2018年5月10日 第19号
連邦新民主党(NDP)がクリスティン・ムーア議員のセクハラ行為疑惑について第三者機関による調査をすることが8日、分かった。同党ジャグミート・シング党首は声明を発表し、調査結果が出るまでの間、同議員が担っていた党での役職を一時停止すると明らかにした。
今回のセクハラ疑惑は、同議員が2013年に退役軍人であるグレン・カークランドさんに対して行った行為が性的に不適切なものだった疑いがあるというもの。カークランドさん本人が、ムーア議員から迫られたことを告白している。
カークランドさんは、これが男性による女性に対する行為ならば、すぐに世間が反応するが逆の場合は分かりにくいとテレビインタビューで語り、ムーア議員が同じNDPのエリン・ウィア議員のセクハラ行為を告発したことを思うと皮肉だとも語っている。
ムーア議員はケベック州の議員で、2013年にNDP代表として復員軍人問題委員会に参加している。カークランドさんは2008年に派兵先のアフガニスタンで重傷を負い、2013年の委員会では証人として証言。自身のPTSDを含む経験や、その後受けた治療やケアについての意見を語っている。その当時に起きたムーア議員との関係を告白した。
ムーア議員は今回の件を受けて声明を発表。党が独立機関に調査を依頼したことを歓迎すると語り、公平な調査が行われる機会が設けられたことを評価し、調査に入るため、今後はこの件に関するコメントを控えると語っている。
ムーア議員は、2011年に初当選。この時の選挙で巻き起こったNDP旋風、別名オレンジ旋風の波に乗りケベック州の選挙区から立候補し当選した。以降、再選を果たしている。
シング党首は、ムーア議員の処分について、第三者機関からの調査結果が出るまでは役職停止にとどまり、党員としては継続することを明らかにした。正式な処分は調査結果次第としている。
NDPは別のセクハラ問題で議員を除名処分にしたばかり。シング党首は今月3日、セクハラ疑惑のあったサスカチワン州選出のエリン・ウィア議員を除名すると発表した。第三者機関による調査を終え、セクハラ疑惑が拭いきれなかったと説明。除名処分が妥当と判断したとシング党首が語った。
このウィア議員へのセクハラ疑惑を最初に告白したのが、実はムーア議員。自分が直接セクハラを受けたことはないが、複数の女性から相談を受けていると語り、ウィア議員のセクハラ疑惑を明らかにした。
その後、党は第三者機関による調査を開始。結果が出るまでは除名処分とせず、役職の一時停止にとどめていた。
今回の処分を受け、ウィア議員は一応謝罪のコメントを発表したものの、除名処分となった理由はセクハラではなく、党の意向に背いたためと改めて主張している。