2019年7月18日 第29号
カナディアン・フットボール・リーグ(CFL)は開幕して5週目を終えた。バンクーバーに本拠地を置くBCライオンズは第5週の11日、BCプレースにエドモントン・エスキモーズを迎え、ホーム今季初白星を狙った。
今年ライオンズに復帰したQBレイリーが昨季までプレーしていたエスキモーズが相手とあって注目を浴びた。今季の対戦は2回目。前回はエドモントンで対戦し23|39で敗れた。
しかしこの日はライオンズのホーム。ファンの期待は膨らんだが、結果は1つのタッチダウンも取れずに6|33で完敗した。
ライオンズは開幕してここまで7月6日にトロントでのアーゴノッツ戦に18|17と辛勝した1勝のみで、ホームでは未だ白星なし。1勝4敗、勝ち点2で西地区最下位に沈んでいる。
次のホームゲームは8月10日。ここでホーム初勝利なるか。新生ライオンズの苦しい戦いが続く。
BCライオンズ対エドモントン・エスキモーズ、7月11日BCプレース。Photo by Preston Yip
2019年7月18日 第29号
カナダ造幣局(Royal Canadian Mint)は今月はじめ、「カナディアン・ランドスケープ」と名付けた、カナダの国土の形をした50ドル銀貨を発行した。
純銀製で、重さは100グラム。また各州と準州の形に合わせ、それを代表する鳥や哺乳類が白、黒、赤の塗料を用いて描かれている。例えばブリティッシュ・コロンビア州には、先住民の間で精霊のクマ(スピリットベア)と呼ばれているシロアメリカグマ(kermode bear)のデザインが用いられている。またアルバータ州はビッグホーン(bighorn sheep)、ノバスコシア州はミサゴ(osprey)となっている。
額面は50ドルだが、コレクターアイテムとして扱われるため、実際の販売価格は339・95ドルとなる。また発行枚数は2千枚。
この銀貨のデザインは、何年も前にオンタリオ州オタワ市在住のグラフィック・デザイナー、アリシャ・ジルーさんが考案したもの。カナダ建国150周年に合わせて2色版の「カナディアン・ランドスケープ」を作成、オンライン上で公開していた。
そんな彼女のもとに、造幣局からの電子メールが突然届いたのは昨年のことだった。いわく銀貨のデザインとして用いるため、「カナディアン・ランドスケープ」の版権を買い取りたいとのことだった。もともと、このデザインは自分のものの見方を表現した、個人的な作品のつもりだったと、取材に語るジルーさん。しかし造幣局は特別な記念硬貨の図柄として、彼女のデザインにとても興味を持ったようだ。
各州や準州のデザインは、簡単だったものも難しかったものもあったと話すジルーさん。例えばヌナブト準州をカナディアン・エスキモー・ドッグ(Canadian Inuit Dog)で表現するアイデアはすぐに思いついた。逆にケベック州(シロフクロウ | snowy owl)をどう表現するかが最も苦労したという。オンタリオ州もケベック州に次いで悩んだ州で、最終的に彼女はハシグロアビ(common loon)を用いることにした。
そのほかユーコン準州はワタリガラス(raven)、ノースウェスト準州はシロハヤブサ(gyrfalcon)、サスカチワン州はオジロジカ(white-tailed deer)で表現されている。またマニトバ州がヘイゲンバイソン(plains bison)、ニューブランズウィック州がアメリカコガラ(chickadee)、プリンスエドワードアイランド州がアオカケス(blue jay)、ニューファンドランド・ラブラドール州がウッドランド・カリブー(woodland caribou)となっている。
なお世界的に見ると、オーストラリア造幣局も国土の形をした記念銀貨を発行している(額面は1ドル)。
2019年7月18日 第29号
ニューファンドランド・ラブラドール州の州都セント・ジョンズにあるレストランが、食事代を払えないホームレスのために毎日1時間、食事代を無料にしている。
このレストランは、同市チャーチル・スクエアにある、伝統的な中東料理を提供するビッグ・バイト・ピタ。その窓には「毎日午後3時から午後4時の間、ホームレスのために食事代無料」と書かれた白黒の張り紙が、目立たないように貼られている。張り紙が出されたのは、3カ月前のこと。
ここを頻繁に利用するピーター・ボランドさん(27歳)は、州の里親システムの中で育てられてきた。今でも無料の食事のため、いくつかの慈善団体を利用する彼だが、このレストランの雰囲気は他とは違っており、今では見られなくなった真のコミュニティーだと、取材に語っている。
また、今では同レストランのマネージャーを務めているアラー・ナットウフさんも、かつての経験から極貧生活でひもじい思いをすることがどういうことかを知っており、この無料サービスで人助けをしたいと願っている。彼は3年前、難民としてシリアからセント・ジョンズに渡ってきた。一時期は子供たちのパンを買うお金にすら困窮したナットウフさん。「子供のパンのためにお金が必要だなんて、誰にでも言えるものじゃない」と語る。
ビッグ・バイト・ピタのポリシーは、たとえ食事代が払えない人にでも、食事を提供するというもの。しかしナットウフさんが経験したように、メニューをオーダーしておいて払えないと言うのは、きまり悪いもの。そのハードルを下げるため、前述の白黒の張り紙が出されるようになった。
レストランの共同オーナーの1人エマド・エラワードさんによると、この取り組みを始めるきっかけになったのは、1人の来客だったという。
その人物はカウンターにいたエラワードさんに、持ち合わせの3ドルで何か食べられるかと聞いてきた。エラワードさんはこの客に対し、そのお金は取っておいて、とにかく自分の食べたいものを注文するよう勧め、彼が満腹になるのを見届けた。
エラワードさんは約10年前、エジプトから移民してきた。以降、生活のためにいくつかの仕事を転々としてきたが、今のレストランを経営しているのが一番幸せを感じると、取材に語っている。無料サービスを利用する人の数は日によって様々だが、エラワードさんは小さい取り組みではあるが、誰かを助けていると実感できて幸せだと付け加えている。
さらにビッグ・バイト・ピタのこの取り組みを知った一般客が、今度はそれを支援するために寄付をするようになってきたという。ナットウフさんは、他人への思いやりは我々の文化の一部で、自分たちも家族やコミュニティから、そうやって育てられてきたと取材に語っている。
2019年7月18日 第29号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー国際空港からオーストラリア・シドニーに向かっていた旅客機が強い乱気流に遭遇、けがをした乗客や乗員の手当てを行うため、ルート途中の米ハワイ州ホノルル空港に緊急着陸した。
この旅客機は、バンクーバー国際空港を11日午前零時50分に離陸したエアカナダ33便で、機材はボーイング777型機。乗客289人のほか乗員15人が搭乗していた。FAA(米連邦航空局)によると、同機は高度3万6千フィート(約1万1千メートル)を飛行中、ホノルルの966キロメートル南西の地点で乱気流に遭遇した。
同機がホノルル空港に着いたのは、現地時間の午前6時45分ごろ。首や背骨、頭などを負傷した37人のうち重傷の9人を含む30人が、地元の病院に搬送され治療を受けた。残りの7人は病院へは向かわなかった。
乗客の一人はメディアの取材に対し、一瞬の出来事だったが、ほとんどの人が宙に舞い上がったのを目の当たりにしたと語っていた。シートベルトをしていなかった乗客は天井に頭をぶつけるほど、激しい揺れだったと付け加えている。また別の乗客によると、最初はいつもと同じような、普通の揺れが続いたあと突然、機体が大きく沈み込んだが、その間ほんの10秒〜15秒だったという。
エアカナダはシドニー行きの便を待つ乗客のために、ホテルと食事の手配を行った。
2019年7月18日 第29号
ケベック州モントリオール空港で2018年5月、着陸態勢に入っていた2機の飛行機がニアミスを起こした事件で、カナダ運輸安全委員会はその調査報告書を先週公表した。それによると、ニアミスの原因は管制官不足と、そのために生じた管制手続きのミスだった。年々増加する航空需要から、パイロット不足の問題がメディアで時々取り上げられるようになったが、その航空機の飛行をコントロールする管制官の不足も、実は現実のものとなっている。
この日、トロントからのエア・トランザット485便はモントリオール空港の北側を東向きに飛行、空港を通り越してから右に180度旋回して空港に正対し、2本ある並行滑走路のうち北側の滑走路に着陸するよう、管制官から指示を受けた。同じ頃、モントリオール市の北東100キロあまりにあるトワ=リビエールから同空港に向かっていた6人乗り小型双発機は、空港北東側から南側滑走路に向かうよう指示を受けた。
これらの指示に従い飛行を続けていた2機は、空港の北東約33キロの地点で異常に接近した。その距離は垂直距離で約150メートル、水平距離で3キロメートルだった。両機ともスピードは250キロ以上で、状況によっては約10秒で衝突する距離だった。
調査報告書は、空港周辺の空域を管理するのに6人の管制官と1人のスーパーバイザーが必要なところ、当時は3人の管制官と1人のスーパーバイザーが管制業務を行っていたことを明らかにしている。空港周辺は6つの空域に分割され、通常ならばそのひとつずつに専属の管制官がついて、空域内を飛行中の航空機に指示を出すことになっている。しかしこの日は1人の管制官が複数の空域を受け持っていたため、1人が担当する数が増加するなど、業務量が増えていた。
このため、小型双発機が空港に接近して次の管制空域に差し掛かった際、次の空域を担当する管制官への引き継ぎが行われなかった。結果として次の空域の管制官は小型双発機の存在と、その飛行ルートがエア・トランザット機と衝突するコースにあることに気がつくのが遅れてしまった。しかし、このことに気がついた管制官は衝突を回避するようにルートの変更指示を出し、最悪の事態は避けることができた。
なお報告書は、こうしたインシデントの再発を防ぐような対策については、特に言及していなかった。