がオンタリオ州の州首相に就任したら、この地区の一部を住宅開発に充て、トロントが抱える住宅不足問題の解消に役立てると語った。
フォード党首はグリーンベルトについて、自然環境保護の観点からこれからも守っていきたいとしながらも、トロントの高騰を続ける住宅市場の解消には住宅の供給が必要で、この地区の開発をそれに役立てたいとの意向を語った。さらに、グリーンベルトで開発された地区と同等の広さを他の場所で環境保護地区とする構想も語った。
この発言は、今年2月の進歩保守党党首選時にフォード党首が作成したビデオを与党自由党がみつけ批判したことに対する進歩保守党党首としての見解を示したもので、住宅問題解消への方法のひとつと語った。
また、フォード党首がこの地区の開発について、不動産開発業者からの提案だったと明らかにしたことを受け自由党は、環境保護地区の開発を業者と秘密裏に約束していたと批判した。
野党新民主党やグリーン党も同様に、フォード党首の考えを批判した。
こうした反対意見が州民からも相次いだため、フォード党首は翌日には発言を撤回。州民がグリーンベルトを開発しないでほしいというのであれば開発はしない。我々はいつでも州民の意見を政策に反映させると語った。
オンタリオ州は今年6月に州議会議員選挙を控えている。現在、野党進歩保守党が支持率で自由党政権をリードしているが、進歩保守党も3月にフォード新党首を迎え、不安定さを抱えている。今後もあらゆる政策発表がオンタリオ州選挙に影響すると注目されている。