2017年4月6日 第14号

 ケベック州モントリオールのボンバルディア社の会長ほか上級役員5人に対して多額の報酬を支払うことが明らかになり、4月3日、本社前で市民が抗議デモを行った。

 報酬内容が明らかになったのは3月29日。5月11日の株主総会を前に発表された報告書に記載されていた。

 2016年のピエール・ボードン会長と5人の上級役員報酬は合わせて327億ドル。前年219億ドルから約50パーセントも引き上げられていることが明らかになった。

 これに対し、ケベック州政府経済相が引き上げ見直しの検討に言及。31日には、ボードン会長が同社理事に報酬を2015年同様に引き下げるよう要求したと発表した。

 しかし、これでは市民の怒りは収まらなかった。2日には約200人が本社前で抗議デモ。フランス語で「ボンバルディアは恥だ」と書かれたプラカードも見られた。

 市民や政治家が民間企業にここまで言及するのには理由がある。ボンバルディア社は開発中のCシリーズ・プロジェクトが軌道に乗らず倒産の危機に直面した2015年に、ケベック州政府が10億ドル、今年2月には連邦政府が3億7250万ドルを支援すると発表した。大企業だけに政府の大型支援を投入することに批判の声が相次いだが、政府は雇用を守るため必要な措置と主張していた。

 それにもかかわらず、2016年ボンバルディア社は来年末までに国内外合わせて1万4500人を解雇すると発表。さらに今回の高額な報酬が明らかになり、市民の怒りが爆発した。

 これを受け3日には、同社は2016年の報酬引き上げ分を2020年まで凍結すると発表。さらに条件として、それまでに同社の目標を達成できた場合にのみ受け取ると付け加えた。

 翌日の国会ではジャスティン・トルドー首相が「ボンバルディア社の上級役員に対す る報酬引き上げの決定には快く思っていない」と発言。ただ「その後の対応には一定の評価をしている」と述べた。

 ケベック州政府フィリペ・クイヤード州首相も、同社の決定にはがっかりしたが、凍結の決定には評価していると述べた。ケベック州にとっては必要な会社とも語った。

 ボンバルディア社は世界に約4万人の従業員を持つ中小型航空機・車両メーカー。宇宙開発部門でも知られている。

 

 

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