2018年1月11日 第2号

 連邦保守党アンドリュー・シェア党首は4日、上院リン・ベヤック議員を保守党から除名すると発表した。

 ベヤック議員は先住民族に対する差別的なコメントを書いた手紙約100通を自身の上院サイトに掲載。以前に自身が発言した先住民族に対する差別的な発言についての言い訳を綴っていた。

 ベヤック議員は昨年、先住民族に対して連邦政府が取った政策「レジデンシャル・スクール」について、この政策は先住民族の人々にいい影響もあったなどと発言して非難を浴びたことがある。

 レジデンシャル・スクールは、1830年代から1990年代まで続いた連邦政府が取った先住民族への文化一掃政策。先住民族の子どもたちを親から引き離し、寄宿生活を強制、キリスト教への改宗を強いたほか、先住民族の言語・宗教の使用や文化を禁止したり、肉体的、性的、言語的暴力が日常茶飯事に行われていたことが明らかになっている。

 レジデンシャル・スクールを経験した先住民族の人々の多くは今でも精神的、肉体的な後遺症に悩まされており、カナダ政府は2008年に当時の保守党政権スティーブン・ハーパー首相が、レジデンシャル・スクール政策について公式に謝罪した。

 シェア党首は声明の中で、ベヤック議員に対してサイトへ掲載したコメントを削除するよう求めたが、本人が応じなかったと述べている。そのため、ベヤック議員を保守党から除名することを決定したと語っている。「サイトに記載されているコメントを拡散させることは保守党の上院議員として受け入れがたい」と理由を述べている。

 カナダの上院議員は任命制で、恒久的に議員を務める。党は議員を罷免できないが、党から除名することはできる。2013年には経費不正受給問題で、保守党がマイク・ダフィらを除名。また自由党が野党時代に自由党上院議員を党から切り離すことを発表。元自由党上院議員は現在無所属という立場で議員活動を行っている。

 

 

2018年1月11日 第2号

 カナダ人でアフガニスタンに5年間人質として捕らわれていたジョシュワ・ボイル(34)さんが、15件の罪に問われていることが明らかになった。2日にカナダ・ブロードキャスティング・コープ(CBC)が報じた。

 報道によると、ボイルさんは暴行、性的暴行、監禁、脅迫などの罪に問われているという。事件を起こしたのは2017年10月14日から12月30日の間で、1月1日に裁判所に出廷。拘留されたまま3日にも出廷し、保釈請求の聴取の延期が告げられた。8日に再び出廷している。

 ボイルさんは、2012年10月にアフガニスタンをアメリカ人の妻カイトランさんと旅行中に、タリバン系グループに誘拐された。昨年10月にアメリカ政府により救出された。しかし、以前にアメリカ軍に捕虜として捕らえられていたオマー・カーダルさんを支援していた経緯があることから、アメリカに入国することを拒否。カナダに帰国した。

 帰国後の記者会見では、人質として捕らえられていた5年間に、妻カイトランさんが4人の子どもを出産したが、一番幼い一人が殺害され、妻も性的暴行を受けたと告白した。タリバンはこうした事実を否定している。

 今回の件について、ボイルさんの代理人は、全ての罪状について否認していると語っている。

 1月8日にも出廷している。

 

 

2018年1月11日 第2号

 カナダのクリスティア・フリーランド外務相は3日、アメリカがカナダからの輸入製材への課税を引き上げたことに対して「正当な理由もなく、不公平で、問題が多い」と批判した。

 米加間における製材への課税については、これまで何度もアメリカがカナダの不公平さを指摘し、WTO(世界貿易機構)へ訴えたが、そのたびにカナダの主張が受け入れられてきた。

 しかしトランプ政権が誕生して以降、経済面でも「アメリカ第一主義」を掲げ、製材問題や北米自由貿易協定(NAFTA)などの見直しを示唆している。

 今回の製材輸入問題では、カナダの製材は政府の土地から伐採したものがほとんどで安い価格で仕入れているため、カナダから輸入された製材はアメリカの製材よりも価格が安くアメリカの国内企業に不利になるとして、カナダからの製材について大幅な課税増を決定。製材会社によって課税率は異なるが約10パーセントから24パーセントの課税を決定した。この課税は3日から実施されることになっている。

 

 

2018年1月11日 第2号

 カナダ統計局は5日、2017年12月の失業率が5・7パーセントだったと発表した。前月から0・2パーセント改善し、1976年に統計を始めて以降で最も低い水準となった。

 前年同月の2016年12月には6・9パーセントだった失業率は1年で大きく改善。リーマンショック前の最も低い水準だった2007年10月の5・8パーセントよりも低い数字となった。

 就業者数は7万8600人で、うちフルタイムが2万3700人とエコノミストの予想を大きく上回った。これで就業者数は13カ月連続増となった。

 地域別では、好調だったのはケベック州とアルバータ州で、それぞれ2万6千人以上となり、失業率もケベック州で0・5パーセント改善し4・9パーセント、アルバータ州では0・4パーセント改善し6・9パーセントとなった。

 産業別では製造業で3・5パーセント増、サービス業で2パーセント増となった。

 2017年は、就業者数は42万2500人で、うちフルタイムが39万4200人と大きく改善した。年齢別では、55歳以上の就業者数が5・3パーセント増と多く、労働市場の主力となる25歳から54歳までの2・9パーセントを上回った。

 今回のデータを受け、この日のカナダドルは米ドルに対して一時80・78米セントと0・9パーセント上昇。2017年9月27日以来の高値を付けた。

 今回の大幅な失業率改善で、カナダ銀行が今月発表する報告書で金利を引き上げるのではないかと予測されている。

 

 

2018年1月11日 第2号

 カナダ統計局が5日に発表したデータによると、2017年11月の原油輸出量が1日当たり328万バレルと前月比で2・4パーセント減少、2カ月連続で減少したことが明らかになった。

 原因はアメリカへの輸出量が減少したためで、326万バレルと前月より約8万バレル減少している。

 カナダは世界有数の産油国だが、そのほとんどをアメリカに輸出している。カナダ統計局によれば、アメリカ以外ではイギリスにも2万2500バレル輸出しているとなっている。

 一方で輸入量は増加している。総輸入量は1日当たり5万1千バレル増加し63万5千バレル、アメリカからでも12万7千バレル増加して41万3千バレル。アメリカ以外では、11月はサウジアラビア、ナイジェリア、ノルウェーから輸入している。

 アメリカ政府はドナルド・トランプ大統領が就任して、トランスカナダ社が手掛けるキーストーンXLパイプライン建設計画を承認。カナダのアルバータ州からアメリカのテキサス州までのパイプライン建設計画で、これが完成すればアメリカへの輸出量は増加すると見込まれている。

 しかしカナダ政府はアメリカ以外の輸出先の市場開拓にも力を入れている。特にアジア市場をにらみ、アルバータ州からブリティッシュ・コロンビア(BC)州バーナビー市までのトランス・マウンテンパイプライン拡張計画を承認した。ただBC州での反対が強く、現在のところトランス・マウンテン計画が完成する時期については不透明なままとなっている。

 原油を主要産業とするカナダは原油価格によって、為替レートが左右されるが、この日はアメリカの原油価格が0・84パーセント下落し1バレル61・49ドルとなった。しかし同日に発表された雇用状況報告書で失業率が調査を始めて以降、最も低い水準になったため、カナダドルは昨年9月以来の高値となった。

 

 

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