2017年4月13日 第15号

 オンタリオ州オタワで8日、壊れたものを持ち込み修理してもらえるカフェが、試験的にオープンした。場所は同市中心部にある、市民の創作活動を支援するコミュニティ施設メーカースペース・ノース。

 カフェには家庭用品―コンピューターから家具、自転車、家電製品、衣類など―の修理に必要な道具と、修理の心得があるボランティアが待機。ここへ壊れたものを持ち込めば、彼らが修理に応じたり、持ち込んだ本人が直したりすることができる。

 このカフェのオーガナイザー、マーリット・クイスト=コルベットさんによると、オランダにいる彼女の姪が、2009年に同様のカフェを開店させている。以来このような店がフランス・ドイツといったヨーロッパのほか、アメリカにも広がりつつある。カナダではトロントのほか、モントリオールとガレフにもある。

 修理ボランティアのひとり、アニー・フェンさんは、ものが簡単に捨てられているのを見るのがいやで、自分の裁縫の技術が役に立つのならばと、カフェに参加することにしたという。また、最近はインターネットでも修理方法を検索することもできるし、ものを直すのは意外と簡単なことだと話していた。

 

 

2017年4月13日 第15号

 小麦粉の有名ブランド、ロビンフッドの小麦粉が大腸菌O121に汚染されている危険性により、リコールが始まってから2週間になろうとしているが、その対象地域がついに全国に拡大された。

 リコール対象となっているのは、ロビンフッド・ブランドの10キログラム袋入りオール・パーパス小麦粉。袋に刻印されている賞味期限は、2018年4月17日(BB/MA 2018 AL 17)になっているほか、製造ロット番号は6 291 548、UPCコードは0 59000 01652 8となっている。

 先週末の段階で、この小麦粉が原因とみられる食中毒が、少なくとも25件報告されている。個々のケースの詳細は明らかにされていないが、罹患したのは若い男性が多く、平均年齢は24歳とのこと。カナダ食品検査局では、大腸菌に汚染されていても見た目や味には変化がないこともあり、注意を呼びかけている。

 

 

2017年4月6日 第14号

 ケベック州モントリオールのボンバルディア社の会長ほか上級役員5人に対して多額の報酬を支払うことが明らかになり、4月3日、本社前で市民が抗議デモを行った。

 報酬内容が明らかになったのは3月29日。5月11日の株主総会を前に発表された報告書に記載されていた。

 2016年のピエール・ボードン会長と5人の上級役員報酬は合わせて327億ドル。前年219億ドルから約50パーセントも引き上げられていることが明らかになった。

 これに対し、ケベック州政府経済相が引き上げ見直しの検討に言及。31日には、ボードン会長が同社理事に報酬を2015年同様に引き下げるよう要求したと発表した。

 しかし、これでは市民の怒りは収まらなかった。2日には約200人が本社前で抗議デモ。フランス語で「ボンバルディアは恥だ」と書かれたプラカードも見られた。

 市民や政治家が民間企業にここまで言及するのには理由がある。ボンバルディア社は開発中のCシリーズ・プロジェクトが軌道に乗らず倒産の危機に直面した2015年に、ケベック州政府が10億ドル、今年2月には連邦政府が3億7250万ドルを支援すると発表した。大企業だけに政府の大型支援を投入することに批判の声が相次いだが、政府は雇用を守るため必要な措置と主張していた。

 それにもかかわらず、2016年ボンバルディア社は来年末までに国内外合わせて1万4500人を解雇すると発表。さらに今回の高額な報酬が明らかになり、市民の怒りが爆発した。

 これを受け3日には、同社は2016年の報酬引き上げ分を2020年まで凍結すると発表。さらに条件として、それまでに同社の目標を達成できた場合にのみ受け取ると付け加えた。

 翌日の国会ではジャスティン・トルドー首相が「ボンバルディア社の上級役員に対す る報酬引き上げの決定には快く思っていない」と発言。ただ「その後の対応には一定の評価をしている」と述べた。

 ケベック州政府フィリペ・クイヤード州首相も、同社の決定にはがっかりしたが、凍結の決定には評価していると述べた。ケベック州にとっては必要な会社とも語った。

 ボンバルディア社は世界に約4万人の従業員を持つ中小型航空機・車両メーカー。宇宙開発部門でも知られている。

 

 

2017年4月6日 第14号

 連邦政府5選挙区で4月3日、補欠選挙が行われた。昨年から年初めにかけて辞職した4議員と、病死した1議員の選挙区。結果は前議員の党が、そのまま議席を確保した。

 補欠選挙が行われたのは、アルバータ州カルガリーの2選挙区とオンタリオ州オタワ、トロント、ケベック州モントリオール。

 カルガリー2選挙区は、保守党スティーブン・ハーパー前首相と同党ジェイソン・ケニー前雇用相の選挙区。ここは手堅く両選挙区とも大差をつけて保守党がそのまま2議席を獲得した。

 オタワは筋萎縮性側索硬化症(ALS)で昨年8月に死去したマウリル・ベランジャー議員の選挙区で大差をつけて自由党が勝利。トロントはジョン・マッカラム前移民相の選挙区で、ここは自由党が50パーセント以上の票を獲得したものの、実際には2300票差と僅差で自由党が勝利した。

 モントリオールはステファン・ディオン前外相の選挙区。当選したのは自由党エマニュエ ラ・ランブロポロス議員、26歳。同日の勝利宣言で、「将来は首相を目指す」と語った。

 これにより自由党、保守党ともに、議席数は変わらず、大きな変化はなかった。ジャスティン・トルドー首相にとっては、首相としての初めての有権者からの評価となったが、まずまずの結果となった。一つでも多く議席を伸ばしたかった新民主党(NDP)にとっては予想通りとはいえ、厳しい結果となった。

 現在、野党の保守党、NDPともに、党首選の最中で、自由党にとって大きく議席を崩す原因が特に見当たらなかったことが要因。今後両党の党首が決まれば、野党の巻き返しもあると専門家は語っている。

 

 

2017年4月6日 第14号

 ドン・メレディス上院議員は4月4日に開かれた上院倫理委員会に出席した。3時間にわたって行われたとされる委員会で、自身の行動に対する説明をしたとみられる。

 メレディス議員は、以前に16歳女性と性的関係を持ったことが、先月の倫理委員会の報告で明らかになった。ペンテコステ派牧師でもある同議員(52)は、この女性との関係は認めたものの、関係は女性が18歳になって以降と説明している。報告書では、18歳未満の時に1回、18歳以降も2回、さらにオンラインチャットで過激なやりとりをしていると報告されている。

 こうした行為が、上院議員として倫理的に違反しているかが問われている。この女性と関係を持った時、メレディス議員はすでに上院議員として活動していた。

 この件では上院は意見が分かれている。擁護派はプライベートで起こったことのため、上院の活動には直接関係ないとする。一方で、こうした行為は上院自体に悪影響を及ぼすとして、同議員を免職処分にすべきという意見もある。後者の方が多数とみられている。

 今回の倫理委員会レイネル・アンドレイチャック委員長は「あらゆる可能性を考慮している」と懲戒免職処分も否定しなかった。これまでに上院倫理委員会が免職処分を下したことはない。

 上院については、これまでにも2013年に起こった一連の経費不正受給問題など、倫理的な問題が発生している。下院では、上院廃止、選挙制への移行など、上院改革が度々議論されるが、これまでに本格的な議論には至っていない。

 カナダ上院は首相による任命制で、選挙により選ばれた下院とは制度が異なる。ジャスティン・トルドー首相は、自由党が野党時代に自由党系上院議員を自由党とは引き離すと発表した。通常、自由党政権首相が任命した上院は自由党系、保守党政権が任命すれば保守系上院議員として活動する。新民主党(NDP)はこれまで1度も政権を取ったことがないため、NDP系上院議員はいない。しかし、現在は元自由党系やトルドー首相が任命した議員は、無所属として活動している。

 

 

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