2019年10月31日 第44号

 ブリティッシュ・コロンビア州を襲った強風が各地に大きな被害をもたらした。25日は朝から強い風が吹き、メトロバンクーバーでも各地で停電に見舞われた。

 原因は倒木によるものが多く、BC州内で約12万戸に影響、回復が翌日になった地域もあった。ローワーメインランドとサンシャインコーストでも午後2時頃の多い時には約2万戸が停電。その後、徐々に回復し、強風もその日の夜には収まった。

 強風は停電以外にもメトロバンクーバーのさまざまなサービスに影響を与えた。

 午後にはスカイトレインのエキスポラインがコマーシャル・ブロードウェイ駅とメトロタウン駅の間で運行停止を余儀なくされた。折れた木の枝が列車と線路の間に挟まるような形で列車の運行に支障をきたした。また29‌thアベニュー駅とジョイス駅の間でも一時停止。折れた枝が列車の窓を直撃し、窓ガラスに大きくひびが入っている様子がSNSで投稿されていた。運行停止は午後5時ごろのラッシュアワーと重なり、帰宅する市民の足に大きな影響を与えた。

 他にも、メトロバンクーバーと州都ビクトリアを結ぶフェリーもこの日は欠航が相次いだ。観光地で有名なスタンレーパークでもバンクーバー市公園庁の決定により、海沿いの歩道がこの日は終日通行止めとなった。

 

2019年10月31日 第44号

 BC州メトロバンクーバーの公共交通機関を管理運営するトランスリンクは28日、新たなバスルート2路線を提案した。

 提案されたのは、バーナビー市のリバー・ディストリクトからメトロタウンまでの路線で、朝の始発から午後10時まで30分毎に運行する。トランスリンクによると、リバー・ディストリクトの辺りは商業地、住宅地として開発が進んでいる地区で地域住民からの要望が強い地区と説明している。

 もう一つの路線はノースバンクーバー市のフィブス・エクスチェンジからバーナビー市のメトロタウンまでのエキスプレスルート。こちらは朝夕のラッシュアワー時間帯のみに10分毎に運行する。これで、ノースバンクーバー市にあるキャピラノ大学からフィブス・エクスチェンジで乗り換え、スカイトレインのブレントウッド・タウンセンター駅、BCITとメトロタウンがつながることになる。

 トランスリンクは今後、この新2路線についての意見を広く市民から募るとしている。

 さらに同日、カープーリング会社との提携を発表した。提携したのはカナダ全国でサービスを展開しているバンクーバーに本拠を置くポパライド。同社は行き先が同じ人を乗せるカープーリングサービスを展開している。

 これにより、トランスリンクはメトロバンクーバーからアボッツフォード空港へもサービスを展開できるとしている。ポパライドは2015年にサービスを開始して以降、現在全国で会員は約20万人。BC州ではバンクーバー・スコーミッシュ間(10ドル)やバンクーバー・ケローナ間(40ドル)でサービスを提供している。

 

2019年10月31日 第44号

 バンクーバー市警が女性銃撃事件について捜査を開始した。銃撃事件が起こったのは26日の午後、BC州バンクーバー市にあるオッペンハイマー公園付近。女性はダンレビー・アベニューに駐車していた自分の車の中にいたところを銃撃され、友人によって病院に運ばれた。

 市警によると、警察が銃撃事件の知らせを受けたのは女性が病院に運ばれた後で、女性は重傷を負って手術を受けたが命には別状ないと警察が発表した。

 ダウンタウン・イーストサイドと呼ばれるこの辺りはホームレスが多く生活しているが、オッペンハイマー公園では今年に入ってテントを張って生活するホームレスが急増している。

 この日銃撃された女性(53)は、パウエルリバーからこの公園で生活している男性を訪ねてきていたという。

 警察は銃撃が特定の人物を狙ったものか、偶然かを判断するには時期尚早と発表している。

 この辺りでは悪質な事件が頻発している。今年9月にもギャング関係者の発砲事件で3人が逮捕されている。

 市警とバンクーバー市ケネディ・スチュワート市長は公園と付近の安全のためにホームレスの強制退去を提案しているが、管轄する同市公園庁は強制撤去しても生活する住宅が確保できないことから、強制撤去に反対している。

 市警は今回の銃撃事件について、目撃したり、何か情報を知っている場合は、警察に連絡してほしいと呼び掛けている。連絡先は、604‐717‐2541、もしくは匿名で800‐222‐8477まで。

 

2019年10月31日 第44号

 カナダの若者たちが25日、環境対策が不十分としてカナダ政府を訴えた。

 訴えを起こしたのは、10歳から19歳までの15人。同日、スウェーデン出身16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんがブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市で環境問題を訴えた会場で、連邦政府への訴えを発表した。

 気候変動による環境の変化が自分たち個人の健康に影響していると訴える。こうした健康被害や傷害は、カナダ住民の基本的権利を定めた「権利と自由の憲章」に違反すると主張している。

 未成年による訴訟を支援しているのは、アメリカやオランダでも同様の訴えを起こしたアメリカに本部のある非営利団体チルドレンズ・トラスト。訴えでは、温室効果ガスの排出が気候変動を引き起こし、子供たちを不公平に傷つけると何十年も前から知っていながら、政府は効果ガスの排出を許可し続け、気候の安定と人間の生活が両立できない限界になるまで環境対策を放置したと訴えている。

 若者たちを支援している団体にはデイビッド・スズキ基金も含まれている。この日、支援者たちが集まった会場にはデイビッド・スズキ氏自身も駆けつけ、若者たちに「裁判に訴える時が来たと勇気ある行動を起こした若者たちを誇りに思う」と語った。

 

2019年10月24日 第43号

 カナダで21日、第43回連邦総選挙の投開票が行われ、ジャスティン・トルドー党首率いる与党自由党が最多議席を獲得して、自由党政権の続投が決まった。ただ単独過半数を獲得できなかったため、少数派政権となる。

 トルドー自由党は今回の選挙で厳しい戦いを強いられた。2015年前回選挙では、トルドー旋風を巻き起こし、圧勝で保守党から政権を10年ぶりに奪回した。

 しかしその期待とは裏腹に、政策不履行やスキャンダルが相次ぎ、支持率はじりじりと下がり始めた。決定的な打撃となったのは、今年2月に発覚したSNCラバランスキャンダル。

 ケベック州にある大手建設会社SNCラバラン社がカダフィ政権下のリビア政府に賄賂を贈ったとされる贈賄容疑の訴追を、司法取引によって回避するよう当時のジョディ・ウィルソンレイボールド司法長官にトルドー首相や側近が圧力をかけたとの疑いが向けられた。

 これにより支持率は一気に落ち込んだ。しかしトルドー首相は、不正行為はなかったと現在でも主張を変えていない。倫理委員会からは圧力があったとの調査報告が発表されている。

 また選挙戦に入ってからは、トルドー首相がブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーで高校教師をしている時に顔を真っ黒に塗ってコスチュームパーティーに参加していた写真が雑誌に掲載された。これには各方面から非難の声が相次いだ。

 こうしたことから自由党の支持率が落ち込んだが、保守党も引き離すほど支持率は伸びず、投票日直前には両党とも30パーセント前半で争っていた。

 投票前の予測では保守党政権の政権奪取の可能性もいわれていたが、オンタリオでの議席を伸ばせなかったことが響き、自由党を倒すまでには至らなかった。

 新民主党(NDP)は党首討論会で頭角を現したジャグミード・シング党首が後半猛追したが、議席を減らし野党第3党に。一方で同じく討論会で存在感を見せたケベック連合党(BQ)イヴ-フランソワ・ブランシェ党首は、BQ旋風を巻き起こし大幅に議席数を増やした。

 グリーン党は初めてBC州以外で議席を獲得、過去最高の3議席となった。カナダ国民党(PPC)はマキシーム・ベニエ党首が落選し唯一の議席を失った。

 注目されたBC州バンクーバー・グランビル選挙区は、無所属で出馬したウィルソンレイボールド元司法長官が僅差ながら自由党を突き放して当選した。

 選挙結果は、自由党157(177)、保守党121(95)、BQ32(10)、NDP24(39)、グリーン党3(2)、無所属1(9)、PPC0(1)。カッコ内は選挙直前の議席数。選挙前の空席は5議席。総議席数は338議席、過半数を取るには170議席が必要だった。

 議席数では自由党が最多となったが、得票数は保守党が34・4パーセントと自由党33・1パーセントを上回った。BQは7パーセント、NDP15・9パーセント、グリーン党6・5パーセントだった。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。