2017年4月27日 第17号

 ニューファンドランド・ラブラドール州のニューファンドランド島沖に巨大氷山が流れ着き、滅多に見られない光景を写そうとする人たちで賑わった。

 氷山が接近したのは、同島の東端に位置するアバロン岬のフェリーランド沖。浅瀬になっているところに氷山が座礁し、岸からよく見える場所にしばらくとどまっていた。また、ちょうどイースターの連休に重なり、この氷山をカメラに収めようと訪れた車が、海岸沿いの道路を埋め尽くした。

 氷山の大きさは、12〜13階建てのビル程度(海面から氷山の頂上までが約46メートル)とみられていたが、しばらくしてから崩壊した。それでも風向きが変わるまではしばらく同じ場所にとどまるだろうと、現地の人は取材に語っていた。この予期せぬ『観光名物』は、同地の観光シーズンの幸先の良いスタートとなったが、実際のところ現地に2軒しかないレストランは5月下旬まで休業中で、食べ物に困っていた人もいた。それでも滅多に見られない光景を一目見ようとする人たちは、後を断たなかったようだ。

 

 

2017年4月27日 第17号

 アルバータ州の大学の学生らが設計・製作した人工衛星が、アメリカ・フロリダ州ケープカナベラルのアメリカ航空宇宙局(NASA)から、17日に打ち上げられた。

 エックス・アルタ・ワン(Ex-Alta 1)と名づけられた、この人工衛星、大きさは食パン1斤をひとまわり大きくした程度の、キューブサット(CubeSat)と呼ばれる超小型人工衛星。同州エドモントンのアルバータ州大学で完成までに4年を費やした、この衛星は、磁気圏や熱圏の状況を観測、太陽フレアなど、宇宙空間で起こる強力な現象の研究に役立てられる。こうした現象は、宇宙空間の衛星や宇宙船のみならず、地上での電気的ネットワークにも影響を及ぼすという。

 地上付近で起こる気象現象は、観測機器や体制の進歩で、その仕組みや影響がかなり詳細に分かるようになってきたが、宇宙空間で起こる気象現象は未だに未知の分野だと、このプロジェクトに4年間携わっている宇宙物理学専攻の大学院生チャールズ・ノークスさんは取材に説明している。

 また、この衛星は、QB50と呼ばれる、28カ国の大学が協同で打ち上げるキューブサット50個のうちのひとつ。この日、打ち上げられたロケットには、これらの衛星もまとめて搭載されていた。衛星からの観測データは、アルバータ州大学キャンパス内の屋上アンテナで受信され、世界中の研究施設でも利用されるという。

 一般的な大きさの人工衛星を打ち上げるには巨額の費用がかかり、また、今回の観測に適した低高度の軌道には(薄い大気との摩擦によるダメージで衛星の寿命が短くなり)経済的理由から投入できないと、ノークスさんは説明する。それに比べキューブサットはコストを抑えられるほか、開発・製造期間も短くて済み、最大で2年間の運用には耐えられるという。その後は、厳しい環境のために故障・分解してしまうという。

 衛星は地上から約400キロメートルの軌道に投入される予定。今回の打ち上げ成功により、アルバータ州の航空宇宙産業の活性化が期待されている。

 

 

2017年4月27日 第17号

 実家に預けるために飛行機に乗せた愛犬が、実は全く違う行先の便に乗せられ、さらに、一時行方不明になるなど、飼い主は再会までに多大な苦労を強いられた。

 この飼い主は、ノバスコシア州ハリファックス在住のテリー・ピットマンさん。彼女とルームメートは、ジャマイカで行われる結婚式に翌週出席するため、19日午後にラブラドゥードルの愛犬クーパーをウェストジェットのニューファンドランド・ラブラドール州ディア・レーク行きの飛行機で送り出した。ところが、その日の真夜中過ぎ、クーパーはオンタリオ州ハミルトン空港に誤って届けられたと、航空会社から連絡が入った。

 さらに、空港職員がトイレのためにクーパーを檻から出した際に、クーパーが逃げ出したという第二報が彼女の元に届いた。ピットマンさんとルームメイトは、愛犬を探すべくすぐさまハミルトンへと向かった。ちなみに、この時の運賃はウェストジェットが負担している。今回のミスについて航空会社は、とても申し訳なさそうにして、クーパーの安全を最優先するとピットマンさんに語っていたというが、謝罪だけでは愛犬は戻ってこなかった。

 愛犬の失踪をソーシャルネットワークに書き込んだピットマンさんのもとには、やがて空港近辺の住民から連絡が届くようになった。こうした連絡の積み重ねでクーパーの足取りが明らかになるにつれ、次第に希望が沸いてきたとピットマンさん。その一方で彼女は、空港で保管されていた、クーパーを運んできた檻の扉を開けておいてほしいと航空会社に依頼。クーパーが慣れ親しんだ臭いのする檻に、ひょっとしたら戻ってくるかもしれないという期待からだった。職員が、そのように檻を置いていたところ、あろうことか何時間後かには檻は盗まれていた。

 それでも、地元の人のネットワークは24時間体制に近い状態でクーパーを追跡、21日早朝に確保に成功した。犬は空腹のみならず、前夜の豪雨のためずぶ濡れになって神経質になっていたが、それ以外は問題ない状態だったという。ピットマンさんは、地元の人たちの精力的な捜索活動に心から感謝していると取材に語っていた。

 

 

2017年4月27日 第17号

 ブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー水族館で昨年11月、ベルーガの親子が相次ぎ死亡した事故に関する調査の最終報告書が、先週発表された。

 それによると、何十人もの水族館内外の専門家らによる5カ月にわたる調査にもかかわらず、死亡の直接原因となった毒物の特定はできなかった。また報告書は、時間とともに血液中の毒物の特定が困難になるのは、よくあることだと指摘している。一方、毒物がベルーガの水槽に混入した経路は、エサか補給された水、さらには人為的な可能性も排除できないとしている。

 この報告を受け、水族館では同じような事故が起きないよう、次のような改善を行うとしている。

エサの検査方法の改善  
● 害を及ぼすと思われる、水槽まわりの植物の駆除  
● イルカやクジラ類の水槽の水浄化システムの更新とオーバーホール  
● 水槽および浄化システムの常時モニタリングと、水質のリアルタイム検査  
● 人為的な操作を防ぐ、セキュリティシステムの強化

 今回の事故は、自分の勤務歴25年のうちで最悪のものだったと、同水族館の主席獣医で、今回の調査の指揮をとったマーティン・ハウレナさん。この事故をきっかけに、水族館が水棲哺乳類を飼育することに対する激しい論争が巻き起こった。水族館を運営するバンクーバー公園委員会は3月に、水棲哺乳類の展示を終了させる決議を、全会一致で採択している。

 水族館側は、現在飼育しているいくつかの種類の水棲哺乳類は、水族館海洋哺乳類保護センタープログラムの一環として、長期ケアを受けている個体に限られていると説明している。

 

 

2017年4月27日 第17号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーの公園で、針で縫い合わされたピザを犬が拾い、それ食べて負傷する事件が起こっている。

 場所は、同市のストラスコナ公園内の、放し飼いができるドッグラン・エリア。管理するバンクーバー市には、先週までに2件の事故が報告されている。

 一件目4日のことで、何かを噛んでいる犬の口から糸が垂れ下がっているのを不審に感じた飼い主が、すかさずそれを取り上げ、けがには至らなかった。飼い主によると、それは糸で縫い合わされたピザで、糸にはまだ針が何本もついた状態だったという。

 しかし18日に発生した2件目では、針を中に入れて丸められたピザを犬が飲み込んでいしまい、喉に刺さった針を取り除くために手術が必要だったという。

 この公園で今までこのような不審亊が起こったことはなかったと利用者は話しているが、殺鼠剤が放置されているのが発見されたこともあり、利用者らは連れてきた動物に十分注意すると、取材に答えていた。

 連絡を受けた動物愛護協会が捜査を開始、ピザが置かれていた同公園一帯を調べている。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。