2019年6月20日 第25号

 カナダ公共放送CBCが18日に発表した最新の支持率統計で、相変わらず保守党がリードしていることが分かった。

 カナダの大手世論調査会社の調査結果を集計しているCBCの支持率では、保守党が35・3パーセント、自由党29・9パーセント、新民主党(NDP)14・0パーセント、グリーン党11・6パーセント、ケベック党4・4パーセント、国民の党2・8パーセントとなっている。

 保守党が自由党を抜いてリードしたのは今年2月。SNCラバランスキャンダル以降で、それ以来リードを続けている。自由党の支持率はそれ以降それほど変わらず30パーセント前後となっている。

 苦戦しているのはNDPでジャグミード・シング党首が就任して以降、支持率が伸び悩んでいるのに加え、最近ではグリーン党が勢いを増しているため、支持率がさらに落ち込んでいる傾向にある。

 そのNDPを越える勢いなのがグリーン党。ブリティッシュ・コロンビア州サーニッチ選挙区で当選して以来、党からの連邦議員ただ一人で踏ん張ってきたエリザベス・メイ党首だったが、BC州だけでなく全国的に支持率を伸ばしている。特に、今年5月6日に実施されたBC州ナナイモ-レディスミス選挙区での補欠選挙でグリーン党ポール・マンリー氏が当選して以降、NDPを追い越しそうな勢い。どの世論調査でも2桁の支持率を確保している。

 この世論調査結果によると、現時点で選挙を実施すれば保守党が少数派政権を実現するという。選挙は今年10月。各党はすでに選挙戦モードに突入している。

 

2019年6月20日 第25号

 連邦新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首は16日にオンタリオ州ハミルトンでの党大会で、今秋の総選挙に向けた党の政策を発表した。

 選挙の争点になると予想されるのは、全カバー型保険制度と薬代をカバーするファーマケアの導入。保険制度は、歯科、眼科、耳鼻科を含む制度を導入すると語り、さらに現在一般的な保険制度の適用外となっている薬代を保険適用とするファーマケアは2020年後半には実現すると語った。

 シング党首は、限られた所得の中で薬か食事かを選択しなければならない家庭が多いと語り、こうした選択をしなくてもいい国にすると語った。

 その他にも住宅事情の改善や高等教育への支援、チャイルドケア、郵便制度の見直し、ガソリン価格の適正化、携帯電話やインターネット料金の引き下げなどを盛り込んだ。

 一方で歳入については、富裕層への課税を1パーセント引き上げると説明。年間2千万ドル以上の高額所得者を対象とし、年間で数十億の歳入増が見込めるとしている。法人税も引き上げるという。居住用住宅への海外購入者税15パーセントを導入し、住宅市場が急騰することを防ぐ方針も発表した。

 「自由党も、保守党も、常に富裕層のための政策をこれまで実施し、本当の意味での中間層のためのものではなかった」と語り、NDPはそれを変えていくと集まった党員に訴えた。

 NDPは環境対策政策も今月に入りすでに発表している。現在のところ、支持率では保守党、自由党に続く第3位となっているものの、シング党首が就任して以降、支持率は低迷したままとなっている。

 

2019年6月20日 第25号

 ケベック州議会は16日、新非宗教法案を賛成73、反対35で可決した。ケベック州の保守派にとっては悲願ともいえる法案の可決だが、ケベック州以外からは差別的だと非難の声が上がっている。

 今回の法案は、宗教的シンボルを身に着けることを禁止する法案で施行されれば、公的機関で働く、公立学校教師、警察官、裁判官、刑務所看守、検察、政府弁護士などが対象となる。ただ既得権条項により現職者は除外対象。

 宗教的シンボルには、イスラム教徒のヒジャブやユダヤ教のキッパ、キリスト教の十字架などが含まれる。しかし今回の法案の目的は、主にイスラム教徒を標的としたものとの見方が強い。法案では公的機関で働く人以外にも、公的機関が提供するサービスを受ける人も、顔を覆っているものを取って見せなければならないとしている。イスラム教徒の女性が着用するニカブも対象のため、イスラム教への差別が色濃く表れていると受け止められている。

 これに対して連邦自由党政権は、政府が国民に着用する衣服の種類を強制することはできないとカナダ民族遺産・多文化主義大臣パブロ・ロドリゲス氏が声明を発表している。

 ケベック議会はさらに移民法改定も可決。これからケベック州に移民を希望する申請者に対して、ケベック州政府がフランス語の試験と適性テストの合格を強制することや、すでに申請済みで審査を待っている申請書を破棄することを許可する内容となっている。現在審査を待っている申請者は約1万8千人とみられている。これらすべての申請を拒否することが許される。

 こうしたケベック州政府の動きに対して翌日には、イスラム教団体や人権団体が提訴している。

 

2019年6月20日 第25号

 北米プロバスケットボールNBA優勝決定戦第6戦が13日、カリフォルニア州オークランドで行われ、トロント・ラプターズがゴールデンステート・ウォリアーズを114|110で下し、悲願の初優勝を果たした。

 チーム創設から24年目での初優勝、NBA優勝トロフィが初めて国境を越えカナダの地を踏んだ。

 10日トロントで迎えた第5戦ですでに王手をかけていたラプターズだったが、105|106と1ポイント差で地元優勝を逃し、敵地での戦いとなった。前半を終えリードをしていたが第3クオーターに逆転を許す。しかし第4クオーターに再逆転に成功し、優勝を決めた。

 この接戦を固唾を飲んで見守っていた全国のラプラーズファンは、優勝が決まった瞬間大歓声をあげた。トロントではお祭り騒ぎとなり、ファンが街中にあふれ出した。

 17日にはトロントに凱旋したラプターズ選手たちの優勝パレードが行われた。ジャスティン・トルドー首相、オンタリオ州ダグ・フォード州首相、トロント市ジョン・トーリー市長が参加、街には選手たちを一目見ようと約200万人が沿道に駆け付けた。

 しかし祝福ムードの最中、銃撃事件が発生。トロント市警は4人が負傷し、いずれも命に別状はないと発表した。翌日にはすでに銃撃事件に関連して3人を逮捕、銃2丁を押収したと発表したが、押収した銃は事件で使用されたものではないという。市警は引き続き4人目の容疑者と使用された銃を捜索しているとして、事件を目撃した人は連絡してほしいと市民の協力を訴えている。

 

2019年6月20日 第25号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市中心部にあるバンクーバー・アートギャラリー前で15日朝、LGBTQ(性的少数者)に反対するグループがデモを主催した。

 デモ隊は、BC州内の学校で行われている、性的志向および性同一性(Sexual Orientations and Gender Identities - SOGI)の啓もう教育、一般にSOGI123と呼ばれる教育に反対するプラカードを掲げながら、メッセージを唱和したり歌ったりして抗議行動を行った。

 また、SOGI教育に反対する活動家ローラ・リン・テイラー=トンプソンさんなどが、移民反対グループ、オーディンの戦士のメンバーや警備員に守られながらスピーチを行った。

 このデモ行動に対して、LGBTQコミュニティやその支援者らが対抗するデモ隊を組織、両デモ隊が対峙する事態となった。怒鳴りあいや小競り合いが起きるなど、一時は緊迫した状態になったものの、バンクーバー市警察の警察官が出動し警備に当たり、大きな混乱には至らなかった。

 このデモに反対するグループに参加していたリー・ケプルさんはメディアの取材に対し、性的少数者やSOGI教育に対する露骨な偏見と差別を目の当たりにし、それに賛同する人がこれほど多く集まったことにショックを受けたと語っている。さらにケプルさんは、こうした反SOGI教育キャンペーンが勢いを増せば、若い性的少数者が学校やコミュニティに溶け込む際の障害になるのではと危惧していた。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。