2019年5月23日 第21号

 フィリピン政府は駐カナダ大使や総領事らを召還することを16日発表した。フィリピン政府がカナダ政府に課したゴミ問題解決の回答期限5月15日を過ぎたためと説明している。

 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、4月23日にカナダ政府に対してカナダからフィリピンに送られてきたゴミでいっぱいのコンテナを引き取るように要求。もし、カナダ政府が対応しなければ、自身でコンテナを送り返すと記者会見で語り、ゴミ問題でカナダに「宣戦布告」するとまで語っていた。

 フィリピンでの報道によるとカナダから送られてきたゴミは、フィリピンでリサイクルされるために2013年から14年にかけて送られてきたものだったが、中身はプラスチックのボトルやビニール袋、新聞紙、使用済み紙おむつなどのゴミだったという。それらのゴミが入ったコンテナは少なくとも103個あり、すでに処理されたものを除く69個のコンテナの引き取りを要求している。

 これに対してカナダ政府は、大使らを召還したことについて「残念」とコメント。外務省は「カナダ政府はフィリピン政府に対して、カナダのゴミを速やかに引き取り、フィリピンでも処理することを伝えていた」と声明で発表。現在「ゴミをカナダに送るための準備を進めている」と説明している。

 ジャスティン・トルドー首相は訪問中のフランス・パリで記者会見し、「問題は近いうちに解決できると期待している」と語った。

 フィリピンに送られたゴミは、当時、カナダの民間業者が送ったもので、その業者はすでに存在していないという。カナダは法律でゴミの輸入を禁止しているためフィリピンでの処理か、ゴミを引き受けてくれる他の国を探していたが、実現しなかった。ゴミの入ったコンテナはフィリピンの2港に約6年間置かれている。

 

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