2017年4月27日 第17号

 アルバータ州の大学の学生らが設計・製作した人工衛星が、アメリカ・フロリダ州ケープカナベラルのアメリカ航空宇宙局(NASA)から、17日に打ち上げられた。

 エックス・アルタ・ワン(Ex-Alta 1)と名づけられた、この人工衛星、大きさは食パン1斤をひとまわり大きくした程度の、キューブサット(CubeSat)と呼ばれる超小型人工衛星。同州エドモントンのアルバータ州大学で完成までに4年を費やした、この衛星は、磁気圏や熱圏の状況を観測、太陽フレアなど、宇宙空間で起こる強力な現象の研究に役立てられる。こうした現象は、宇宙空間の衛星や宇宙船のみならず、地上での電気的ネットワークにも影響を及ぼすという。

 地上付近で起こる気象現象は、観測機器や体制の進歩で、その仕組みや影響がかなり詳細に分かるようになってきたが、宇宙空間で起こる気象現象は未だに未知の分野だと、このプロジェクトに4年間携わっている宇宙物理学専攻の大学院生チャールズ・ノークスさんは取材に説明している。

 また、この衛星は、QB50と呼ばれる、28カ国の大学が協同で打ち上げるキューブサット50個のうちのひとつ。この日、打ち上げられたロケットには、これらの衛星もまとめて搭載されていた。衛星からの観測データは、アルバータ州大学キャンパス内の屋上アンテナで受信され、世界中の研究施設でも利用されるという。

 一般的な大きさの人工衛星を打ち上げるには巨額の費用がかかり、また、今回の観測に適した低高度の軌道には(薄い大気との摩擦によるダメージで衛星の寿命が短くなり)経済的理由から投入できないと、ノークスさんは説明する。それに比べキューブサットはコストを抑えられるほか、開発・製造期間も短くて済み、最大で2年間の運用には耐えられるという。その後は、厳しい環境のために故障・分解してしまうという。

 衛星は地上から約400キロメートルの軌道に投入される予定。今回の打ち上げ成功により、アルバータ州の航空宇宙産業の活性化が期待されている。

 

 

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