2019年4月25日 第17号
新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首が22日、自叙伝「ラブ&ピース:私の家族と復活と予想外を克服する力の物語」を出版した。
内容は幼少時代からNDP党首に就任するまでの出来事や自身の思いを綴ったもので、選挙戦に訴える内容とはなっていないと本人がメディアインタビューで語っている。
1979年生まれのシング党首は、幼少期はニューファンドランド州で暮らし、その後オンタリオ州ウィンザーに移住。父は精神科医を営んでいたが、ある時期からアルコール中毒に。何年にもわたりアルコール中毒だった父の代わりに、弟を学校に通わせたり、家計を支えたり、シーク教インド系カナダ人ということでいじめられたりと苦労した少年青年時代が綴られているという。
さらに少年時代に通ったテコンドー道場の男性インストラクターから性的な嫌がらせを受けていたことも告白している。それはシング氏が道場を辞めるまで続いたという。しかし心配をかけないために両親には内緒にしておいたとインタビューで語っている。両親に初めて打ち明けたのは25歳の時。ある友人から「君が悪かったわけじゃないんだよ」と言われて肩の荷が下りたと語っている。
シング党首はこの自叙伝が選挙に直接好影響を与えるとは思っていないと語ったが、自分も他のカナディアンと同様にもがきながらここまで来たということが分かってもらえれば、自分を少し理解してもらえるのではないかと思うと語っている。
2019年4月25日 第17号
バンクーバー・ホワイトキャップスFCは17日、BCプレースでMLS西カンファレンス首位ロサンゼルス・フットボールクラブと対戦した。
3月の開幕からホワイトキャップスはまだ1勝もしていない。ここまで引き分け2試合がやっとだった。この日もボール支配率では圧倒的に押されていたものの、27分、ホワイトキャップスFWジロ(#94)が放ったシュートが右ポールに当たって跳ね返ってきたところをMFインボム(#4)が左足ボレーシュートを決めて先取点。これを最後まで守りきり、1-0で今季初勝利をあげた。
マーク・ドスサントス監督にとっては昨年アシスタントコーチをしていた古巣相手にホワイトキャップス初勝利。うれしい白星となった。
ところが、この日の試合で決勝点となるゴールを見逃したグループがいる。チーム創設当初から応援する応援団サウスサイダーズたちだ。応援団はこの日前半の観戦をボイコットすると発表。理由は今年4月に発覚したホワイトキャップス兼U20カナダ代表元コーチによる女子チーム選手への性的嫌がらせに対するチームの対応に納得がいかないというものだった。
嫌がらせ行為は2007年、08年にあったと元選手12人が告発。メディア報道によると2008年にホワイトキャップスとカナダサッカー協会は、このコーチとひそかに契約を解除したという。その後、この人物はメトロバンクーバーのサッカークラブでコーチを続け、告発を受け停職となったと伝えている。サウスサイダーズの代表は告発を聞いた時は驚いたと語り、起こった出来事もそうだが対処の仕方にも疑問が残ると説明した。サウスサイダーズのメンバーは、現在の選手たちに責任はないとして後半は席に戻って応援している。
告発者たちは、改めてこれらの年に起こった出来事についての調査とホワイトキャップスと協会にはハラスメント防止策の徹底を要求している。ホワイトキャップスは声明でバンクーバー市警に相談していると説明した。
試合後、今季初勝利にガッツポーズを見せるこの日のMan of the Matchアドナン(#53)(Photo by Preston Yip)
2019年4月25日 第17号
カナダ保健省は17日、中国製のパジャマが耐火基準を満たしていないとして、リコールした。
この乳児用パジャマは、ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市の輸入業者ネスト・デザインズが中国から輸入した袖なし寝袋タイプのパジャマで、商品名は『袖なしバンブー・スリープ・バッグ・TOG0・6(Sleeveless Bamboo Sleep Bag TOG 0.6)』。寝袋タイプのため足が出ないようになっているものの、乳児の成長に合わせ底の部分を開けて足が出せるようにもなっている。
しかしカナダ保健省が行った商品テストから、この商品が子供用寝間着に求められるカナダの耐火基準を満たしていないことが判明した。このため、寝袋の底部を開ける処置をしてしまった場合、乳児が移動しストーブやろうそく、マッチなどの火元に近づき、寝袋に引火する危険性があると同省では説明している。いったん火がついた場合、寝袋は瞬く間に炎に包まれ、乳児が広範囲に及ぶ重度の火傷を負うと警告している。
このため寝袋の底部が開けられていない商品ならば、そのままの状態を保つ限り(足が出せない寝袋として)使用を続けられる。しかし、商品に付属している説明書に従い底部が開けられたものは、直ちに使用を中止、廃棄するよう保健省では呼びかけている。
この商品は2018年5月から2019年2月25日までの間に約260着が売られたという。
2019年4月25日 第17号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーで、かつては大麻合法化を求める抗議活動として行われていた、野外マリファナパーティー。その開催日が4月20日であることから、420パーティーと呼ばれてきた同活動はしかし、昨年10月に娯楽用大麻が合法化されたにもかかわらず、今年もバンクーバー市中心街そばのサンセット・ビーチ公園で、何千人もの大麻愛好者が参加した大規模なマリファナパーティーを開催した。
翌日に同公園を散歩していた住民はメディアの取材に対し、芝のダメージは昨年ほどひどくはないようだと語っていたが、同公園を管理するバンクーバー公園委員会のスチュワート・マキノンさんは清掃と養生のために、少なくとも7月1日までは閉鎖する必要があると説明している。
今年はパーティー企画団体が、プラスチック製パネルを芝の上に敷くなどして、ダメージを抑えようとしたが、マキノンさんによるとその効果は限定的で、芝へのエアレーションや水やり、追加の種まきが必要だという。ここ数年、同公園が繰り返しマリファナパーティーの会場として使われ酷使されてきたため、芝生はこれ以上の負荷に耐えられないと訴える。
市による清掃は、パーティーが終わったその夜、日付が変わった午前1時から始まった。パーティーのボランティアが拾い集めたものの、その場に置き去りにされたままの大量のごみ袋の回収が市職員によって行われたが、マキノンさんは市民の税金がこんなことには使われるべきでないと指摘、清掃会社を頼まなかったパーティー運営団体を非難している。
これに対し運営団体は、市や公園委員会が払った費用については、支払う用意があると取材に答えている。またパーティー終了後の清掃にも多大な努力を払ったと主張していた。しかし現地を取材したレポーターは、芝生の上に大麻入りグミが落ちているのを発見している。見た目は子供用グミと全く変わらないため、見つけた子供が何の疑いもなく口に入れる危険性もある。
バンクーバー市警察によると、パーティー中に救急隊員が処置した件数は23件で、10件が過剰摂取によるものだった。8人が病院に搬送されたものの、目立った事件は発生しなかった。
合法化後、このパーティーはメッセージを伝える集会ではなく、単なるトレードショーになってきているように見え、来年も開催されるのであれば、公園ではなく然るべき場所に移るべきだと、マキノンさんは語っていた。
2019年4月25日 第17号
アルバータ州バンフ国立公園で21日、行方が分からなくなっていた登山家3人ーアメリカのジェス・ロスケリーさん(36歳)、オーストリアのデビッド・ラマさん(28歳)とハンスユルグ・アウアーさん(35歳)ーが、遺体で発見された。
3人は世界的に知られた登山家で、同公園の標高3295メートルのハウズ・ピーク東壁を登はん中だったが、予定を過ぎても帰還しなかったため、17日に捜索願が出されていた。
捜索に当たったカナダ公園局の山岳安全隊が上空から捜索したところ、付近にいくつもの雪崩の跡と、散乱した登山用品などを発見した。また雪崩の規模は、小さな建造物を押しつぶすぐらいの勢いがある、サイズ3だったとみられている。
遺体が見つかったのは21日のことで、同隊は3人の遺族や友人など関係者に哀悼の意を捧げるとともに、3人の死が国際登山コミュニティに与えるインパクトの大きさに言及するコメントを発表した。
またオーストリアのセバスチャン・クルツ首相は、ラマさんとアウアーさんは、いくつもの偉業で近年の国際登山界を形作ってきたとコメントしている。
ラマさんは2012年、南米アンデス山脈の中でも最も難易度が高いといわれている山セロトーレのコンプレッサー・ルート岸壁のフリークライミングに初めて成功したことで知られている。この快挙はドキュメンタリー映画『Cerro Torre ー A Snowball's Chance in Hell. (邦題『クライマー パタゴニアの彼方へ』)』として2013年に公開された。
アウアーさんは2007年、イタリアのマルモラーダ山登頂を、南壁からの単独フリークライミングで挑戦、成功した最初の登山家。またロスケリーさんは2003年に世界最高峰エベレスト登頂に成功、アメリカ人としては最年少の快挙となった。