2019年4月25日 第17号
ブリティッシュ・コロンビア州沿岸の島々の間を、40年以上にわたって運行してきたフェリーが、6月に退役する。
このフェリーは、バンクーバー島クロフトン港とソルトスプリング島ベスビウス港を結ぶ航路を運航しているハウ・サウンド・クィーン。車両積載台数52台、旅客乗員合わせた定員300人という、同フェリーを運航するBCフェリーが所有する船舶の中でも小さいほうだが(大型船スピリット・オブ・ブリティッシュ・コロンビアは、車両積載台数358台、定員2100人)、その中で唯一カナダで建造されたフェリーであることが特徴だ。
同船は1964年にケベック州で建造され、ナポレオン・Lと名付けられて同州内で運用されていた。1971年にBCフェリーが購入、改装を行ったうえで新しくハウ・サウンド・クィーンと命名した。最初はローワーメインランド側のホースシューベイ港とボーエン島を結ぶ航路に投入されたが、貧弱な旅客用設備と荒れた海での操船性の悪さから『ハウンド』のニックネームが付けられた。
1991年にはホースシューベイ港の埠頭に激突、旅客6人が軽いけがを負って病院に搬送される事故を起こした。その後、より穏やかな海域を運航する現在の航路に移され、週に平均84往復をこなしてきた。同船が退役した後は、現在バンクーバー島北部の島を結んでいるクアドラ・クィーン2世(1969年就航)が、その航路を引き継ぐことになる。
第一線を退いたハウ・サウンド・クィーンは稼働状態を維持しながら、オークションにかけられる。スタート価格は5千ドルとなっており、運行に支障がない同船としてはお買い得な価格といえる。2017年にやはりオークションにかけられたフェリー、クィーン・オブ・バーナビーは鉄屑としての価値しかなかったが、スタート価格は6千ドルだった。最終的にこの船は55万5千ドルで落札された(そのほか税や諸経費として、約10万ドルが上乗せされている)。今週初めの入札価格は6万3250ドルだったハウ・サウンド・クィーン、今月末の締め切りまでには、どのような価格になっているのだろうか。