2019年7月4日 第27号
ジャスティン・トルドー首相は大阪で開催された20カ国・地域首脳会合(G20)の会場で中国の習近平国家主席と中国に拘束されているカナダ人男性2人について話す機会があったと語った。
非公式な場で習国家主席と話す機会があり、そこで、この件について話したと6月29日の記者会見で語った。ただ会話の内容については詳細を明らかにせず、カナダと中国の間に現在起こっている現状を「厳しい状況」と表現した。
28、29日と2日間にわたって開催されたG20で、トルドー首相と習国家主席は公式な会談は予定されていなかった。それでも「この件について習主席と直接に顔を合わせて話す機会を得ることができたのはとても重要だったと思う」と一定の成果を強調した。
ただアメリカのドナルド・トランプ大統領が習国家主席との公式会談の場で、中国に拘束されているカナダ人男性2人のことを話題にしたかということについては「大統領がこれについて言及したと確信を持っているが、本人に確認してもらった方がいいと思う」と語った。トランプ大統領はトルドー首相がワシントンDCを22日に訪れた時の会見の場で、G20でこの件を習主席に告げると約束していた。
今回のG20にトルドー首相が出席するにあたり最も注目されていた案件が、カナダ人男性拘束問題だった。昨年12月1日にアメリカ当局の要請によりブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー空港でカナダ当局が中国の通信機器大手ファーウェイの孟晩舟CFOを拘束。それから約2週間後に中国でカナダ人男性が相次いで拘束された。
さらに今年に入り、中国はカナダからのキャノーラ製品や豚肉製品の輸入を制限している。G20直前には偽造した輸入許可証を使って豚肉製品を輸入した業者が見つかったとして、中国はカナダ産精肉製品全ての輸入を停止すると発表。カナダの畜農産業が厳しい状況に立たされている。
中国は孟CFOの釈放を強く求めているが、カナダは法に則った手続きが必要と政治介入しないことを公言している。
孟CFOの拘束がアメリカ当局からの要請であり、トランプ大統領がファーウェイに対して厳しい姿勢を取っているため、もし今回のG20での米中首脳会談で両国貿易戦争にめどが立てば、カナダの状況についても何らかの打開策が見いだせるのではないかという期待もあった。
しかしトランプ大統領は29日のサミット終了記者会見で、ファーウェイについては話し合ったが孟CFOについては話題に上らなかったと語った。
ただトルドー首相は7月2日オタワでのウクライナの大統領との共同記者会見で、アメリカがG20でカナダ人男性拘束の件を中国側に伝えたと強調した。しかしトランプ大統領が伝えたとは明言しなかった。