2019年6月20日 第25号

 ケベック州議会は16日、新非宗教法案を賛成73、反対35で可決した。ケベック州の保守派にとっては悲願ともいえる法案の可決だが、ケベック州以外からは差別的だと非難の声が上がっている。

 今回の法案は、宗教的シンボルを身に着けることを禁止する法案で施行されれば、公的機関で働く、公立学校教師、警察官、裁判官、刑務所看守、検察、政府弁護士などが対象となる。ただ既得権条項により現職者は除外対象。

 宗教的シンボルには、イスラム教徒のヒジャブやユダヤ教のキッパ、キリスト教の十字架などが含まれる。しかし今回の法案の目的は、主にイスラム教徒を標的としたものとの見方が強い。法案では公的機関で働く人以外にも、公的機関が提供するサービスを受ける人も、顔を覆っているものを取って見せなければならないとしている。イスラム教徒の女性が着用するニカブも対象のため、イスラム教への差別が色濃く表れていると受け止められている。

 これに対して連邦自由党政権は、政府が国民に着用する衣服の種類を強制することはできないとカナダ民族遺産・多文化主義大臣パブロ・ロドリゲス氏が声明を発表している。

 ケベック議会はさらに移民法改定も可決。これからケベック州に移民を希望する申請者に対して、ケベック州政府がフランス語の試験と適性テストの合格を強制することや、すでに申請済みで審査を待っている申請書を破棄することを許可する内容となっている。現在審査を待っている申請者は約1万8千人とみられている。これらすべての申請を拒否することが許される。

 こうしたケベック州政府の動きに対して翌日には、イスラム教団体や人権団体が提訴している。

 

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