2019年6月6日 第23号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バーナビー市を6月1日に訪問したジャスティン・トルドー首相は、同日に同市で開催されていたフェスティバルに飛び入り参加し、市民を驚かせた。

 その直前にはバーナビー市マイク・ハーレイ市長と会談、トランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画について話をしたことが分かった。ハーレイ市長が明らかにした。

 同市長は、パイプラインが完成すれば火災発生などの危険性も高まるとして、パイプライン計画が実施される前に住民の安全を担保するための話し合いが必要との認識を示したと語った。ハーレイ市長は元消防士で、市長就任後にパイプライン計画には反対の意向を示している。

 市長によると、パイプラインの最終地点であるバーナビー市の施設は、5キロメートル以内に森林や住宅がある生活地域という。市民の大多数は計画に反対している。

 トルドー首相事務所は今回のハーレイ市長との会談について、消防署の代表との面会や喫緊の住宅問題について意見を交わしたとの言及にとどめている。

 トランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画は、アルバータ州エドモントン近郊からバーナビー市まで延びている現行のパイプラインを増加する事業で、完成すれば現在の輸送量が3倍になり、バーナビーから運ばれるタンカーの航行数は7倍になると予想されている。

 トルドー首相は2016年秋に同計画を承認。しかし2018年8月に連邦上訴裁判所が、環境への影響に関する調査不足と先住民族への説明不足を理由に、承認を無効とした。その後政府は、カナダエネルギー委員会による再調査を指示し、再承認され、今月中には工事継続についての決定をトルドー首相が発表することになっている。

 連邦政府は昨年、トランスマウンテン・パイプラインを45億ドルでキンダーモーガン社から買収している。

 

2019年6月6日 第23号

 MLS(メジャーリーグサッカー)バンクーバー・ホワイトキャップスFCは5月に組まれた7試合の最終戦で31日、トロントFCと対決した。

 試合は84分にホワイトキャップスがPKのチャンスをつかみ、FWモンテロ(12)が決め1点を先取。このまま逃げ切るかに思えたが90分に途中出場したトロントFCのMFデリオン(50)が同点弾を決め、試合はそのまま引き分けた。

 それでもホワイトキャップスは4試合連続の負けなしで勝ち点を18とし、16試合を終え4勝6敗6分、西カンファレンス9位となった。

 次のホームゲームはUSオープンカップ開催によりレギュラーシーズンが一時中断するため、少し間が空き6月22日にコロラド・ラピッズとの対戦となる。

 この間にカナダではカナダ代表を決めるカナディアン・チャンピオンシップが開催される。ホワイトキャップスは3次予選ラウンドから出場。今シーズンから始まったカナディアン・プレミア・リーグのフォージFC(オンタリオ州ハミルトン)対カバリーFC(アルバータ州カルガリー)の勝者と7月に対戦する。

 

ケガから復帰し7試合ぶりの出場となったホワイトキャップスMFレイナ(#29)。5月31日トロントFC戦。(Photo by Preston Yip)

 

2019年6月6日 第23号

 ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバー地区の公共交通機関を運用するトランスリンクは5月22日、利用する経路のプランから時刻表、現在の運行状況や次の発車時刻なども画面上に表示する、新しいタイプの券売機の導入を発表した。

 約50台の券売機が導入されるのは、スカイトレインのエキスポラインとミレニアムライン、ウェストコースト・エクスプレスの駅のほか、シーバスのターミナル、およびパークアンドライドやバスターミナルにも設置される予定。

 トランスリンクが公表したイメージ写真によると、この券売機は縦1メートルほどの、超大型スマートフォンのようなディスプレイを壁に取り付けたような格好をしている。

 

2019年6月6日 第23号

 ブリティッシュ・コロンビア州ノースバンクーバー市のスーパーマーケットで購入したサケの切り身に、海シラミ(sea lice)の通称で知られる寄生虫が張り付いていたことを、購入した生物学者がネット上で公開、サケの海面養殖の問題点を指摘している。

 この生物学者は、地元に住むアレクサンドラ・モートンさん。調査のために5月31日、大手スーパーマーケットのスーパーストアで、養殖物のアトランティック・サーモンの切り身を購入した。地元で売られている魚に付着しているウィルスを調査するために、彼女は定期的に市販されている切り身などを購入しているという。

 そんな彼女でも、生きたままの海シラミが切り身の表面に付着していたのを発見した時は驚いたと、取材に話している。海シラミが付いたままの市販品が店頭に並ぶことは滅多にないとしながらも、これは多分、調理場で大量の海シラミがサケから洗い落とされ、その場に残っていたそのうちの一匹が何かの拍子に、加工された切り身に張り付いたのだろうと、モートンさんは推測する。

 この件についてのメディアからの質問に対し、スーパーストアを傘下に持つロブローズは、切り身の加工業者に連絡を取り、品質管理方法について協議すると回答している。また同社は消費者に提供する食品に誇りを持っており、海シラミ自身は人体に無害ではあっても、今回のようなケースは起きてはならないことだという認識を示している。また店頭に出回っている商品の全品検査を行った結果、この件以外には海シラミは見つからなかったと報告している。

 またモートンさんも、スーパー側に何ら落ち度はないと話している。一方で、この一件が示しているのは、BC州沿岸部で行われているサケの養殖(オープン・ネット海面養殖)が引き起こしている問題だと指摘する。養殖場のネットで囲われた、限られた海中に閉じ込められた養殖魚の間では、寄生虫やウイルスが蔓延しやすい。また、その付近では寄生虫の幼生が大量に浮遊するため、そばを通過する野生のサケにも影響が及ぶ。またウロコが十分に発達していないサケの幼魚などが海シラミに寄生されると、体を十分に守れないため死に至ることもあるという。

 この状況を解決するには、ネットで囲う海面養殖場ではなく、陸上のタンクで養殖することだと、モートンさん。一般に閉鎖循環式陸上養殖と呼ばれるこの方法は、すでに北米各地で行われている。しかしBC州サケ養殖業協会のショウン・ホールさんは、広大な土地にコンクリート製タンクを設置し、大量の電力を消費して中の水を巡回させるなどして、海に近い状態を作り出さなければならない点を指摘、まだ日が浅い養殖方法だとしている。

 

2019年6月6日 第23号

 アルバータ州カルガリーにある公園の再開発現場から、3千年ほど前の先住民の遺物が大量に発掘された。

 場所は、同市東部の歴史的地区にあるジャック・ロング公園。火によってひびが入った石や骨のほか、先住民テント(ティピ)を建てたときに並べられたと思われる環状列石が発見された。そのほかにも、ここで暮らしていた初期の移民のものとみられる陶器の破片やすず製コップ、手製の釘なども発見されている。

 この公園で上下水道管埋設工事のため掘削を行っていたところ、金属のすずの塊、ガラスの破片などが次々と見つかったため学術調査を行うことになったと、同市の造園技師ダニエル・イングランドさんは取材に語っている。いくつもの試験発掘とともに、地中レーダーによる解析も行われた。

 ヨーロッパからの移民が到着する何千年前に、この地に定住していた先住民をより詳しく知る上で、こうした遺物の発見には心踊らされると話すのは、調査リーダーのケンドラ・コロミヤさん。集められた遺物は調査終了後、王立アルバータ博物館に展示される予定だ。

 発掘現場のジョン・ロング公園は、再開発によって芝生のオープンスペースやピクニックエリア、遊園地、レインガーデン、またイベント用の舗装エリアなどを備えた、コミュニティ・スペースとなる。また工事完了は、この秋を目指している。

 

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