2019年7月11日 第28号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州ノースバンクーバー地区とウエストバンクーバー市が8日、各市議会で気候変動による非常事態を宣言することを全会一致で可決した。市が気候非常事態宣言をすることで、今後の市政に環境対策を積極的に盛り込み環境問題に取り組んでいくことを約束している。

 2016年オーストラリアで始まったこの動きはすでに16カ国に広がり、カナダでも先月、自由党政権が宣言。ケベック州でも多くの市が参加している。

 BC州では20市町村が今年初めから続々と参加。メトロバンクーバーでは、バンクーバー市、リッチモンド市、ノースバンクーバー市、ニューウエストミンスター市、ポートムーディ市がすでに宣言している。

 バンクーバー市ではこれまでもさまざまな環境対策が実施されてきたが、今月4日にはカーシェアリングを利用した場合に限り有料パーキングメーターに2時間を上限に無料駐車を可能とする案を検討していることが分かった。

 こうした取り組みが各市町村で行われれば、メトロバンクーバーがカナダで最初の温室効果ガス排出量ゼロ都市になれる可能性もあると環境活動家は語っている。

 

2019年7月4日 第27号

 カナダデーの連休前の6月29日、ブリティッシュ・コロンビア州南部のいくつかのビーチで大腸菌レベルが異常に高いことがわかり、保健局がビーチを閉鎖したり、水質悪化を利用客に知らせたりする措置を取った。

 バンクーバー・コースタル保健局が連休前の週に行った水質検査で大腸菌の大幅な増加がみられたのは、同州バンクーバーのサンセット・ビーチとキッツ・ポイント。同市中心部南西部のサンセット・ビーチが閉鎖されたほか、フォールス・クリークを挟んでその対岸にあるキッツ・ポイントは閉鎖こそされなかったものの、検査結果が許容値を超えたことと、遊泳は自己責任で行うことを周知させる案内が掲げられた。

 なお保健局では、許容値を超える数値が出たのが突発的なものだったのかを確認するため、追加検査を行うなど引き続き大腸菌レベルをモニターしていくとしている。また同様の告知は、バンクーバーの西側にあるボウエン島のスナッグ・コーブでも6月27日に出されていた。

 

2019年7月4日 第27号

 ジャスティン・トルドー首相は大阪で開催された20カ国・地域首脳会合(G20)の会場で中国の習近平国家主席と中国に拘束されているカナダ人男性2人について話す機会があったと語った。

 非公式な場で習国家主席と話す機会があり、そこで、この件について話したと6月29日の記者会見で語った。ただ会話の内容については詳細を明らかにせず、カナダと中国の間に現在起こっている現状を「厳しい状況」と表現した。

 28、29日と2日間にわたって開催されたG20で、トルドー首相と習国家主席は公式な会談は予定されていなかった。それでも「この件について習主席と直接に顔を合わせて話す機会を得ることができたのはとても重要だったと思う」と一定の成果を強調した。

 ただアメリカのドナルド・トランプ大統領が習国家主席との公式会談の場で、中国に拘束されているカナダ人男性2人のことを話題にしたかということについては「大統領がこれについて言及したと確信を持っているが、本人に確認してもらった方がいいと思う」と語った。トランプ大統領はトルドー首相がワシントンDCを22日に訪れた時の会見の場で、G20でこの件を習主席に告げると約束していた。

 今回のG20にトルドー首相が出席するにあたり最も注目されていた案件が、カナダ人男性拘束問題だった。昨年12月1日にアメリカ当局の要請によりブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー空港でカナダ当局が中国の通信機器大手ファーウェイの孟晩舟CFOを拘束。それから約2週間後に中国でカナダ人男性が相次いで拘束された。

 さらに今年に入り、中国はカナダからのキャノーラ製品や豚肉製品の輸入を制限している。G20直前には偽造した輸入許可証を使って豚肉製品を輸入した業者が見つかったとして、中国はカナダ産精肉製品全ての輸入を停止すると発表。カナダの畜農産業が厳しい状況に立たされている。

 中国は孟CFOの釈放を強く求めているが、カナダは法に則った手続きが必要と政治介入しないことを公言している。

 孟CFOの拘束がアメリカ当局からの要請であり、トランプ大統領がファーウェイに対して厳しい姿勢を取っているため、もし今回のG20での米中首脳会談で両国貿易戦争にめどが立てば、カナダの状況についても何らかの打開策が見いだせるのではないかという期待もあった。

 しかしトランプ大統領は29日のサミット終了記者会見で、ファーウェイについては話し合ったが孟CFOについては話題に上らなかったと語った。

 ただトルドー首相は7月2日オタワでのウクライナの大統領との共同記者会見で、アメリカがG20でカナダ人男性拘束の件を中国側に伝えたと強調した。しかしトランプ大統領が伝えたとは明言しなかった。

 

2019年7月4日 第27号

 中国は6月25日、カナダからの牛肉・豚肉製品の輸入を停止すると発表した。翌日記者会見したジェームズ・カー国際貿易多様化相は、カナダからの豚肉製品に偽造証明書が使用されていたためと理由を語った。

 カー国際貿易相によると偽造された証明書の発行者も利用業者も分からないという。「誰かがカナダのブランドを使って中国市場に入ろうとしたのではないか」との見方を示した。偽造証明書を使って中国に輸入された豚肉製品が本当にカナダからのものかどうもかもまだ分かっていないという。

 マリークロード・ビボー農務・農産食品相は26日、偽造証明書で中国に輸入されたという豚肉製品の販売元について連邦警察に捜査を依頼したことを明らかにした。この件については、中国側と緊密に連絡を取りながら進めているという。

 その数日前にはケベック州の業者が輸出している豚肉製品から中国で禁止している物質ラクトパミンが見つかったとしてその業者の製品を輸入停止にしていた。しかし今回の件で、豚肉製品だけではなく牛肉製品も対象となっている。

 中国とカナダは、昨年12月1日に中国通信大手ファーウェイの孟晩舟CFOがアメリカ当局の要請によりブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー国際空港で拘束されて以降、緊張状態が続いている。孟CFOが拘束された約2週間後には中国でカナダ人男性二人が拘束された。今年に入り中国は、害虫が見つかったとしてカナダ産キャノーラ製品の輸入を禁止、大豆などの輸入も制限され、今回は精肉製品全てが対象となった。

 中国は孟CFOの釈放を求めているが、カナダは法に則って対応するため政治的介入はしないと明言している。今回の件に関しては孟CFOの件とは関係ないと中国側は発表している。

 中国はカナダにとって3番目の豚肉輸出先で、今年の1月から4月までにすでに3億100万ドルを輸出し、昨年を上回るペースだった。

 

2019年7月4日 第27号

 フィリピンを6月1日に出発したカナダのゴミが6月29日、ブリティッシュ・コロンビア州デルタ市の港に到着した。これでフィリピンとの間に起こったゴミを巡る闘争は一応の決着をみる。

 発端は2013、2014年にカナダのオンタリオ州からフィリピンにリサイクルゴミとして輸出されたゴミが、実際には中身は一般ゴミで使用済みオムツや家庭用ゴミがプラスチックゴミと一緒に混じっていたという。

 フィリピン側はカナダに引き取りを求めていたがカナダはフィリピンで処理してもらうように交渉を続けていた。

 しかし今年4月フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、カナダがこのままゴミの引き取りを拒否するのであれば自身で送り返す、戦争も辞さないと発言。5月15日までの引き取りをカナダに要求していた。

 カナダはこの期限にも応じず、ドゥテルテ大統領は在加フィリピンの大使と総領事を本国へ召還。カナダ政府はようやく重い腰を上げ、6年にもわたってフィリピンに置かれていたコンテナ69個分1500トンのゴミをカナダに送り返す手続きを取った。

 デルタ港に到着したゴミはバーナビー市の焼却場で処理される。ゴミの引き取りにかかった費用は114万ドル、償却費用は37万5000ドル。

 この件に関しキャサリン・マッケナ環境・気候変動相は、前保守党政権の法整備に不備があったために起こったことで自由党政権は二度とこういう事態が起こらないように法改正したと野党を責めた。

 

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