2019年5月23日 第21号

 ジャスティン・トルドー首相はオンタリオ州トロントで20日に講演し、カナダでのテクノロジー産業成長のカギは、カナダの移民政策にあると語った。

 トルドー首相は例年はアメリカで開催されているカナダで初めて開催されたテクノロジー産業のコンファレンスに参加。カナダがテクノロジー産業での人材育成に世界的に大きな成果を上げていることに触れ、それがカナダ国内でも同産業の活性化につながっていることを強調した。

 テクノロジー産業といえば若い世代が活躍できる産業。カナダの移民政策が世界中から優秀な若い人材を招き入れていること、カナダの教育産業がそうした優秀な人材を成長させていることがカナダのテクノロジー産業の発展に大きく貢献していると語った。

 さらにアメリカなどは移民の受け入れを拒む政策を取っているが、カナダはこれからも積極的に移民を受け入れることを強調。カナダ国民は世界中から人々を受け入れることに対して、耐性があるし、受け入れることで解決できることがあることを理解しているし、より革新的であることを信じていると、アメリカとは違い、カナダの移民政策が国民の支持を得ていることに自信をのぞかせた。

 

2019年5月23日 第21号

 カナダ連邦警察(RCMP)によると、違法に収集した個人情報を密売したとして、ケベック州のIT企業に17日、有罪判決が下された。

 この企業はディファイアント・テック社(Defiant Tech Inc)で、ハッカーが盗んだ個人情報を密売するウェブサイト、リークト・ソースを運用していた。

 RCMPはオランダ国家警察と米連邦捜査局(FBI)の協力を得て、このウェブサイトがケベック州にあるサーバー上で稼働していることを3年前に突き止め捜査を開始、昨年1月に犯罪によって取得された情報の所持と、その密売の容疑で同社を訴追した。容疑者の中にはカナダ人も何人か含まれていた。

 密売ウェブサイトは現在では閉鎖されているものの、密売されていた個人情報はいくつかのダークウェブ上のサイトでアクセスでき、いまだに危険にさらされている可能性があるという。またこのウェブサイトから密売された情報点数は30億点あまりに及び、これによってディファイアント社は24万7千ドルほどを稼ぎ出した。

 このウェブサイトで密売されていた個人情報は、ここ何年かの間にハッカーがリンクトインやアシュレイ・マディソン・ドットコムなどのソーシャルネットワークサイトのドメインから盗んだものだったと、RCMPは説明している。

 

2019年5月23日 第21号

 フィリピン政府は駐カナダ大使や総領事らを召還することを16日発表した。フィリピン政府がカナダ政府に課したゴミ問題解決の回答期限5月15日を過ぎたためと説明している。

 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、4月23日にカナダ政府に対してカナダからフィリピンに送られてきたゴミでいっぱいのコンテナを引き取るように要求。もし、カナダ政府が対応しなければ、自身でコンテナを送り返すと記者会見で語り、ゴミ問題でカナダに「宣戦布告」するとまで語っていた。

 フィリピンでの報道によるとカナダから送られてきたゴミは、フィリピンでリサイクルされるために2013年から14年にかけて送られてきたものだったが、中身はプラスチックのボトルやビニール袋、新聞紙、使用済み紙おむつなどのゴミだったという。それらのゴミが入ったコンテナは少なくとも103個あり、すでに処理されたものを除く69個のコンテナの引き取りを要求している。

 これに対してカナダ政府は、大使らを召還したことについて「残念」とコメント。外務省は「カナダ政府はフィリピン政府に対して、カナダのゴミを速やかに引き取り、フィリピンでも処理することを伝えていた」と声明で発表。現在「ゴミをカナダに送るための準備を進めている」と説明している。

 ジャスティン・トルドー首相は訪問中のフランス・パリで記者会見し、「問題は近いうちに解決できると期待している」と語った。

 フィリピンに送られたゴミは、当時、カナダの民間業者が送ったもので、その業者はすでに存在していないという。カナダは法律でゴミの輸入を禁止しているためフィリピンでの処理か、ゴミを引き受けてくれる他の国を探していたが、実現しなかった。ゴミの入ったコンテナはフィリピンの2港に約6年間置かれている。

 

2019年5月23日 第21号

 カナダで「カンジダ・アウリス」の拡散の可能性に注意が呼びかけられている。先月アメリカのメディアが取り上げたのに続き、カナダのメディアでも「カンジダ・アウリス」について取り上げられた。

 今月20日には全国ネットCTVが改めて、カナダの医学界が警鐘を鳴らしていると報道している。

 CTVによるとカナダですでに19件が確認され、病院内で感染が拡散したケースが1件あったという。

 「カンジダ・アウリス」は真菌の一種で、抗真菌薬に耐性があるという。アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、多剤耐性があり、一般病院の検査ではこの病原体が原因であることが特定できないため、特に注意が必要としている。

 さらに極端に免疫力が低下している人に重篤な感染症を引き起こし、最悪の場合は死に至るため、病院内感染への対策が必要となるとも指摘している。

 健康な人では感染症を引き起こすことがないことも分かっている。ただ、健康な人の肌に付着した菌が、その人が病院を訪問した時に入院患者などにうつることで感染するといったことも考えられると注意を促している。

 カナダではオンタリオ州で今年1月に、「カンジダ・アウリス」の感染拡大防止策や検査方法、処置の仕方などの情報を含む独自のガイドラインを制定している。

 

2019年5月23日 第21号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州では今年6月1日から最低時給が引き上げられる。現在の1時間12・65ドルから13・85ドルとなる。

 BC州では2017年5月に実施された選挙の結果、新民主党(NDP)政権が誕生。選挙公約としていた最低時給の引き上げを実施した。第1回は2017年9月15日に11・35ドルに引き上げ、以降、毎年6月1日に引き上げるとし、2021年に15・20ドルとなる。今年は3回目。

 最低時給の引き上げについてはビジネス界からは反対の声も聞こえている。特に中小企業では経営に直接影響するため、最低時給が引き上げられると経営が苦しくなると訴えている。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。