2017年4月20日 第16号

 自由党政府は13日、マリファナを合法化する法案を提出した。2018年7月1日からの実施に向け、1歩を踏み出した。

 政府は、マリファナを合法化することで、違法栽培・売買など薬物関連犯罪に歯止めをかけ、若者の使用を減少させる効果があると訴えている。マリファナ合法化は、自由党の選挙公約でもあった。

 提出されたマリファナ合法化法案には2項目ある。一つは、嗜好品としてのマリファナ使用、栽培、販売を規定するもの。もう一つは、飲酒運転規制のようなマリファナ使用後の運転を規制するもの。

 マリファナの合法化には、単に薬物規制という側面だけでなく、健康への影響、コミュニティとの共存、道路交通法、警察との連携などさまざまな方面から考慮する必要がある。

 さらに、州政府との連携も不可欠で、細かい規則については、州政府とこれから詰めていくと、この日の記者会見に臨んだビル・ブレア議員は語った。ブレア議員は元トロント市警察局長。2015年総選挙で当選し、今回のマリファナ合法化に向けての法整備でジャスティン・トルドー首相の任命により中心的役割を担っている。

 今回発表された内容には、所持量は乾燥・生に関わらず30グラムまで、解禁年齢は18歳、個人で栽培する場合は4株まで、購入する場合は連邦政府の許可を受けた販売店でのみ可。まずは乾燥・生マリファナとマリファナ・オイルを販売、次いでマリファナ関連食品に広げる。解禁年齢や販売店への許可などは州政府の範囲となる。

 マリファナはアメリカのコロラド州やワシントン州ではすでに合法化されているが、国として合法化するのはG7(先進7カ国)では、カナダが初めて。

 合法化されれば年間87億ドルの売り上げになると会計事務所デロイトは試算している。

 

 

2017年4月20日 第16号

 米ドナルド・トランプ大統領は18日、ウィスコンシン州で演説を行った。アメリカ国内でも酪農業が最も盛んな同州。そこに集まった聴衆を前に、カナダではアメリカの酪農業や、その他の業種に不公平なことが起こっている、これに対しアメリカ政府は「アメリカの酪農業のために立ち上がる」とカナダを標的にし歓声を浴びた。

 カナダでは、酪農業や養鶏業に対して供給管理制度を導入している。需要と供給のバランスを図り、国内産業が大きな打撃を受けないことを目的とする制度で、同産業の輸入品には高い関税をかけている。

 さらに酪農業についてはカナダ政府は昨年、チーズの原材料となる限外ろ過乳の輸入に課税を導入した。オンタリオ州の酪農家からの強い要望への対応だった。それまではNAFTA(北米自由貿易協定)により免税となっていた。

 この課税導入で、ウィスコンシン州とニューヨーク州の約70酪農家に影響が出たとされている。そのため両州からアメリカ政府に対応するよう要望が出ていた。さらに先週になってトランプ大統領は、アメリカ国内酪農業4団体から、カナダがアメリカとの貿易で協定に違反していると非難する書簡を受け取っている。

 一方、カナダの酪農関係団体は、今回のトランプ大統領のカナダバッシングは国内向けの対応とみている。これについてはカナダ政府が対応してくれるだろうと各団体が声明を発表した。

 トランプ大統領は同日、「アメリカ製品を購入し、アメリカ人を雇用する」ことを強調する「バイ・アメリカン」実施のための大統領令に署名した。ウィスコンシン州は共和党が「アメリカ・ファースト」を掲げて民主党から勝ち取った州。「NAFTAはアメリカの企業や労働者に悪影響を及ぼしている。我々は大幅変更をするか、もしくは破棄することもあり得る」と必要であればNAFTAの大幅変更もあり得ることを示唆した。

 今年初めにワシントンで行われた、ジャスティン・トルドー首相との会談後の記者会見では、NAFTAの変更は「小幅なものになる」と発言したトランプ大統領。そこから大きな方向転換となる発言とカナダ攻撃がこの日は続いた。

 

 

2017年4月20日 第16号

 カナダ政府は12日、マララ・ユスフザイさんにカナダ名誉市民権を授与した。国会で行われた授賞式に出席したマララさんは、トルドー首相から名誉市民権を受け取ると笑顔を見せた。

 パキスタン出身の19歳。2014年ノーベル平和賞受賞。2012年にはパキスタンで女性の教育を受ける権利を訴え、タリバン勢力に銃撃されたが、一命を取り留めた。人権活動家として女性の教育の重要性を訴えている。

 この日は議会で演説。カナダ史上最年少での演説は、ユーモアを交え、カナダにこれからも難民や女性の人権で世界をリードしてほしい、「カナダが主導すれば他の国々も続く」と訴えた。

 マララさんへのカナダ名誉市民権授与は、2013年10月16日、保守党政権時に発表された。授賞式は2014年10月22日に予定されていたが、その日、国会で銃撃事件が起こったため、延期されていた。

 カナダ名誉市民権はマララさんが6人目。これまでに故ネルソン・マンデラ南アフリカ元大統領、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問、スイスの外交官ラウル・ウォーレンバーグさん、アーガー・ハーン四世に授与されている。

 

 

2017年4月20日 第16号

 ブリティッシュ・コロンビア州議会議員選挙戦に突入して2週目、ノース・バンクーバー‐ロンズデール選挙区で立候補している候補者の看板に差別的落書きがされていることが17日分かった。

 落書きがされていたのは、自由党候補ナオミ・ヤマモト議員と新民主党(NDP)ボウィン・マ氏。両候補とも名前が書かれた選挙用の看板に、ナチスのかぎ十字章が赤色のスプレーで書かれていた。

 16日夜、ヤマモト議員が自身のツイッターに差別的落書きがされた看板の写真を投稿。その後、党を越えてこのような差別行為を非難するツイートが投稿された。その中に、NDP候補マ氏の差別的落書き看板写真のツイートがあり、両候補ともに被害を受けていたことが分かった。

 今回の件についてコメントを求められた自由党クリスティ・クラーク党首は18日、ヤマモト議員への嫌がらせについて、NDPの仕業を示唆するような発言をした。選挙期間中になると、候補の看板にイタズラする人はいつもいると言った後、「今回の選挙戦が、醜くて、意地悪で、嫌らしい選挙戦になることは予想していた。NDPが我々にそう何度も断言した」と発言した。

 これに対し、自由党はクラーク党首の発言はNDPの仕業を示唆するものではないと否定している。

 

 

2017年4月20日 第16号

 MLS(メジャーリーグサッカー)バンクーバー・ホワイトキャップスFCは14日、BCプレースでシアトル・サウンダーズFCと対戦。フォワード(FW)の活躍で2‐1で勝利した。

 サウンダーズは昨季のMLS王者。ホワイトキャップスにとっては2部リーグ時代からのライバル。昨季は完全に差をつけられた形だが、今季の初対決では、今季入団したFWモンテロ(#12)の2ゴールで昨季王者を制した。

 ホワイトキャップスは、これで今季ようやく2勝目。これから約1カ月4試合連続でアウェーが続く。

 

 

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