2019年4月11日 第15号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州ジョン・ホーガン州首相は4日、高騰するBC州のガソリン価格について必要なら対策を取ると記者団に語った。対策の内容については詳しくは語らなかったが、記録的な高値で生活が圧迫されるような場合についての「何らかの支援」を考慮しているという。
メトロバンクーバーでは4日、基準値で1リットル1・64ドルまで上がった。州政府は今後も夏に向かってガソリン価格の変動には注視するという。
ホーガン州首相はガソリン価格がいきなり12セントも上昇した背景についてはさまざまな要因が絡んでいるだろうと推測。ただ4月1日に引き上げられた炭素税は1リットルにつき1・2セントなため、高騰の要因とは考えていないと語った。
専門家によると、メトロバンクーバーでのガソリン価格急騰は、ワシントン州にある2つの精製所が減産ペースなため、BC州内と北米西海岸北部全体で供給量が減っていることが主な要因と説明している。
2019年4月11日 第15号
ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市は、電力会社BCハイドロが行った鉄塔建設工事による地盤沈下で、同市南側を流れるフレーザー川の堤防に生じた損害を賠償するよう、BC州最高裁判所に訴えを起こした。
訴状によると2017年、電力会社はフレーザー川を横断する送電線設置のために、同市ライス・ミル・ロード南端にあるピースアーチ排水ポンプ場近くで、120メートルの高さの鉄塔建設の準備となる地盤改良工事を開始した。
この場所はジョージ・マッセー・トンネルのリッチモンド側入り口の隣で、当時はこの老朽化したトンネルの代わりとなる橋の建設が計画されていた。トンネル内にはBCハイドロの送電線も通っており、トンネルが廃止された場合には、その送電線を鉄塔でフレーザー川を横断させる必要があった。
工事に先立ち電力会社が行った調査の報告では、地盤沈下は最大でも15ミリだとされていた。地盤改良工事では地盤の密度をあげるため、水と空気を地中に注入してから、30メートルの深さまで石を圧入していった。しかし市の観測によれば、工事が開始された2017年7月の終わりには、すでに25から40ミリの地盤沈下が確認されていた。その後も沈下は続き、8月3日には20から60ミリまで進んだ。
市は電力会社に対し、地盤沈下がこれ以上続けば堤防に構造的ダメージが生じる危険性があると警告を伝えたが工事は続けられ、それから1週間もたたないうちに沈下量は75ミリに達した。この段階で市の要請を受け、電力会社は工事を一時中断した。さらに市は専門家の指導に基づく緊急対策工事を行い、その費用を電力会社に請求すると通告した。市はまた、工事がこれ以上堤防に被害を及ぼさないためのプランを、工事再開前に提出するよう要求した。
しかし9月5日には、電力会社はプランの提出も事前の通達もしないまま工事を再開した。工事はその後1週間続いたが、新民主党政権が橋建設計画そのものを破棄したのを受け、中止された。
10月には、洪水シーズンに備え市は堤防の修復工事を行わなければならないことを電力会社に伝え、その費用明細を提示するとともに支払いを求めた。
しかし電力会社は支払いを拒否、市は電力会社の過失により市に損失が生じたとして、訴えを起こすこととなった。
2019年4月11日 第15号
アルバータ州野党第一党連合保守党(UCP)ジェイソン・ケニー党首は8日、同州メディスン・ハットでのスピーチで、党が勝利し政権を取ったなら、政権発足後1時間以内にブリティッシュ・コロンビア(BC)州へのオイル輸送停止法を施行すると語った。
アルバータ州とBC州は、トランスマウンテンパイプライン拡張工事をめぐって昨年2月から対立状態にある。パイプラインはアルバータ州エドモントン近郊からBC州バーナビー市まで延び、そこからタンカーでアジアへと市場を拡大するために、オイルサンド輸送を3倍に増加する拡張工事が必要として計画されている。
パイプラインを完成させアジア市場へのオイルサンド輸出を拡大したいアルバータ州政府と、環境対策の観点から拡張工事停止策を講じているBC州政府が真っ向から対立。パイプライン工事は2016年秋に連邦自由党政権がすでに承認しているが、昨年8月に裁判所が環境問題への対策と先住民への説明が不足として工事停止を言い渡している。
アルバータ州では昨年すでに現在の新民主党(NDP)政権がアルバータ州製品の輸送を自由に規制できる法案を可決している。しかしNDP政権は法律の施行まではしていない。
これをケニー党首はUCP政権が発足したらすぐに施行し、BC州へのオイルの流れを停止すると語っている。
これに対してBC州政府デイビッド・イービー司法長官は8日、すぐに裁判に訴えると対抗している。もしアルバータ州政府がそういう行為に出れば、それは違憲行為にあたるため、できれば州政府同士での話し合いという形の方が望ましいのではと語っている。
BC州では現在ガソリンが史上空前の高値をつけている。1リットル1・60ドルを超える地域もあり、市民からは悲鳴に近い声が上がっている。ケニー党首はスピーチの中で、ジョン・ホーガンBC州首相がアルバータ州のオイルサンド輸出を阻止するような行為を止めない限り、BC州民は1リットル1・70ドルという高いガソリン代に苦しむことになると語っている。
2019年4月11日 第15号
来週に迫ったアルバータ州議会選挙。これまで野党第一党連合保守党(UCP)が支持率で与党新民主党(NDP)を大きく引き離していたが、ここにきて徐々にその差を詰めている。
世論調査会社シンクHQパブリック・アフェアが8日に発表した党首支持率の結果では、UCPジェイソン・ケニー党首の支持率が41パーセント、不支持が53パーセント、NDPレイチェル・ノッテリー州首相は支持46パーセント、不支持50パーセントでケニー党首を上回っている。
州首相の支持率は3月の前回調査より2パーセント上昇、ケニー党首は1パーセント下落している。
これがどのように票に結びつくかは定かではないという。州民は党首よりも党に投票すると専門家は指摘。ノッテリー州首相の支持率がケニー党首より高いことが必ずしもNDPの巻き返しを意味するわけではないという。党の支持率では、UCPが46パーセント、NDPは40パーセント。このままの場合、UCPが過半数を上回る可能性が高いと予想されている。
2019年4月11日 第15号
カナダが今年10月に実施する総選挙を前に、連邦政府は海外からの選挙介入について非常に警戒しているとの見解を示した。8日にはカリナ・グルド民主機構相とハルジット・サージャン国防相が記者会見し、カナダ通信保安局(CSE)が発表した報告書で総選挙が海外からのサイバー攻撃を受ける可能性が「非常に高い」という内容について警戒感を示した。
サイバー攻撃の対象となる4つの主な傾向、OCED加盟国への介入、ソーシャルメディアによる介入、特定の政治家、政党、職員を狙った介入、投票制度への介入が示された。その中で、特にソーシャルメディアによる海外からの介入に警戒感と懸念を示した。
グルド民主機構相は、フェイスブック、ツイッター、グーグルの大手ソーシャルメディアの対応が不十分との見解を示し、偽情報や選挙に影響する海外のサイバーキャンペーンについて規則を設定するべきと語った。
投票への直接介入については、カナダでは記入式投票が採用され、電子投票を導入していないため、投票結果への直接的な介入の可能性は低いとみている。
同日、フェイスブックはカナダの3団体と3個人をフェイスブックとインスタグラムから除外すると発表した。これらの個人・団体のメッセージの掲載を禁止するという。彼らは極右的団体や個人として知られ、差別的発言や行為を繰り返していた。フェイスブックは今後も差別的なメッセージを発信する個人や団体、SNSでの内容などを精査していくと発表している。