2017年4月13日 第15号

 ジャスティン・トルドー首相は10日、訪問中のフランスで記者会見し、ロシア政府に対してシリアのバッシャール・アサド政権支援を続けるなら、さらなる経済制裁も辞さないと語った。

 これは今月4日、シリアで化学兵器を使用したとみられる攻撃があり、子どもを含む少なくとも80人が死亡したとみられている。アメリカ政府はこれをアサド政権によるものとし、6日、シリアに空爆を実行。トルドー首相は7日国会で、アメリカ政府ジェームズ・マティス国務長官から空爆実施1時間前にカナダのハルジット・サージャン国防相に連絡があったことを明らかにし、アメリカ政府の空爆を支持すると表明した。

 シリアでの化学兵器使用については、アメリカとイギリスがロシアが協力した可能性を調査している。

 カナダを含む欧米諸国は、ロシアのウクライナ攻撃に対し、現在、経済制裁を実施している。今回、もしロシアがアサド政権の化学兵器使用を支援していた場合は、さらなる制裁も辞さないことをカナダ政府は警告した。

 さらにトルドー首相は、シリアの平和的な将来のためにアサド政権は必要ないとも語った。ただ、アサド政権に退陣を求める声明までは発表していない。国際社会が「早急にシリアの平和と安定に向けて協力する必要がある」と語った。

 

 

2017年4月13日 第15号

 フランス北部のヴィミー・リッジの戦いから100周年を迎えた9日、ジャスティン・トルドー首相は同地カナダ・ナショナル・ヴィミー・メモリアルでの式典に出席した。第1次世界大戦でドイツ軍と戦ったこの地は、象徴的な場所としてカナダ史の中で重要な位置を占めている。

 この日はカナダからはデイビッド・ジョンストン総督も出席。フランスのフランソワ・オーランド大統領、イギリスのウィリアム王子、ヘンリー王子も参加した。

 1917年4月9日から12日までの戦闘でカナダ軍は3598人の兵士が死亡、7千人が負傷したと記録されている。その多くが20歳以下だったことも人々の記憶に残る戦いとなった。

 

 

2017年4月13日 第15号

 アメリカ大手債権格付け機関ムーディーズは10日付ムーディーズ・インベスターズ・サービスで、カナダを含む4カ国で不動産価格の適正化が起こった場合、大きな影響を受けると報告した。

 カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデンは、急激な不動産価格の高騰と負債額増加が、この3年間で顕著だという。

 中でもカナダとニュージーランドは、住宅建設が国内の経済成長の大きな要因で、カナダでは住宅建設産業が国内総生産(GDP)7・6パーセント、ニュージーランドでは7・5パーセントを占めている。そのため、住宅価格の適正化の影響は大きいとみている。

 トロント不動産協会は今月、3月のトロント広域圏の住宅価格が前年同月比で33パーセント上昇したと報告した。こうした急激な住宅価格高騰の現象は、トロントでは1989年以来で、その直後トロントでは住宅価格崩壊が起こっている。

 これを受け、連邦政府ビル・モルノー財相とオンタリオ州キャサリーン・ウィン州首相、トロント市ジョン・トーリー市長が会合を持つことが決まっている。

 ムーディーズは、住宅価格適正化はカナダとニュージーランドの雇用と消費に大きな影響を与えると報告している。

 

 

2017年4月13日 第15号

 カナダ、アメリカ、メキシコの北米3カ国共催で2026年FIFAワールドカップの開催を目指すことを3カ国サッカー連盟が10日発表した。そして来月バーレーンで開催される定例総会で、2020年の開催地決定を2018年に前倒しするよう要請していることも明らかになった。

 男子W杯は来年、ロシアで開催される。2022年はカタールで開催が決まっている。そのため規定により、2026年はヨーロッパとアジアからは候補地として立候補できない。可能性として、北米、南米、アフリカがあるが、前回の2014年はブラジルのリオで開催された。報道によれば、1930年第1回ウルグアイ大会を記念して、アルゼンチンとウルグアイが100周年ということで、南アメリカは2030年の立候補を目指しているという。

 アフリカでは南アフリカで2010年に開催されたが、その他のアフリカ諸国でW杯を開催できる国は少ない。

 結果的に北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)の北米が、最も現実的な選択肢となる。しかも、北米で前回開催されたのは1994年アメリカ大会。この大会は興行的に最も再興したW杯とされている。

 男子W杯は2026年から出場国を16チーム増やし、48カ国・地域で行われる。これだけの規模のスタジアムやキャンプ地、宿泊地、交通機関などが整備されている候補地が必要となる。

 3カ国共催となれば、アメリカで60試合、カナダで10試合、メキシコで10試合となる予定。さらに、カナダにとっては開催国枠でW杯出場が可能となる。カナダ男子代表が前回、W杯に出場したのは1986年メキシコ大会。これがカナダ唯一のW杯出場となっている。

 カナダで開催されたW杯は昨年、女子W杯が開催された。W杯共催では2002年日本・韓国共催がある。

 

 

2017年4月13日 第15号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーの北にある急峻な山で8日、冬山登山中の5人グループが遭難、全員が死亡した。

 事故が起こったのは、ライオンズ・ベイ近くのハービー山。5人が頂上付近にできた雪庇の上を歩いている時に、この雪庇が崩れ、そのまま切り立ったがけを500メートル近く滑落したとみられている。雪庇は、雪に覆われた山の稜線などで、強風が吹き続ける風下側のがけに、せり出す形でできた雪の庇のこと。

 雪崩対策の啓蒙を行っている非営利団体アバランチ・カナダによると、気温が上がり雪が湿った状態になるこの時期には、特に雪庇に対する警戒が必要だと指摘している。さらにオンライン上のハイキング情報サイトには、事故の1週間ほど前に、ハービー山山頂付近の雪庇に関する注意が上げられ、また近いうちにそれが崩落する恐れがあると警告していた。

 この登山を企画したのは、地元の韓国系登山グループMJMハイキング・クラブ。同クラブのメンバーのほか、バンクーバー・コリアン・ハイキング・クラブからも参加していた。一行のうち何人かは携帯シャベルのような冬山装備のいくつかを持っていたようだが、雪崩ビーコンやプローブなどは所持しておらず、完全な雪山装備ではなかった。

 5人のハイカーの後ろを、遅れながら追いかけていた他のメンバーや一般のハイカーらが、5人の残した足跡が頂上直前の崩落したばかりとみられた雪庇のところで途絶えていたことを確認、午後4時前に救助要請を行った。これを受け、地元のライオンズ・ベイ捜索救難隊のほか、ノース・ショア、スコーミッシュ、コキットラム、ミッション、さらにチリワックからも救難隊が現場に急行したほか、スコーミッシュ連邦警察(RCMP)も合流したが、この日は現場付近の雪の状態が不安定とみられたことから、捜索は見合わされた。9日朝には雪崩専門家によって安全性が確認され、捜索が開始された。

 捜索は、頂上から500メートル以上も続く切り立った北壁のふもとを中心に行われた。捜索隊は通報を受けた時から、残念ながら遭難者が生存している可能性は低いとし、遺体と所持品の回収を目指した。

 4人の遺体は捜索開始後、間もなく見つかった。最後の遺体は、同日午後遅くになってから発見された。

 

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。