2019年4月11日 第15号
ブリティッシュ・コロンビア州南部、内陸部にある人口3万3千人あまりの都市ペンティクトン市議会は2日、鹿の害に悩む市民から出されていた、鹿の間引き案を否決した。
この要請は、同市南部のスカハ湖に近いフィグエイラス・モービルホーム・パークの住人約55人から出されていた。住民の1人ロバート・カートライトさんは、モービルホーム・パークにわがもの顔で出入りする鹿たちは、庭を荒らしたり排泄物を散らかしたりなど同パークに大きな損害を与えていると、取材に語っている。
鹿が侵入してくることを止められない以上、その間引きが唯一の解決策であり、また州政府からはそのための補助が受けられるとして、カートライトさんらは昨年11月に市議会議員に話を持ちかけた。
同市の鹿害対策は害を未然に防ぐことに主眼を置いた啓蒙活動で、捕獲して山奥に戻したり間引きしたりする対策は取られてこなかった。カートライトさんらの要請を受けて市はその可能性を調査したが、結果的には現状維持という採決に落ち着いた。
その大きな理由は、費用。過去に同市の先住民居住区に出没した鹿を捕獲・移動させる計画の妥当性を評価した時、鹿1頭につき約千ドルの費用がかかることが判明、計画は棄却された。また同じような鹿害に悩むBC州内の他のコミュニティークランブルックやインバーメア、グランドフォークス、キンバリーなどでは、専門スタッフを置き委員会が鹿の頭数把握や年間の間引き数をコントロールするという、大掛かりな鹿対策が取られているが、ペンティクトンの鹿害はこれらのコミュニティの案件に比べはるかに小さい(鹿の数は49頭にすぎない)と判断された。
この決定に対しカートライトさんらは、49頭というのは何年も前の話であり、自分たちは無視され、まともに取り合ってもらえなかったように感じている。同市のジョン・バシラキ市長は、モービルホーム・パークの住人が抱えるストレスに理解を示し、また鹿が自動車や外で遊ぶ子供らにも危険を及ぼす可能性に触れ、何らかの対策を探ると語っている。
一方住民らは自分たちの声を届かせるため、鹿の糞を市庁舎に撒くなど、より強硬な手段も辞さないつもりだと、取材に話していた。