2019年7月11日 第28号
アルバータ州カルガリーで開催されているカウボーイの祭典スタンピーダーズに保守党系州首相が8日集結した。9日からサスカチワン州サスカトゥーンで開催される全国州・準州首相会議に出席する前に、アルバータ州の連合保守党ジェイソン・ケニー州首相の呼びかけで保守党だけで集まった。
参加したのはサスカチワン州スコット・モー州首相、オンタリオ州ダグ・フォード州首相、ニューブランズウィック州ブレイン・ヒグス州首相、ノースウエスト準州ボブ・マックリード州首相。
記者会見では、経済や雇用について話し合ったと語ったが、具体的には天然資源産業の発展、炭素税反対、国内の経済流通の実現などが確認されたと説明した。
特に5州のうちノースウエスト準州を除く4州は連邦政府が導入した炭素税に強硬に反対している。サスカチワン州もオンタリオ州も裁判で争ったが敗訴し、上訴する構えを示している。今回の話し合いで、全国州首相会議で改めて訴えることを確認したとみられている。
天然資源産業の発展はアルバータ州のオイルサンドを中心に、アメリカ以外への市場を求めてパイプライン建設による輸出実現を目指すとしている。そのためには西はブリティッシュ・コロンビア(BC)州、東はケベック州の反対が壁となる。
BC州ジョン・ホーガン州首相は2週間前にカナダ西部州会合でケニー州首相らと会談し、改めてBC州が反対の立場を示したと共同記者会見で語っている。ケベック州は保守系政党が今年の選挙で大勝したが、環境問題に積極的に取り組んでいるため他の保守系州政府とは一線を画している。フランソワ・レガルト州首相は「多くの政策で他州と協力できることがあるが、パイプラインについてはケベック州を通ることには断固反対する」と語っている。
9日、10日に行われる州首相会議には、BC州ホーガン州首相、ケベック州レガルト州首相も参加。共同記者会見に注目が集まっている。
2019年7月11日 第28号
ケベック州政府は9日、ケベックシティにある州議会の議長席上に掛けられていた十字架像を撤去した。
ケベック州CAQ政権は先月16日に世俗主義法を可決し、教師や裁判官、警察官などを含む州の公務員に対して宗教的シンボルを着用することを禁止した。宗教的シンボルには、イスラム教徒のヒジャブやユダヤ教のキッパに加えて、キリスト教の十字架も対象となる。そのため、法案を可決したにもかかわらず十字架像を議会に掲げているのはおかしいとの批判が起き、この日の十字架像撤去となった。
しかし問題はこれで解決したわけではない。現在、この法律を巡ってはイスラム教団体や人権擁護団体が訴えを起こしている。この法律はあらかじめ「カナダの権利と自由の憲章」に対して適用除外条項を発動しているためカナダ憲章違反として争えないことから、職業選択の自由などを奪うという観点で訴えている。
連邦自由党ジャスティン・トルドー首相などは州政府が州民に何を着用するかしないかを押し付けることはできないと反対の立場を表明しているが、表立っての批判は控えている。今秋には連邦総選挙が実施される。
この裁判の最中、ケベック州政府ジャン-フランソワ・ロバージュ教育大臣が人権活動家でノーベル平和賞受賞者として知られるマララ・ユスフザイさんと一緒に写っている写真をツイッターに投稿し批判が起きた。ユスフザイさんはイスラム教徒女性が着用するヒジャブを着用していた。ケベック州の法律は、イスラム教徒を標的にしているとの見方が強い、特にニカブやヒジャブを着用する女性の締め付けを狙いとしているとみられている。
裁判所は今回の訴えに対し、今月19日に何らかの判断を下すとしている。
2019年7月11日 第28号
ケベック州モントリオール市の東、セントローレンス川を挟んだ対岸にある人口8万5000人余りのブロサード市で7日午後、リンゴを満載したトラックが横転、積み荷のリンゴが道路を埋め尽くした。
場所は同市を走る高速30号線。ケベック州警察によると、トラックは直交する高速10号線から、この高速道路に乗り換えるインターチェンジを走行中にコントロールを失ったという。トラックからは何千個というリンゴが路上に散乱。後続の車がこれを砕いていき、路面は果肉と果汁で覆いつくされた。
清掃のためにインターチェンジと、北東方面に向かう高速30号線の1車線が数時間にわたって閉鎖された。さらにそのあと、残った果汁を洗い流すために消防隊も出動した。
2019年7月11日 第28号
アルバータ州カルガリーで行われたプロ野球の試合で、国歌が先住民語で歌われた。
同市ロジャーズセンターで6月29日に行われたのは、トロント・ブルージェイズ対カンザスシティ・ロイヤルズ戦。ブルージェイズが先住民記念日を祝うイベントとして、試合開始前に13歳のカイヤ・ブルーノさんが約2万人の観衆の前で、国歌オーカナダを英語とクリー語で歌い上げた。
現在8年生のブルーノさんは同州北部、サムソン・クリー先住民居住区の出身。ロジャーズセンターで国歌がクリー語で歌われたのは、これが初めて。ブルーノさんはこのイベントのオーディションに、クリー語で国歌を歌う自分の動画で応募していた。まさかオーディションに受かるとは思っていなかったと取材に語るブルーノさん。しかしオーディションに受かったことが分かると、本人のみならず家族も喜びにあふれたという。
いざフィールドに立つと、今まで経験したことのない会場の大きさに緊張したと語るブルーノさん。彼女は母親と祖母から、国歌のほか何曲かをクリー語で歌うことを習ったと取材に語っている。彼女の夢は歌や踊り、モデルとしてキャリアを積んでいくことだという。
2019年7月11日 第28号
ブリティッシュ・コロンビア州中部沿岸で先週、地震が連続して発生した。
最初の地震が発生したのは4日午後9時30分ごろ。震源地は同州北部沿岸部の町ベラベラから西南西に200キロの海底で、カナダ地震局によると深さは10キロ、地震の強さを示すマグニチュードは5・8だった。なお米地質調査局は、この地震のマグニチュードを6・2としている。同局には2件、揺れを感じたという報告が入ったほか、バンクーバー島北部やベラベラ周辺の沿岸部に住んでいる人も感じた可能性があるという。
そして5日朝にも、ほぼ同じ場所で地震が3回連続して発生した。1回目は午前5時51分に発生、マグニチュードは4・6だった。そして5時58分にはマグニチュード5・1の、また6時2分にはマグニチュード4・7の地震が発生した。アメリカ国家津波警報センターによると、これらの地震による津波の心配はなかった。
同州ノースバンクーバー市の地質学者で災害研究員のミカ・マキノンさんは、これらの地震は特に警戒すべきものではないと、取材に説明している。同州沿岸部には断層が走っており、地震は常に発生しているとマキノンさん。地震が連続して発生しても、そのマグニチュードが減少傾向にあれば、特に憂慮する必要はないとしている。
なおマキノンさんは、米カリフォルニア州で最近続いた大きな地震との関連性は否定している。カリフォルニア州の地震の震源地はここから何千キロメートルも離れている上、全く異なったプレートの境にできた断層で起こったものであることが、その理由だという。金曜日早朝の連続地震は、4日にほぼ同じ場所で発生した地震の余震とみるほうが自然だとしている。
この地域では6月に入ってから地震活動が活発化し、マグニチュード3・1から5・8の地震が度々発生している。
この地域で記録された地震としては、2012年10月28日に起こったマグニチュード7・8の地震が最大となっている。