2019年7月4日 第27号

 オンタリオ州南西部、人口9万7000人あまりの都市ウォータールー市の住人が、永住権証(PRカード)を持たずに海外旅行に出かけたため、帰国できなくなってしまった。

 カナダ永住者が外国からカナダへ帰国する際には、有効なパスポートとPRカードを携行している必要がある。しかしマーガレット・パターソンさんは、有効なPRカードを持たずに妹のキャシー・スティルウェルさんとともに、イギリス・ロンドンへの旅行に出かけてしまった。

 イギリス生まれだが、7歳の時に家族とともにカナダへ移住してきたパターソンさんは、以来60年以上もカナダで暮らしている。旅行には有効なイギリスのパスポートはもちろんのこと、移民として到着した時のオリジナルの移民書類、SINカード、運転免許証、保健カードなどありとあらゆる公的証明書を携えていったパターソンさんだったが、唯一PRカードを持っていなかったため、ロンドンの空港で警備員と航空会社職員から、帰国に必要な書類が揃っていないことを理由に飛行機への搭乗を拒否された。

 ウォータールー市の移民コンサルタント、クリス・ダウさんによると、有効なPRカードを所持していないカナダ移民が外国からカナダへ帰国する場合には、永住者用渡航文書(PRTD:Permanent Resident Travel Document)を取得する必要がある。この文書の発行手数料は50ドルだが、その手続きにかかる時間は状況により大きく変わるという。

 パターソンさん姉妹は、この文書が発行されるまでホテルに滞在していたが、そのための費用はどんどん膨れ上がっていった。またウォータールー市でパターソンさんの帰りを待っていた娘のキャシー・パターソンさんは取材に対し、父親はパーキンソン病を患っており、母親は一家にとってかけがえのない存在であり、その不在の間の苦境を訴えていた。

 有効なPRカードを持っていなかったために帰国できなかった例は度々報道され、2017年にはノバスコシア州に住む英国籍のカナダ移民の男性が、同じようなケースで米ネバダ州ラスベガス空港でカナダ行きの飛行機の搭乗を拒否されたことを、メディアが取り上げている。

 この時は、PRカードなしでも入国できる方法|徒歩か車による入国|を実行するため、男性はラスベガスから空路カリフォルニア州ロサンゼルス、さらにイリノイ州シカゴへと向かい、最終的に国境近くの都市バッファローに到着。ここからはバスを乗り継ぎ、ナイアガラフォールズを挟んでカナダと接するアメリカ側の町ナイアガラフォールズに降り立った。そして徒歩で国境を渡り、カナダに無事入国している。

 

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