2019年7月11日 第28号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー島中南部東海岸にある、人口1万2千5百人あまりの都市パークスビル市が、犯罪予防政策の一環として防犯カメラを設置する家庭や事業所に対する補助金の支給を開始した。しかし街中に防犯カメラがあふれ、プライバシーの侵害につながる恐れを指摘する声もある。

 補助金支給は個人住宅や事業所に対し1回のみで、最高100ドルが支払われる。申請には所定の申請書類のほか、購入した防犯カメラや施工費の領収書を添付する必要がある。

 同市ではこのための予算として今年、2千5百ドルを計上した。さらに来年度は5千ドルに増額する予定。市民の安全を考えたとき、こうした防犯カメラが盗難や器物破損といった様々な犯罪に対する警察捜査の一助となることが期待できると、同補助金の申請書には、その目的が説明されている。

 しかしこれに対し、個人情報保護の啓蒙活動を行っている団体、BC州情報とプライバシーの自由協会(BCFIPA|BC Freedom of Information and Privacy Association)は、街が防犯カメラで覆い尽くされるようなことを防ぐため、市民への教育とコンサルテーションが必要だと訴えている。

 同協会エグゼクティブ・ディレクターのサラ・ノイアートさんは、補助金制度により市民が、防犯カメラを家の回りに設置することが簡単で当たり前に思うようになると指摘。そのうち散歩をしているだけの自分が、常にどこかの防犯カメラに監視されているような日が来たら、どう思うかと問いかけている。

 市によると、先週の段階ではまだ申請書は提出されていなかったものの、市民からの問い合わせは非常に多いと取材に答えている。

 

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