2019年4月11日 第15号
アルバータ州野党第一党連合保守党(UCP)ジェイソン・ケニー党首は8日、同州メディスン・ハットでのスピーチで、党が勝利し政権を取ったなら、政権発足後1時間以内にブリティッシュ・コロンビア(BC)州へのオイル輸送停止法を施行すると語った。
アルバータ州とBC州は、トランスマウンテンパイプライン拡張工事をめぐって昨年2月から対立状態にある。パイプラインはアルバータ州エドモントン近郊からBC州バーナビー市まで延び、そこからタンカーでアジアへと市場を拡大するために、オイルサンド輸送を3倍に増加する拡張工事が必要として計画されている。
パイプラインを完成させアジア市場へのオイルサンド輸出を拡大したいアルバータ州政府と、環境対策の観点から拡張工事停止策を講じているBC州政府が真っ向から対立。パイプライン工事は2016年秋に連邦自由党政権がすでに承認しているが、昨年8月に裁判所が環境問題への対策と先住民への説明が不足として工事停止を言い渡している。
アルバータ州では昨年すでに現在の新民主党(NDP)政権がアルバータ州製品の輸送を自由に規制できる法案を可決している。しかしNDP政権は法律の施行まではしていない。
これをケニー党首はUCP政権が発足したらすぐに施行し、BC州へのオイルの流れを停止すると語っている。
これに対してBC州政府デイビッド・イービー司法長官は8日、すぐに裁判に訴えると対抗している。もしアルバータ州政府がそういう行為に出れば、それは違憲行為にあたるため、できれば州政府同士での話し合いという形の方が望ましいのではと語っている。
BC州では現在ガソリンが史上空前の高値をつけている。1リットル1・60ドルを超える地域もあり、市民からは悲鳴に近い声が上がっている。ケニー党首はスピーチの中で、ジョン・ホーガンBC州首相がアルバータ州のオイルサンド輸出を阻止するような行為を止めない限り、BC州民は1リットル1・70ドルという高いガソリン代に苦しむことになると語っている。