2018年5月17日 第20号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー東部に、中米コロンビアの麻薬カルテル王の名前を冠したレストランがオープンしたが、これに抗議するグループがオープン当日、レストラン前で抗議活動を行った。

 このラテン系料理のレストランの名前は、エスコバル。中米コロンビアで1980年代から90年代にかけ強大な麻薬カルテルを組織したことで知られる、パブロ・エスコバルに由来するもの。彼の名前が一般に広まったのは、2015年にインターネット上の動画配信サービス、ネットフリックスがドラマシリーズ『ナルコス』で取り上げたことがきっかけだった。エスコバルが築いた麻薬組織と、アメリカへの麻薬密輸を阻止しようとするアメリカから派遣された麻薬取締官の闘いを描いたドラマがヒット、彼の名前がポップカルチャーとして注目されるようになっていた。

 極悪非道と呼ばれたエスコバルはその犯罪組織とともに、何百人の警察官を含む1千人以上の殺害に関与したといわれている。こうした悪の象徴ともいえる人物の名を冠したレストランがオープンすることを知った地元のコロンビア系カナダ人コミュニティが、オーナーに対し名前の変更を要求していた。

 オープン当日、同市フレーザー通りとキング・エドワード・アベニューの交差点の南側にある同レストランの前には、この名前に反対する約60人が集まり、レストランのボイコットを呼びかけるプラカードなどを掲げた。一時は警察も出動する事態となったが、抗議グループと店や来店客との間にトラブルはなかった。抗議グループはこれからも、店の名前が変わるまでは活動を繰り返すと語っていた。

 

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