2017年4月13日 第15号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーの北にある急峻な山で8日、冬山登山中の5人グループが遭難、全員が死亡した。

 事故が起こったのは、ライオンズ・ベイ近くのハービー山。5人が頂上付近にできた雪庇の上を歩いている時に、この雪庇が崩れ、そのまま切り立ったがけを500メートル近く滑落したとみられている。雪庇は、雪に覆われた山の稜線などで、強風が吹き続ける風下側のがけに、せり出す形でできた雪の庇のこと。

 雪崩対策の啓蒙を行っている非営利団体アバランチ・カナダによると、気温が上がり雪が湿った状態になるこの時期には、特に雪庇に対する警戒が必要だと指摘している。さらにオンライン上のハイキング情報サイトには、事故の1週間ほど前に、ハービー山山頂付近の雪庇に関する注意が上げられ、また近いうちにそれが崩落する恐れがあると警告していた。

 この登山を企画したのは、地元の韓国系登山グループMJMハイキング・クラブ。同クラブのメンバーのほか、バンクーバー・コリアン・ハイキング・クラブからも参加していた。一行のうち何人かは携帯シャベルのような冬山装備のいくつかを持っていたようだが、雪崩ビーコンやプローブなどは所持しておらず、完全な雪山装備ではなかった。

 5人のハイカーの後ろを、遅れながら追いかけていた他のメンバーや一般のハイカーらが、5人の残した足跡が頂上直前の崩落したばかりとみられた雪庇のところで途絶えていたことを確認、午後4時前に救助要請を行った。これを受け、地元のライオンズ・ベイ捜索救難隊のほか、ノース・ショア、スコーミッシュ、コキットラム、ミッション、さらにチリワックからも救難隊が現場に急行したほか、スコーミッシュ連邦警察(RCMP)も合流したが、この日は現場付近の雪の状態が不安定とみられたことから、捜索は見合わされた。9日朝には雪崩専門家によって安全性が確認され、捜索が開始された。

 捜索は、頂上から500メートル以上も続く切り立った北壁のふもとを中心に行われた。捜索隊は通報を受けた時から、残念ながら遭難者が生存している可能性は低いとし、遺体と所持品の回収を目指した。

 4人の遺体は捜索開始後、間もなく見つかった。最後の遺体は、同日午後遅くになってから発見された。

 

 

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